原因の歯以外が痛む「関連痛」
- 2024年12月10日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは60代の歯科医師の先生
左下の再根管治療希望 違和感が前々からあったが鈍痛が出てきた為抗生剤で散らした。
今は違和感程度になってきている。
レントゲン
近心・遠心根に根尖病変が見られます。
遠方の先生だった為1回法で根管治療を行いました。
4根管でしたが3根はガッタパーチャー使用、1根は根尖が破壊されていた為MTA使用
術後6か月後 腫れや痛みはないとのこと
レントゲンでも病変部分に骨が戻ってきてくれています。
患者さんの先生も驚いていました(笑)
そこからクラウンを製作させてもらい一度は治療を終わったものの
再び電話連絡があり、
左下6の遠心歯頚部に痛みがある、クラウンを入れてから違和感と鈍痛が増えてきている
また患者さん的(歯科医師の先生)には、左下4の神経が生きている歯にも痛みを感じ神経を取った方がいいような気がするとのこと
来院された際にはレントゲンを撮らせてもらうと
治療させて頂いた、左下6問題あるような所見はありません。
左下4もこれで神経取ります!?という感じ
基本的に私は悪い所見が無ければ、様子見で治療は積極的に介入しません。
理由は当てずっぽうで治療をしても上手く行かないから、歯科治療は原因に対して適切な治療を行わないと痛みや腫れ、違和感は無くなりません。
よくよく話を聞くと左上にも違和感が出てきているそうなので上のレントゲンを撮らせてもらうと
7ヵ月前に比べ、左上5のファイバーコア周りの所見が変わっている。
患者さんに説明を行い、
個人的に一番所見的に怪しい左上5の根管治療をスタートすると・・・
頬側から口蓋側にかけて破折線が見られました。。。
推測ですが、半年でレントゲンの透過像が出てきたのは破折が起こりそこから虫歯が始まり、所見が出てきたのかも!?
立派なファイバーポストが2本も入っていましたが、
個人的には臼歯部においてファイバーポストって歯根破折にそこまで意味ないと思っています。
*今の歯科の世界とは全く考え方が異なります。
それより自分の健康な歯質の残存量が重要だと思っています。
ファイバーコアを作る為に歯を削ってスペースを確保するより、足りない場所にレジンを流し込んでおいた方が良いんじゃないかな!?と思っています。
今回のケース、
破折した歯はかかりつけの先生に抜歯して頂いて、今週患者さんが来院された際に
「先生、抜歯したら下の歯の痛みはすっかり無くなりましたよ」
「先生が言うように関連痛だったんですね、良かったです下の歯触らなくて」
と、
こういったケースを関連痛と言って、
原因歯の他の弱った歯に症状(痛み・違和感)が出てくることがあります。
こういったケースは患者さんの話だけ聞いていると誤診します。
ここから、左上4の虫歯の処置を行いブリッジを作って行きます。
結論的にやはり左上5の破折が原因で、左下にも痛みが出ていました。
たまたま診断が合っていましたが、歯科治療が難しい理由は①診断を付ける、②処置を成功させる
と2つとも上手く行って初めて治る方向に体が変化していきます。
歯科治療はホント難しいです・・・(>。<)
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