神経系の治療は封鎖が命
- 2024年11月30日 09:15
- 歯内療法日記
今回の患者さんは50代女性
2年前に大きな虫歯の治療をしたが、半年前から歯が浮く感じがし始めてその後歯茎が腫れてきた為歯科医院へ
根管治療が必要とのことで治療を始めたが、何度も何度も薬を替えているが治っている感じはなく4ヵ月経過した現在、次は歯茎を切って外側から消毒が必要と先生に言われた。
また抜歯の可能性もあると言われており不安で仕方がない。
レントゲンを撮ると
大きく骨が溶けています。
また過去の詰め物に隙間が見られます。
推測になりますが、神経保存が上手く行かなかったのも現在の根管治療が上手く行っていないのも黄色矢印の隙間からのような気がします。
私はかなり精度の良い過去の詰め物は再利用することがありますが、今回のような精度で作ったものは必ず外します。
理由は隙間があると根管治療はまず上手く行かないから。
とりあえず詰め物を外して隔壁
毎回思うのですが、こんな歯茎の下なんか40代で虫歯ができることなどかなり稀であり
だいたい歯科医師が見えないまま手の感覚で削り過ぎて医原性の問題を起こしていると思います。
⇒ 結果治療が上手く行かない。。。
顕微鏡を使い始めて20年以上経ちますが、ホントこういう基本的な部分を抑えて治療するのかどうかで結果は大きく変わってくると思います。
1回目の治療できちんと壁を作り、中を綺麗に掃除した後徹底的に消毒
2週間後の治療2回目
腫れや痛みも無いとのことで根管充填+レジンコア+仮歯
根管充填材はガッタパーチャー使用
今月予後のレントゲンを撮らせてもらいました。
かなり綺麗に骨が戻ってきてくれています。
また患者さんは症状もなく生活出来ているとのことです。
この状態であれば外科処置も抜歯の心配もありませんね!
体を治すには体のルールと原則に則る必要があります。
例えば材料は○○が良い、術式は△△が良い、などそちらの方ばかりクローズアップされますが、
同じような治療を毎日行っている人間からすると、ぶっちゃけ神経保存、根管治療なんて材料はそんなに気にする必要なし、それより体のルールと細かな部分まできちんと処理して、封鎖性の高い治療が出来ているか!?の方が予後に対するインパクトは大きいと感じます。
術前の隙間のある歯の状態は「家」で例えれば雨漏りするような家
必死に家の中を雑巾がけしても雨漏り自体を止めないと、永遠に家の中は水浸しで雑巾がけを行い結果治らない ⇒ 家の取り壊し(抜歯) となります。
神経保存、根管治療は儲かる分野の治療でないので、古い知識のままでアップデートなしに行われている代表格
根管治療した歯の半数以上が上手く行っていないという日本の現状も分からなくはないです。
*歯が無くなってから利益が得られる診療形態がそもそもの間違い
国がもっと根管治療の意義を知って、治療費上げない限り永遠にこういった問題は続くでしょうね(>。<)
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