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珍しい第2小臼歯からの上顎洞炎
- 2022年2月15日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは60代女性
頭の検診でMRIを撮影し上顎洞に炎症が広がっていることを指摘される。
1カ月前に痛みが出て近医でCTを撮ると、根尖病変が上顎洞と繋がっていると指摘された
とりあえず、抗生剤と痛み止めを処方してもらった。
その歯科医院での治療は難しいとのこと
現在の症状は頬の奥の方が痛い、頬を押すと痛い+違和感を感じる
レントゲンを撮ると、
第2小臼歯に比較的大き目の根尖病変がある。
過去に何度か頑張って根管治療をしている痕があるが、上顎洞とも離れているので・・・
とりあえず、返信投影
過去の治療でガッタパーチャーが歯の外に押し出せれていることを確認
ただ、第2小臼歯が原因か!?とも疑ってしまう。
前の歯科医院でCTのコピーを頂いたとのことで見せてもらうと
確かに根尖病変と上顎洞が繋がっている!
*これだけ分かれば当院でCTをわざわざ撮る必要はありません。
第2小臼歯の頬側の皮質骨が厚かった為か口蓋側に病変逃げ道が出来てしまい
たまたま近くにあった上顎洞に交通
ただ、前の治療で相当削ったようで治療に耐えられるか!?
とりあえず残す方向で話を行い初診は話だけで終了
その後、数日後に電話があり大きく腫れてきたとのことでまた近医で抗生剤をもらったそう。
頬側にはフィステル(膿の出口)が出来てきたとのこと。
治療1回目
メタルボンド+ゴールドコアを除去し電メスで歯肉をトリミングして
縁下から隔壁後、ラバーダムをしてGP除去を行うと排膿あり、根尖は非常に大きく削られていた。。。
外に出ているGPは除去できませんでした。
2週間後に来院してもらいフィステルチェックとインタビュー
腫れ、痛みはない。頬を押しての痛みもほぼ無くなった。
フィステルも無くなったことより、次回MTAで根充しますと説明
更に2週間後の治療3回目
MTA根充+レジンコア+仮歯
術後6か月後のレントゲン検診
痛みや腫れ、フィステルなどはなく調子はいいとのこと
レントゲンでもだいぶ骨が出来てきてくれています。
これだけ治ってきていれば本歯を入れても大丈夫でしょう!
この後、1年予後までレントゲンで経過をみて終了となります。
経験上、上顎洞炎ケースは第1、第2大臼歯が多く
今回のように上顎洞と少し離れた第2小臼歯が原因歯となっているケースというのは
初めてであり、本当に!?とは思いましたが、CTの所見ではっきり原因歯が確定できました。
経験からの先入観は持たずに診断することが大切と教えられた1ケースでした(・。・;)
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