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根管治療の際の根管充填材は何がいいのか!?
- 2023年8月 4日 09:03
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
根管治療の最後に詰める材料
一番代表的なのは【ガッタパーチャー】というピンク色のゴム
後は、【MTAセメント】での根管充填も専門医の中では一般的になりつつあります。
小児の場合は永久歯の兼ね合いもあり、【水酸化カルシューム】というペースト
その他、マイナーな材料も色々あり(これが結構厄介)
初見だと、「えっ、何この材料!?」なども数年に1回ぐらいあります。
最終的に歯に詰める根管充填材は、それぞれにメリット・デメリットがあります。
患者さんの中にはネットで調べられて、「根充剤は〇〇を使用してください」と
おっしゃられる方もいますが、基本的に私は状況に合った成功率を高める為の材料を選択したいので指定をされる方の治療はやんわり断ります。
最近あるのは、抜髄にも関わらず「根管充填材はMTAを使ってください」という希望
ネットで色々調べられるんでしょうね、ただ患者さんはデメリットにはついてはあまり調べられないようで。(HPなどは良い点しか書きませんからね)
MTAのデメリット
【一度入れると取れない】 ガッタパーチャーであれば再根管治療が出来ますが、MTAを入れた場合次の治療は外科的歯内療法、もしくは抜歯 ←このこと知らずにMTA根充希望される方は注意
【入れるのが難しい】 これは術者の腕次第ですが、MTAを過不足なく入れるのはある一定の太さが必要で抜髄であればMTAを入れる為にわざわざ歯を削ります。 →最近のトレンドは歯質の弱体化に繋がる為になるべく根管は削らない方向になっていますが、MTAを入れる為にトレントに逆行する治療になります。
【黒変する】 先発薬のMTAは酸化ビスマスという造影剤の影響で歯質を黒くしてしまいます。 →前歯に使用すると将来的に歯の色がグレーに見えます。 後発薬のジェネリックMTAはそのようなリスクを軽減出来ますが、先発薬ほどの論文数が無い為MTAとしての効果に多少疑問がある物も・・・
【膨張する】 MTAは僅かながら膨張します。この膨張もMTAの種類によって膨張量が変わります。 →この僅かな膨張が良いという先生もいますし、この根管内の膨張で歯根破折のリスクが上がると考える先生もいます。
当然、ガッタパーチャーにもデメリットはありますが、1つ言えるのはMTAはメリットばかりではありません。
デメリットを知らずにメリットから材料を選択するのと、メリット・デメリットを知ったうえで材料選択するには大きな違いがあります。
色々な考えはありますが、自分の臨床は自分の知識と経験則から材料を選ぶのがベターだと思っています。
(これで飯を食べている訳ですから、患者さんよりは知識があります)
私は根管充填材料は、
・ガッタパーチャー(固形、軟化タイプ)
*シーラーはMTA系シーラー(← そこまでこだわりはないがトロープ先生お勧めの結構高いもの使っています)
・MTA(先発薬のMTAホワイト、もしくはジェネリックMTAプラス)
また根充剤の詰め方はケースbyケースで
今は4つの方法から各根にあった方法で充填します。
(1本の歯でも神経管の形状に合った根充法を選択します)
後、未だに日本にはびこる、『根充さえきちんと出来ていれば治る説』
これも自分は完全否定!
根管治療の成否は菌の感染の有無であり、きちんと根充剤が入らないより入った方がいいですが、
根充剤の入りが結果直結するとはあまり考えていません!
例えば、感染根管のケース
ショートしてしまいました。
患者さんには根管充填がショートしたことを伝え、根充剤の入りよりその前の形成+消毒が大切でここはかなりしっかりしたから様子を見させてくださいと説明
もし再治療が必要になったら無料でやり直すと説明させてもらいましたが、1年後には根尖病変は治っています。
極論、かなり昔は【綿栓根充】と言って、歯の中に綿を詰めていた時代もあります。
根管充填材に綿を詰めていても問題は起こっていませんでしたが、
何十年も前の治療をやり直させてもらい、第2大臼歯はMTA、第2小臼歯はガッタパーチャーを入れ、
術後6年問題なく経過しています。
つまり、「根充剤は〇〇を使えば良い!」という訳ではなく、根管充填前までの菌を減らすという治療の方が重要になります。
ですから、少なくともEEデンタルへ受診する患者さんが根管充填材を考える必要はありませんのでね!(^。^)
ただ、アレルギーがある場合などは事前に言ってくださいね、代用できるものを考えます。
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