- 2012年12月10日 18:49
- 歯内療法日記
過去のブログから
根管貼薬 FC VS 水酸化カルシューム
http://eedental.fine.to/eeblog/2012/03/-vs.html
http://eedental.fine.to/eeblog/2012/08/post-572.html
根の治療中に行う根管内貼薬
世界的なトレンドとしては『水酸化カルシューム』になっていますヾ(´c_,`)
とは言え、日本ではまだまだ昔から使用されているホルマリン系の薬が使われる先生も多いそうです。
私の周りでは、ホルマリン系の薬から水酸化カルシュームに変えたという先生が多いのですが、
使い方で気になることが・・・
水酸化Caを歯の外に「これでもか!」と押し出す治療・・・
こんなやつ
赤丸の部分の白い部分が水酸化Ca それを取り囲むような黒い部分が病変
何を言っているのかと言うと、
根の先に出来た病変(膿袋)を治す為にわざと歯の外に水酸化Caを押し出し、病変(膿袋)に水酸化Caを入れる治療なんですが、前にも書いたようにこの方法全く科学的な治療法ではなくリスクばかりのある治療だと私は思っています⊂(゜Д゜⊂
http://eedental.fine.to/eeblog/assets_c/2012/08/Ca.html
水酸化Caは神経毒を有していると文献や大学の先生から聞いて知ってはいたのですが、とうとう今年私も経験してしまいました。
痛みが4年間取れないという患者さんが初診で来院されました。(上記のレントゲンの患者さんとは違います)
その患者さんのレントゲンを見てみると膿の袋などの病変はなく、特に問題ないように見えたのです。
何が原因で痛みが出ているのか分らなかったので、患者さんの許可をもらいCT撮影など行ってみたのですが、特に悪い所見はなく・・・
よく見ると歯の外の変な所に水酸化Ca様の所見が見られ・・・
まさか!?
水酸化Caが存在する場所がすでに上顎洞(目の下の空洞)に入り込んでしまい、私では除去不可能・・・
となり、大学病院を受診して頂いたのですが、そので出た結果は水酸化Caが原因になっており、入院をして歯3本の抜歯+上顎洞の手術となりました。(手術を受けたからと言って痛みが取れるかは別問題なのです)
また20代の患者さんでした。
歯医者の先生の中には水酸化Caは安全な薬のように扱われますが、薬ですから使い方を間違えると非常に危険だと思います(>。<)
以前のブログにでも書きましたが、難治性の歯(なかなか治らない歯)は少なからず存在します。
根管治療でできるのは歯の中の感染の除去です、歯の外に及んだ感染は除去できません。
歯の外の感染を歯の中から治療しようとする試みは分るのですが・・・、
ただ、歯の外の感染の割合は非常に少ないですし、歯の外に感染が及んでいるのかは治療の際には分りません。
痛みが取れない歯、膿が出続ける歯なども、きちんとフィールドコントロールをして根管治療を行えば水酸化Caを押し出さなくても治る歯は治まります。
歯の外に薬を出さなくても治るかもしれないケースに憶測だけで水酸化Caを根の先からモリモリ押し出すのは・・・
私的には『完全になし』ですねヾ(・д・。)
(根管治療をして治らなかった歯の先を外科的に治療(外科的歯内療法)すると本来存在しない歯の先に歯石様の物質が付着している時もあります。 この歯石を歯の中から除去する治療するのは不可能ですし、水酸化Caの弱い薬効で解決することも不可能です。)
最近、私は根の先からは薬(貼薬剤、水酸化Ca、ガッタパチャー、シーラー)は押し出さない方が良いと考えが変わってきています。
ホルマリン系の薬は特に出しては駄目だと ・・・
患者さんからしたら、どの先生にかかればいいのか分らない所だとは思いますが、根管治療には色々なリスクが付きまとう治療であることは知っておかれてくださいm(_ _ )m
一番最初に出した患者さんのレントゲン
治療後4ヶ月経過しましたが、何とか治癒傾向が出て来てくれています!
今回の患者さん、外に出た水酸化Caで治ってきたとは私は考えていませんのでね(´´・Д・`)
- Newer: おつかれ山
- Older: セラミッククラウンではなくレジンで治す!