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歯内療法日記の最近のブログ記事

開業して行った根管治療のやり直し

歯内療法専門医の抜髄の成功率 おおよそ90% 

今の1つの基準は術後4年後の成否で成功率を出します。

  

ただ、口の中は細菌まみれで毎日使っていれば力も加わり悪くなってきますので

はっきり言ってしまえば、成功率というのは年々下がっていくもので、4年後に問題無い歯が一生安泰とはなりません。

 

また、私のような開業医は実際4年後まで予後を追うことはほぼほぼ不可能で、

自分なりの成功率も出したいのですが、患者さんの負担なしにデーターを取ることができません。

*根管治療後に膿や症状が落ち着き、半年後のレントゲンで治癒傾向が出てくると4~5割ぐらいの患者さんは安心したのか1年予後のレントゲンは無料でも撮りに来てくれません。。。

 

患者さん心理として、忙しいんだからわざわざ治った歯の為にレントゲンを撮りに行く時間を割けないといもの重々承知です。

 

ですので、開業医できちんと成功率を出せるのはかなりハードルが高い!

  

  

今回のケースは開業してすぐの2008年に抜髄をさせて頂いたケース

患者さんは50代女性

2024 EEdental OKA (1).jpg

私が抜髄を行った右下6

*この当時アナログのレントゲンで2008年からデジタルに移行したため2009年の1年予後のレントゲン

  

2021年に全顎検査をさせてもらった際のレントゲンで「あれ、根尖病変 or 歯根破折!?」的な所見が出てきてしまいました。

幸い症状はなかったので、患者さんにそのことを説明し少し様子をみることに。

 

ただ、悪い予感というのは大体当たるもので、2024年に入り痛みが出た後に歯茎から膿が出てきてしまいました。

そうなってしまったので、再根管治療を行うことにしました。

2024 EEdental OKA (2).jpg 

根尖病変は少し大きくなってきています。

 

 治療回数は2回で根管充填+レジンコア+仮歯まで

2024 EEdental OKA (3).jpg

自分のやった根管治療(抜髄)で再治療するのは久しぶりなのですが、過去の治療のどこが悪かったのか!?を見ることができ経験値が積めます。

  

術後6ヵ月後

2024 EEdental OKA (4).jpg

腫れや痛みなどの症状もなく骨も出来てくれており一安心!

  

 

昔と比べて、根管治療は殆どコンセプト、内容に関して替えていませんが、

昔と変えた所は、レジンコアのスタートの位置(根管口よりだいたい2mmしたぐらいから接着に頼ります)、後はレジンコア材料の変更(ディアルキュアはダメだと実感)などあります。

 

一般的にはレジンコアにはディアルキュア(光・化学重合型)が用いられますが、

これって1回で詰めるのでレジンの収縮による浮きが存在してしまい、その隙間から唾液感染があるんじゃないか!?と思い、ディアルキュア系のコア用レジンは使わなくなりました。

*海外の先生も同じようなこと言っていた先生がいましたが、光重合型レジンに比べディアルキュア型レジンが優れていれば、世の中の商品の殆どがディアルキュア型になると思いますが実際はそうではありません。

 

何度か過去の自分の行ったディアルキュア系レジン外しましたが、たまに浮いたような超微妙な隙間を見てしまい、こういう考え方になりました。

以前のセミナーでもお話しましたが、今は充填用のフロアブルレジンを12~15回ぐらいに分けて積層し、レジンの収縮の補正をしています。

(1回で詰めていたものを、15回に分けるので手間といえば手間ですがそこはこだわるポイントかなと思います。)

 

ちょうどYouTubeに上げた動画があったので、

昔の土台の作り方

  

最近のレジンコア(覚えていませんが10年前ぐらいからディアルキュア系レジンは使っていません)

手間も時間も材料費もかかりますが、長期成功を目指すには必須かなと今の自分は思っています。

  

変わっていないようで、毎日少しずつ感じたエッセンスを取り入れ替えています。

「変わらない為に変わり続ける」語源は誰が言ったか知りませんが、結局先人が説いた言葉が真理なんだろうなと思います。

  

今回のケース何とか病変が治ってくれて一安心!(p・Д・;)

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根管治療に必修の縁下(歯茎下)からの隔壁

昨日からの動画の続きになります。 

金属アレルギー治療の為のメタルコア除去 - EE DENTAL_Blog

 

メタルコアを外すと、舌側縁下深い場所まで歯がなく患者さん(先生)に聞くと

どうやら過去に歯冠破折を起こし抜髄に至ったとのこと。

ですから歯が折れて無くなった部分を何かで補修する必要があります。

 

私の場合、電気メスとレジンで壁を作ることが殆どでこの操作をしておくと、

根幹治療中にも唾液&細菌の侵入をある程度防げます。

 

今回は隔壁メイン動画になります。

一応、レジンも専門なのでレジンを使った隔壁にもかなりこだわりがあります! 

その動画 

虫歯、セメント除去、電気メスで歯肉のトリミング、フロアブルを用いた隔壁(OA3)、ラバーダム、感染根管治療、根管充填、レジンコア

  

 

沖縄からわざわざ来て頂いていたので、2時間半もらい1回でレジンコアまで仕上げました!

レントゲン 

2024 EEdental MIE1.jpg 

患者さん的には2時間半 「長っ!」と思われると思いますが、

歯科医師の先生からすると「早っ!」となります(笑)

 

先日も左上4の根管治療を受けてもらった先生に「メチャクチャ早いですね!」と言われましたが、

個人的に、治療はミスなく必要な時に必要な道具をケチらずに使う というスタンスです。

  

はっきり言って、自費治療なので1,000円、2,000円程度の材料代は無視していいコストなので、

効率が悪くなった瞬間に新しい材料はバンバン使い時間を短縮します。(時間を買う)

*保険診療と自費診療の差はこういった所にも出ます。

  

 

この後、セラミッククラウンまで作成させて頂きました。

 

わざわざ、沖縄から通院お疲れさまでした(・∀・)ノ

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4ヵ月前から根管治療を始めたが痛みが取れない

患者さんは40代女性 

2本の歯を診て欲しいとのこと

レントゲン 

2024 EEdental AFU (1).jpg

黄色の矢印:右下7 

10年前に根管治療を行った歯が痛む 歯茎を押すと膿が出てくる  

方針:かなりの確率で歯根破折で抜歯になると思われる。

 

ピンクの矢印:右下5 

痛みが出てしまい、4ヵ月前から根管治療をスタートしているが痛い。

特に朝に痛みが増す、歯の奥の方(根の方)が痛い。

担当の先生は外科処置(歯根端切除術)を行い治す必要があると言われた。

方針:まずはきちんと隔壁など作り、唾液・細菌が入らない環境を作って根管治療を行い痛みが取れるかみた方がいい。 経験上、外科処置を行っても痛みが改善する可能性はかなり低い。

  

主訴は2本でしたが、とりあえず右下5だけ治療することに

 

1回目の治療で行ったのは歯茎の中の虫歯を取り、その部分からレジンで隔壁を作り歯の中を徹底的に消毒

*4ヵ月以上根管治療をしているので、必要十分量歯の中は削ってあり、根の先(根尖)は大きく破壊されていました。

 

1か月後の治療2回目(歯は触らず、ヒアリングのみ)

根の先に一定の痛みを感じるが痛み自体は強くはない。

朝になると歯の浮いたような感じで痛いのは続いている。

 

1週間後の治療3回目

奥の方が痛かったのは無くなったが、朝に痛みを感じる。

ラバーダムをして歯の中を見るが膿などの悪い所見などはない。

方針:歯の中は特にやることがないので、もう1ヵ月このまま生活してもらい症状が落ち着いていれば、次回根管充填+レジンコアまで入れ様子をみる

 

1か月後の治療4回目

1ヵ月の間に2回大きな痛みがあった、今は痛みはなくなりすっきりしている。

というこで、MTAにて根管充填(根の先が破壊されていた為) 

2024 EEdental AFU (2).jpg

根管充填後に土台まで入れ、1ヵ月経過をみてもらい

今回のケースは、根管充填から1か月後に仮歯を入れ咬めるようにして行きます。

 

術後6ヵ月 

2024 EEdental AFU (3).jpg

痛みや腫れもなく、特に悪い感じはない

かかりつけの先生にクラウンを入れてもらうように説明 

  

治療後1年

2024 EEdental AFU (4).jpg

痛みや腫れもなく普通に咬めるとのこと

  

OK、OK、特に問題も無さそうなので終診

 

 

今回のように、根管治療に行き詰まると外科で何とかしようとする先生がおれますが、

これは完全な間違い! 外科をしても症状を悪化させてしまうのがオチです。

まずはベーシックな部分を抑えた普通の根管治療を行うべきです。

 

長く続く痛みの多くは、細菌感染を止めれていないことより始まります。

また、痛みが数カ月続いていたようなケースだと、その痛みを取るのにも数カ月かかります。

 

今回のように残っている歯質が少ないような場合は、どうしても歯の中に細菌が入りやすいので

きちんと隔壁からすべきなんですが、保険治療ではこの手間のかかる隔壁に点数(治療費)が付いていない為、赤字の根管治療になってしまいますが。。。

今回のような隔壁なく根管治療をしているのは、雨漏りしている屋根なのに廊下の雑巾がけを永遠にしているようなものでいつまで経っても床は濡れ汚れたままです。

 

今、世界的にみて、1万円以下で根管治療が受けれる国など殆どないと思いますが、やはり安い分手間をかけれないもどかしい部分も保険の先生にはあると思います。

 

こういった現状を患者さんに知って頂き、どうしても歯を残したいという方はその部分だけ歯内療法専門医にかかるのも1つかと思います。

*ただ、歯内療法専門医でも保険治療では出来る内容に限りはあります。

 

今回のケース、非原性歯痛ではなく痛みが取れてくれて良かったです(^。^)

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大きな根尖病変は治ったのだが歯が折れた... 再び保存治療!

以前ブログにさせてもらった患者さん

外科的歯内療法を併用した歯の治療 - EE DENTAL_Blog 

2024 EEdental MAM (1).jpg

大きな病変があり、近医の先生から膿が止らないとのことで紹介を受けました。

 

根管治療だけでは膿は止まらず、外科的歯内療法を行い歯の保存を行いました。

2024 EEdental MAM (2).jpg

 

1年後綺麗に治ったので、かかりつけの先生の歯科医院に戻って頂きクラウンを入れてもらいました。

2024 EEdental MAM (3).jpg

 1年でかなり綺麗に骨が出来ています。

 

ところが。。。

 

先日、歯が折れかかりつけの先生に診てもらった所

EEデンタルで相談した方がいいとのことで、再来院 

2024 EEdental MAM (4).jpg

診せてもらうと、  

ファイバーコアを入れていたのですが、それがぽっきり折れてました。

 

患者さんに聞くと、「パン食べていたら折れた」とのこと

やはりフェルール(歯茎の上の健康な歯がないもの)の無い歯は弱い!

  

たまにあるのですが、患者さんはパンは柔らかいイメージがありますが、歯科の世界ではパンは固い食品に入ります。(特にショクパンのみみ、ハード系のパン)

ファイバーコアと言っても、レジンコアより少し強いぐらいで無理させると折れます。。。 

 

歯の強度に関係するフェルール 

非常に大切な部分なのですが、これを失う理由は、「歯科医師の治療・・・」

*だから頻繁に治療を受けてはダメ!なんです。

 

特に大きくフェルールを失うのは、再治療の際の土台の除去

 

個人的には根管治療後クラウンまで担当させてもらうことが多いので、根管治療を行う際にはこの部分は何としても保存させたいと思っています。

色々な道具を駆使して残っているフェルールを死守します。

 

根尖病変(膿)を治した後のことまで考えておかないと長くは使えません。

 

 

今回のファイバーコアが折れてきてしまった歯、せっかく保存出来たのに歯を抜くか!?

   

患者さんにはまた、もう1回ファイバーコア作って歯を保存させる提案をしました、

ただし、また同じように咬むと折れると思うから見た目だけ!の歯になる感じ

食事の際に物を噛み千切る際にはずらしてこの歯を使わなければ残せますが!?と説明し

 

もう一度ファイバーコアを作り直しました。

一応3年の保障期間中だったので、土台に関しての費用は0円、仮歯代を5,500円頂きました。

*この他、再初診代11,000円がかかりますが、以前ブログにさせて頂いたので初診代は0円 となります。

**クラウンは私は作っていないので、またかかりつけの先生に作ってもらいます。

  

今回のケース本歯はすぐには作らず、半年後にレントゲンを撮って経過をみてから本歯の検討となりました。

 

経験上、前歯はフェルールのない歯で物を噛み千切ろうとするとたまにファイバーコアが折れます。

患者さんの分からない、見えない部分の歯質の残存量というのは歯の長期保存にとって非常に重要です。

根管治療をやり治す度に健康な歯質は大きく失われるので、神経治療はなるべく1回目の治療(抜髄)をきちんと受けるべきです。

 

逆に奥歯はフェルールなど無くても、殆ど土台が折れてくることは殆どありません。

もし前歯の神経を取って、2回根管治療を受けていればその歯では積極的に硬い物は咬まない方がいいですからね!

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抜歯適応!? 今回は抜かずに使えるまで使う!?

ここ10年以上、ホームページやブログのアクセス解析など見ていないのでアクセス数も分からず

好き勝手書いていますが、意外とブログは読まれているということに気が付きました。

(メールでGRヤリスブログ読んでいますとか(笑)) 

  

後患者さんの中にはかなりブログ読みこまれている人もおり

「それブログに書いてありました!」など

このブログを読まれている方は

説明が少なくて済んでおり楽させてもらっております。

 

ですので今更このようなネタを書かなくてもいいかもしれませんが、一応

  

患者さんは、歯科と言えば全て同じ基準でどこの歯科医院でも同じような治療が受けられると思っている方がおられますが、これは全然違います。

1つ例を上げれば、「歯を抜く判断」これは先生毎に大きく違いがあり、A先生が抜歯と判断した歯でもB先生は保存できると判断することがあります。

今回はその一例

患者さんは40代女性

一度全体的に診てもらいたいとのことで来院

 

左下のレントゲンを撮ると、親知らずが横向きに生えておりその影響からか歯茎の下に大きな虫歯。。。

2024 EEdental MYO (1).jpg

過去に一度神経を取る治療をされたそうなのですが、小さな女性で開口量も少なく、治療の難易度が高すぎる為、先生も出来る範囲での治療となったのでしょう(推測)

   

レントゲンを見て多分70~80%ぐらいの歯科医師は抜いた方がよいと判断するのではないでしょうか!?

ただ、個人的には縁下の虫歯は難しいですが保存出来ると思っているので

「使えるまで使いますか!?」

みたいな感じで残す治療を勧めることがあります。

   

根管治療を行い

2024 EEdental MYO (2).jpg

 この状況だと、クラウンにしてもレジンで詰めてもさほど寿命に差は出ないだろうと、レジン充填で補綴しました。

  

しばらく経過を診て

術後1年

2024 EEdental MYO (3).jpg

 

術後2年

2年予後まで見て腫れや痛みもなく、問題なさそうなので終了! 

  

 

先日来院されたので、どうなっているかレントゲンを撮らせてもらいました。

 2024 EEdental MYO (4).jpg 

12年前と殆ど同じ状態だったので、一安心。

 

私見ですが、歯の治療は難易度の高いケースほど拡大視野(顕微鏡)というのは必須だと思います。  

このような歯茎の中の問題は顕微鏡がないと、手探りの盲目的な治療になるので問題が起こりやすいです。

繰り返しになりますが、

抜く判断というのは先生毎に違いがあり、A先生が抜歯と判断した歯でもB先生は保存できると判断することがあります。

特にインプラントよりの先生は骨があるうちに抜歯して、良い環境でインプラント入れたいという気持ちも分かりますが、個人的には自分の歯に勝るものはないと思っているので、残せそうなら歯の保存を行います。

 

 

私の基準は折れている歯、歯周病でぐらつく歯に関しては私は抜歯と判断することが多いです。

 

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吸収するMTAセメント  歯根吸収ケース

患者さんは40代女性

左上奥歯の違和感が続くとのことでレントゲンを撮らせてもらいました。

2024 EEdental MY (1).jpg 

左上7の奥に左上8(親知らず)が埋まっており、その部分に深い歯周ポケットがありました。 

治療の難しい近心頬側根も手づかずのような状況

  

患者さんの話などを聞き、まず左上7を治療してみましょうと説明し治療スタート  

 

治療を開始すると親知らずの影響で左上7遠心頬側根側面に歯根吸収があり

その部分から歯の中に不良肉芽が入り込んできていました。。。

1回目の治療で不良肉芽を電気メスで除去、止血の為に水酸化カルシュームを貼薬

治療2回目、その部分から排膿あり。

治療3回目 MTAセメントにて穴埋め 

2024 EEdental MY (2).jpg

かなり複雑な歯根吸収でした。

治療4回目根管充填

2024 EEdental MY (3).jpg 

4根管ちょっと複雑な根管でした。

 

治療後1年

2024 EEdental MY (5).jpg 

腫れや、痛み、膿などは出ていません。

 

治療後2年

2024 EEdental MY (6).jpg

2年予後まで見て、問題無さそうなので終診

 

 

先日他の歯を見て欲しいとのことで久しぶりに来院されたのでついでに左上も見せてもらいました。

2024 EEdental MY (7).jpg

親知らずがだいぶ伸びてきており、綺麗には生えているのですが、

長年汚れていた左上7遠心面には深い歯周ポケットが存在しています。

 

ただ、根管治療を行わせてもらった左上7は問題なさそう。

 

歯の外に出たMTAも12年の期間で吸収されています。

2024 EEdental MAY (8).jpg 

 

歯に穴が開くパターンは3つあり、

①治療による人為的なミスによるパーフォレーション

②自分の細胞(マクロファージ)による歯根吸収

③親知らず(歯)放出による隣在歯の歯根吸収

この3つがあり、特に③はレアですがたまにあります。

 

①、②、③、共通して言えることは歯に穴が開いた場合は早目の治療の方が細菌感染が軽度で歯の保存率は高い気がします。(私見)

  

今回のケース何とか10年以上持ってくれて良かったです!

更にもう10年持ってくれるといいのですが(^。^)

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歯根破折は分からない

患者さんは60代女性

今年の3月に腫れてきた為かかりつけを受診

そこで根管治療を行ったが、咬んで痛いの収まらず、再び腫れて来た。

現在頬の辺りが腫れているとのこと、

 

レントゲンを撮ると

2024 EEdental SMI (1).jpg

右上5に透過像が見られるのですが、根の先から歯根破折を起こしたようにも見えますし、

上顎洞を避けるように病変が下に降りてきているようにも見える。。。

 

患者さんには折れている可能性があることを説明

自分なりの診断はこちら⇒歯根破折歯のフィステル(サイナストラクト)と診断法 - EE DENTAL_Blog

  

今回の場合はポケットもなく、フィステルもないので折れてはいないか!?

 

何にせよ、治療して中を見て確定診断する必要はありそう。

 

1回目の治療で、仮歯、レジンコア、上部ガッタパーチャーを除去すると・・・

DSC01267.jpg

中央部から根の先にかけはっきりとしたクラックが・・・

 

患者さんには折れていること説明さえてもらい、後学の為に1枚レントゲンを撮らせてもらいました。

 

2024 EEdental SMI (2).jpg

ガッタパーチャーを取ると、うっすら破折線が確認できます。

  

 患者さんにレントゲンの見方で説明するのは、

「レントゲンは金属の濃淡を表すものでそこから何を読み取るか。 金属濃度が高ければ白く映り、口の中など金属の無い場所は黒く映る。 歯や骨もカルシュームという金属が入っており虫歯や根尖病変でカルシュームが少なくなると黒くなってくる。 正常所見では灰色の部分が正常所見の所に黒いものが出てくるとそこを怪しいと判断します」

破折線も歯が割れ開いた所なので、レントゲンでは黒い線で見えます。

 

根尖病変と破折歯は所見が非常に似ており、識別するのが非常に難しいです。

こちらは、折れている可能性が高いと思っていたのですが、

歯が折れていると思ったら。。。(歯根破折) - EE DENTAL_Blog

根尖病変であり治癒したケース

 

患者さんは術前時に診断が全て付き、治療を始められるようなイメージを持っている方もいますが、実は破折という病名は『術者が破折線を確認して病名が付けられるもの』なんです。

 

今回の患者さん残せるような雰囲気はあったのですが、歯根破折だったので抜歯してインプラントしてもらうこととなりました。。。

破折の診断というのは難しいし、患者さんに破折と伝えるのも気が引ける(T。T)

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側切歯に見られる大きな根尖病変 術後9年ケース

たまたまですが、今月過去に治させて頂いた患者さんのレントゲンを撮ると

Aさん

2024 EEdental 2 (1).jpg

Bさん  

2024 EEdental 2 (2).jpg 

2ケースとも術後9年 大きな根尖病変は綺麗に治ってくれています。

 

毎回不思議だなと思うのは、前歯で大きな根尖病変が見られるのは決まって側切歯(2番)

最近書いたブログの歯も

たまにある側切歯の大きな根尖病変 - EE DENTAL_Blog

また前歯の中でも側切歯の根管治療の予後は悪い歯なので、この歯の根管治療が必要になった場合は歯内療法専門医に治療してもらった方が個人的にはいいと思います。 

 

ホント、側切歯は根尖病変(治療の失敗)が多い・・・(T。T)

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上顎洞炎になる前に

最近ちょくちょく、副鼻腔炎(上顎洞炎)になってしまい耳鼻科に行ったら歯科の問題という方がおられます。

 

私が患者さんに説明する時

鼻の両方に問題がある場合は殆ど耳鼻科の問題

右・左 片側に起る副鼻腔炎の場合は歯科の可能性がある。

 

何故鼻の問題なのに歯科なのか!?

 

歯が原因で副鼻腔に問題が起こるのは歯の中の細菌感染(根尖病変)

炎症が徐々に歯の外に広がり、骨を溶かしその炎症がやがて歯の隣の組織である上顎洞に達すると副鼻腔炎(上顎洞炎)となります。

特に多いのが、第1大臼歯、第2大臼歯 

歯からくる蓄膿症(歯性上顎洞炎) - EE DENTAL_Blog 

極たまに小臼歯が原因になることもありますが、かなりレアです。

珍しい第2小臼歯からの上顎洞炎 - EE DENTAL_Blog

  

これは副鼻腔のとの位置関係にもよりますが、下の歯が原因で副鼻腔炎が起こることは1000%ありません。

 

今回のケースは、40代女性

全顎検査を行うと右上7に根尖病変が見られ、根尖病変が副鼻腔を上に押しています。

2024 EEdental STO (2).jpg

過去に2回ほど根管治療をしたようで、残っている歯質もかなり少ない・・・

またよくあるMB根が治療の不備から根尖病変に 

*MB根は治療が難しくこういったケースは多い(ある面保険診療では仕方がないと思います)

 

治療回数は2回

2024 EEdental STO (3).jpg

MB根はレッジ(前の治療で付けられた傷)があり、その部分を修正してオリジナル根管を清掃

P根は過去に入れたガッタパーチャーを外すと根の先から膿が出てきました。

  

2回目の来院時に症状もないことから、3根管を全て綺麗にして根管充填

レジンコア(土台)と仮歯を入れさせてもらい。  

 

 

1年経過後のレントゲン検診

2024 EEdental STO (1).jpg

 綺麗に根尖病変が治ってくれています。

また押し上げられていた副鼻腔も元の位置に戻り、ここまで正常所見に近くなれば

副鼻腔炎などのリスクはほぼ無くなったと考えてもいいでしょう!(^。^)

 

奥歯の治療は道具が入りずらいのでどうしても今回のようなケースになることが多々あります。

特にMB根の治療はコツや専門的な道具が色々ありますので、一般歯科の先生も第2大臼歯の根管治療に自信がなければ歯内療法専門医を頼ってもらった方がいいと思います。

 

それにしても1年で綺麗に治ってくれましたね!

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レントゲンを撮らない先生

患者さんはちょっと前にブログにさせて頂いた。

抜歯宣告を受けた前歯の治療 - EE DENTAL_Blog

70代男性患者さん

 

3週間前に歯がズキズキ痛み出した、しばらく痛んだが数日で痛みは無くなった。

その後かかりつけに行き診てもらうも「問題無い」と説明を受けたが・・・

 

あれだけ痛かったのに「問題無い」はちょっと不安ということでEEデンタルへ

 

 

レントゲンを撮らせてもらうと

2024 EEdentalTKA (1).jpg

1秒で今回の痛みは右下5が原因ですね! 

後、左下4の私が5年前に治療した歯にも虫歯出来てますよ。

 

患者さんと話をするとどうやら数年前に右下奥歯の入れ歯を作ったようなのですが、

先生からの指導もなく、歯磨きは入れ歯をいれたまましているとのことで

それが原因で鉤歯(入れ歯の針金がかかった歯)が磨けず虫歯にしてしまった感じ。

  

患者さんには、入れ歯の針金がかかっている歯は特に虫歯になりやすいこと

また歯磨きは毎食入れ歯を外して歯を磨くように説明

(入れ歯作った先生が指導するべきなのですが・・・)

 

で今回の虫歯、歯茎のきわから中から進行したようで、口の中を裸眼で見てもはっきり悪い所は見当たらない。

顕微鏡で観察するとこの虫歯の入り口は確認できました。

  

ただレントゲンを撮ると、歯科国家試験を受けるレベルであれば皆が答えられるレベルの問題。

 

歯科って、不思議でレントゲンやCTをガンガン撮る先生もいれば、痛いと言っていてもレントゲンを撮らない先生まで様々。

私は、小さなレントゲンの被爆は無視していいぐらいだと思っているし、比較的感度の高い検査なので主訴の歯の98%ぐらいはレントゲンを撮ります。

 

今回患者さんには、たぶん痛みが引いたのは神経が弱った為、

右下5は神経を取ってレジン充填

右下4は一度過去に詰めたレジン外して、神経保存+レジン充填

と方針を出させてもらいました。

 

治療回数合計2回

2024 EEdentalTKA (2).jpg

右下5は遠心の穴から根管治療を行いました。

右下4は縁下部分を顕微鏡で直視して治療

 

綺麗に治療出来たと思います。

 

患者さんには歯茎が下がった歯根部分は虫歯になりやすいので、毎回入れ歯を外して歯茎の際を良く磨くように指導させて頂きました。

後、年齢的にもフッ素の洗口剤(ミラノール)は使った方がいいと説明

   

 

歯科治療の原則はまず原因歯の特定と治療方法の決定

正しい診断の為には必ずレントゲンで硬組織の状況を見る必要があります。

ですので、患者さんには微妙な被爆はお許しを頂く形になってしまいます(・∀・) 

 

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