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歯が原因で上顎洞に膿がたまった場合
- 2024年12月17日 09:00
- 歯内療法日記
歯が原因で副鼻腔(上顎洞)などに炎症が起こるのはあまり知られていません。
少し前に友達に
「井野君、1年以上耳鼻科に行って蓄膿を治していたんですけど、毎回抗生剤が出るだけで一向に良くならず、口腔外科に行ったら奥から2本目の歯が原因を言われて抜歯したら、蓄膿が治ってきたんですがそんなことありますか!?」
と言われました。
確かに鼻の病気なんですが、実は上顎の歯の中に細菌感染が起こり根尖病変ができてしまい、運が悪いと今回のような状態になってしまいます。
友達には、
『よくあるよ、鼻が詰まっていたの片側だけ!?』
「そう、右側だけ」
『行った耳鼻科の先生超藪医者だね、1年近く抗生剤投薬って俺からしたらありえんわ、耳鼻科の専門の先生だったら、そんな鑑別診断出来て当たりだと思うよ』
「そう、口腔外科に行ったのも自分が何かこの先生(耳鼻科)おかしいなと思って、口腔外科行ったら歯が原因っ言われて抜歯になったんですよ、で次の歯どうしようかと思って井野君に声かけたんです」
『今更言ってもしかたがないけど、その歯抜かずに残せたかもね。 俺そこが専門なんですわ』
「えっ~~、言ってよ! どの先生もそんなこと教えてくれなかったよ」
『だって、かなり難しい治療だし、口腔外科は抜いて治す科だから口腔外科に行けば抜いて治すよ』
「初耳だらけなんですけど・・・」
『難しいよね、病院選びは』
というやり取りがありました、ホントであった先生で運命が決まってしまうのが医者選び
今回の患者さんは50代男性
一番奥の歯、1週間前に咬んだら痛みがどんどん大きくなって歯科に行くも問題無いと言われ、
耳鼻科に行ってCT撮ったら歯が原因で上顎洞に膿が広がっているとのこと、抗生剤を処方され今はだいぶ和らいだ。
この歯は3年前に咬んだら痛くなり、虫歯があると言われ治療した。1年前にも痛みが出て歯科医院に行くも知覚過敏と言われシミテクトで磨いていたら落ち着いた。
という歯
レントゲン
虫歯もきちんと治療してあるのですが、近心頬側根、口蓋根に根尖病変が見られます。
このケース歯を顕微鏡で観察すると近心から遠心にかかてクラックが見えました。
患者さんには、①、過去の虫歯が大きくて治療したが神経が死んでしまった。②、破折線が入りそこから細菌感染して神経が死んだのどちらかが疑われる。
治療は神経を取った後は、破折線があるのでクラウンにした方がいいと説明
患者さんのOKをもらい治療スタート
治療は2回で根管充填+レジンコア+仮歯まで
根充剤はガッタパーチャー使用
半年後のレントゲン診査
鼻が詰まった感じはだいぶ改善している
レントゲン所見でも骨は出来てきてくれています。
ここから来院が無くなり、1年後のレントゲンは撮れていませんでしたが、
今年に入り、左上の治療を他院でしたがそれから違和感が大きくなってきたので見てもらいたいとのことで来院してもらい、ついでに右上のレントゲンも撮らせてもらいました。
レントゲン
右奥は全く症状はないとのこと
レントゲン所見でも綺麗に骨が出来てくれています。
これだったら問題無いでしょう!という状態までもって行けました。
歯からくる歯性上顎洞炎は第1・第2大臼歯によくみられます。
たまに小臼歯にも見られますが稀です。
珍しい第2小臼歯からの上顎洞炎 - EE DENTAL_Blog
一応根管治療を専門でやっているので、上顎洞炎は2ヵ月ぐらいに1本は治療しているので個人的には珍しくもないのですが、一般の先生からすると稀なので鑑別が付きずらい場合もあると思います。
患者さんが知っておいた方がいいのは、左右どちらかの鼻が頻繁に詰まる場合は歯が原因になっている場合があるので、その際確実に治したい人は口腔外科で抜歯、歯を何とか残したい人は歯内療法の得意な先生を頼った方がいいと思います。
最初に書いた友人も鼻は治ったものの、抜いた所をブリッジにするかインプラントにするかでまた悩まれているそうです。
友達も、歯を残して鼻を治す方法があるんだったらやってみてかったと言っていました。
*こればっかりは患者さんの知識量と出会った先生で決まってしまいますね。
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