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神経を残す治療は手間がかかる。
- 2023年7月26日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
隣町の先生にこのケースは「EEデンタルに行った方がいいよ」と紹介頂きました。
主訴の歯は奥歯2本
第1大臼歯:大きな虫歯で応急的に詰めものがしている
第2大臼歯:親知らずの影響で歯茎の中に虫歯
患者さんには第1大臼歯の虫歯は痛みもあり、神経治療が必要
第2大臼歯は神経保存の方向で治療を行い、痛みが出たら後で抜髄(神経を取る)
という方針で治療を行いました。
右下7の虫歯はいつのもEENOボール
右下6の虫歯はすでに神経まで虫歯が進行している為抜髄
全く虫歯に見えなかった手前の第1小臼歯、第2小臼歯
第1小臼歯:歯髄付近まで広がる虫歯
第2小臼歯:これまた歯茎の中に広がる虫歯(どうして出来たのか分かりませんでした)
この歯も患者さんには、神経残す方向でとりあえず治療 → 痛みが出たら抜髄(神経を取る)
レジン治療後のレントゲン
治療時間2時間
セパレーターテクニックでなるべく元と同じような形で治療
その後、第1大臼歯にセラミッククラウンSet
レントゲン
術後の口腔内写真
4本中3本の神経保存ができました!
治療回数:8回
治療期間:1年1カ月
ブログにすると神経治療って簡単そうに思えますが、これが結構難しくて・・・
先日、根管治療をしている患者さんに
「私、一度も歯に痛みが出たことないんですが、何でこんなに神経って取ってあるんですか!?」
と質問を受けましたが、
基本的に保険診療では【レントゲンで虫歯が大きいと=神経を取る】となります。
【なぜか!?】
基本的に神経保存は非常に繊細で手間のかかる治療です。
また術者がどんなに頑張っても一定数は痛みが出てしまい神経の治療が必要になります。
ただ、保険診療では神経保存処置後、神経が残せなかった場合ペナルティーがあり治療費の減額があります。
つまり、やった処置にも関わらず治療費がもらえないばかりか、赤字の治療になります。
一般的な経営者であればまず赤字になる選択しないと思います。
「医療だから」採算は度返しでという患者さんの主張は「それは違うかな!?」と私は思います。
つまり、日本の保険制度では神経を残す治療は推奨しておらず、神経は取りなさいという解釈なのです。
ぶっちゃけ保険治療は保険点数の配分で国がどうとでも医療はコントロールできますので、神経保存に価値を見出すなら、減額をまず止める、歯髄保存の治療費を上げるなどをすれば、神経の保存治療は増えるとは思いますが・・・
ですから、歯科医院に行く人ほど虫歯を指摘され、歯を削り神経を取るというのが今の日本の実情です。
(日本の根管治療の成功率は50%程度ですから、ここから神経を取った歯は無くなるまでトラブルの連続にあうことになります)
ただし、これでも日本の保険診療はかなりコストパフォマンスが高く、世界的にも誇れる治療だと思いますよ。
日本人は医療に関してはメチャ恵まれていると思いますが理想ばかり追求できない現状もあると知っておいてください。
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