- 2013年3月 3日 23:48
- 歯内療法日記
今日は東京まで吉岡先生の「歯内療法症例検討会」に行ってきました。
(帰りの新幹線の中で書いてい為に長文になりました)
今日の会は医科歯科大学であったのですが、
まぁ~、医科歯科の先生が多いこと(oゝ艸・)
医科歯科に関係ない発表者は私と服部先生のみ(笑)
私はMM根絡みで、6Canals(1本の歯に神経管が6本)の症例報告をさせて頂きました。
(内容は暇な時にブログにします)
今回、1番の目当ては井澤先生の「Spirits of Endodontics(Endodontist)」でした。
非常に考えさせられる面白い内容でした。
井澤先生は、
日本初の歯内療法のみで開業、歯科用顕微鏡の第一人者の先生なのですが、
日本初の歯内療法のみで開業、歯科用顕微鏡の第一人者の先生なのですが、
昨今の歯内療法専門医に苦言というか、問題定義、またこうあって欲しいというメッセージを聞かされたような気がしました。
耳が痛かった部分もありますが、そこは改善すべき部分として受け止めます~~ヾ(´ω`●)
やはり歯医者は謙虚に自分に知らない、足りない部分があることを認識しながら臨床に当たるべきだと
また大切なのは患者さんに対する気持ちだともおっしゃられていました。
私も、人を治すのは「腕」と、「言葉・言葉選び」と「心」だと最近思い始めました。
(ただし、私は全ての患者さんに合わせる必要もないとも思っているかなりドライなタイプです。すみません)
井澤先生のスライドの中でも触れられていましたが、
今、の私の「それってどうなの!?」と思っていることでもありました(´・ω・)ノ
別に否定する訳ではありませんが、昨今の顕微鏡歯科ブーム
・顕微鏡を持てば良い歯科医院なのか!?
・顕微鏡を持てば良い治療ができるのか!?
私的にはおかしな流れだと感じています(ノω`*)
顕微鏡は『見る為の道具』です、この道具は何もしてくれません。
友人のスーパー辛口先生にも
「顕微鏡学会って・・・、道具の学会自体成立するのが訳分からん!」
「じゃあ、お前(私)は今からニッケル・チタンファイル学会作れ!」(っ`Д´)っ
「えっ、?」(ー_ー?)
そうなんですよね、顕微鏡って超高級虫眼鏡で、
顕微鏡で治療をすれば優位に成功率が上がるという科学的根拠はありません。
さも顕微鏡を使用すると素晴らしい治療・先生という風潮がありますが。。。
私は歯内療法を専門にしているので、その分野で話をさせてもらうと、
歯内療法の世界において1990年代に歯内療法革命が起こりました。
(日本にはこの革命が10年遅れでチョビチョビ入ってきましたが・・・)
この1990年代に
・「歯科用顕微鏡」、
・「ニッケル・チタンファイル」、
(形状記憶のヤスリの道具)
・「CBCT」、
(3次元で歯の形が分かるレントゲン)
の3つの道具が登場しました。
当時は夢の機械だったと思います。
私は、2000年に歯医者になったので1990年の感動は経験していません
(*2000年国家試験漏えい事件のとばっちりで歯科医師国家試験史上、一番合格率が低い年に歯医者になりました)
1990年代に革命が起こったのにもかかわらず、今も昔も歯内療法の成功率は大きく変っていません━(・д・;)
顕微鏡、CBCTでするエンドは最新で素晴らしいという都市伝説もありますが。。。
本で読んだのですが、
Spangberg 2000 (歯科雑誌編集者)は、
「歯内療法の知識の進歩にもかかわらず、歯内療法は過去50年大した変化はない」
「過去10年ほどの間に開発された技術補助用具(Ni-Ti マイクロ)や新しいテクニックの どれもが、40年前に知られたような歯内療法の結果を優位に改善していない」
と論文を出しています。
では、この歯内療法革命は歯科に何をもたらしたのか?
顕微鏡、CBCTがあると素晴らしい治療が出来るという術者の錯覚でしょうか(゚Д゚ノ)ノ
臨床においては、結果に結び付かない以上、顕微鏡は素晴らしい!、ニッケルチタンは素晴らしい!、CBCTは素晴らしい!など言えないはずです。
一歩間違えば術者の自己満足で終わっているかもしれません(;・-・)
私もこの3つを持って治療していますが、ない頃に比べ術者がラクを出来るようになり、術者の安心感(達成感)が上がったのは間違えありません。
しかし、エンド(歯内療法)で、大切なのは道具ではありません。
歯内療法における私の考え方ですが、
「いかに患者さんと歯を見るか!」
その手助けをするのが先ほどの3つの道具であり、診断を補助するだけのだと思うんですよ(。-`ω´-)
冷静に他の講演を聞いていても、
それって道具のお話で・・・、
歯内療法の考えからすると、「しなくていいことしているような・・・」と思えてしまうこともあります。
私もブログに道具のことはよく書きますが、ブログのネタとして面白おかしく書いているものですからね^^;
根の治療も、たまたま治ってくれたり綺麗に行ったものが殆どですヾ(´_`○))
(ただ、そのたまたま治る確立を上げることは考えます)
また、井澤先生は、ファイル(神経を取る道具)のことも話されていました。
比較的新しい2007年の論文で、ニッケルチタンファイルで形成した歯でどのぐらいきちんと削れているか!?
根尖(歯の先端)1mmではわずか、18%の根管しか理想的な形成が出来ていなかった。
同じような過去の論文を探すと、
ニッケルチタンファイルのなかった1968年の手用ファイル(アナログな道具)でどのぐらいきちんと削れていたか!?
なんと、20%
ほぼ同じ、むしろ2%多い・・・
CBCTも「CBCTを撮り過ぎている」、「CBCTを撮って根管が分かった所で治療出来るかは別」と話されていました。
私も昔からよく言っているんですが、
「宝の地図を手に入れれば、誰もが宝を得ることが出来るのか!?」
ということです。
(CBCTで歯の形が分ってもその部分が治療出来るかは全く別問題なんです)
リスクがないのなら、宝の地図は持つべきですよ。
ただしCBCTは、小さなレントゲン(昔からあるアナログ的なレントゲン)とは被ばく量が大きく違います。
まさに、医療被曝大国日本ですな!(。-`ω´-)
私もCBCTは撮りますが、今の私が必要だと思うケースは月に2~5ケースぐらいです。
私が宝の地図が欲しい!
と思うのは外科処置が多いです。
また、原因が分らない難症例にもあると非常に診断の手助けになります。
情報量がアナログなレントゲンに比べると格段に多いのがCBCTの良い所です。
今回発表した6根管も小さなレントゲン2枚で治療をしました。
*因みになんですが、調べてみると6根管の治療は国内でも殆ど報告がないようです。
私は、小さな被ばく量の小さなレントゲン2枚撮れば多くの抜髄根管治療は可能だと思っています。
CBCTを撮る先生にこう言うと、
「だってあなたは専門医でしょ! レントゲン2枚の読影能力(読み取る力)が違いすぎる」
とよく言われますが、
「いやいや、まてまて! そのアプローチをしようとしているかだけですよ」
私自身全てが見えている訳ではありませんし、小さなレントゲンで分らないものはCBCTを頼ります。
(まぁ、見よう見まねで習得しようとしている私も問題ですが・・・)
でも、患者さんサイドからしたらどうなんでしょう!?
・仕方がないという理由で、最初の診断時から大きな被曝をお願いする先生
・診断が難しく悩んだあげく、歯を残す為にCBCTをお願いする先生
ホントに日本の歯内療法はどちらの方向に進んでいくのか。。。
(すみません、こんな若造が上から目線で)
でもブキャナン先生もCBCTは全ての症例で撮ると話されていましたね。
私は尊敬する先生でも完コピしません。
(しいて言うと師匠のエンドベースで、そこから良いと思うモノをフュージョン!)
ですから、道具にこだわるのなら、まずラバーダムや、隔壁、仮封など極々ベーシックな部分から見直した方が絶対結果には繋がる と私は思っています(超私見)
理由:根管治療の失敗は細菌感染であると分りきっています。治療に用いる歯科用顕微鏡で拡大した所で 細菌までは見えません。 またCBCTで歯の形、神経の形が分った所で歯の中に細菌が入ってしまっては何の為にCBCT撮ったのか?
井澤先生の最後のスライド
「Happy Endo(歯内療法)」
患者さんも歯科医師も同じ方向に進むといいですね(^ω^ )/'''
話の途中のMB3で私の名前を読んで頂けたことも少し嬉しかったりします(笑)
後、私の発表後・・・
小林先生すみませんでした、クソ生意気なこと言いましてm(_ _)m
たぶん私も今の年だからいきがっているのだと思います。
10年後には、また違ったアプローチ、考えを持っているはずです。
と言うことで許してくださいね(笑)
また、会を主催して頂いた吉岡先生
収穫の多い1日ありがとうございましたm(_ _)m
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