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歯内療法日記の最近のブログ記事
女性に多く予後の悪い樋状根
- 2023年1月28日 09:00
- 歯内療法日記
度々このブログでも出てくる樋状根
この樋状根というのは黄色人種の女性に多い神経管が複雑な形態の歯で、下顎の第2大臼歯に現れます。
*日本人女性の約3割といわれるので、結構な確率です。
複雑故に最初の抜髄が上手く行かなかった場合の再治療に関しては正直裸眼では治癒は難しいと個人的には思います。
樋状根でない歯の多くの歯の神経は水道管のような管が2~4何本かあり、その管を掃除すればいい訳ですが、
樋状根はその管が何本も繋がりレースのカーテンのような形態をしています。
イメージしてみてください。
『水道管の中を専用のブラシで拭き掃除する』のと、【レースのカーテンを吊るしたまま全面拭き掃除する】
水道管であれば水道管の入り口を見つければ、後は専用の道具を突っ込み掃除すれば汚れた部分が見えていなくてもある程度は綺麗になります。
ただ、カーテンだと汚れた部分を見つけそこをピンポイントに掃除しないと綺麗にはなりません。
また神経管の出口も1本1本バラバラで、この部分の封鎖が肝になるのですが、出口が見えずに封鎖するのと出口が分かっておりそこを封鎖した場合、当然結果も変わってきます。
今回の患者さんは50代女性
悪い所は治しておきたいとのこと
レントゲンを撮ると左下の奥歯に虫歯が見られ、そこから細菌感染したのか大きな根尖病変が見られます。
このような親知らずの影響などで歯茎の中に虫歯が出来た場合、かなり治療難度が高くなります。
先日も口腔外科の先生から親知らずを抜いたら第2大臼歯遠心縁下に虫歯があったのでEEデンタルを紹介してもらった。
と来院がありましたが、歯を長持ちさせるのであればオーソドックスな治療より
「EENO ボール」を使って神経を取らずにピンポイントで治療をした方がいいと思います。
今回の患者さんもオーソドックスな遠心縁下のカリエスの為に神経を取ってクラウンを被せたようなのですが、だいたい予後はこんな感じで悪くなることが多いです。
似たようなケースの歯の保存:抜歯適応の歯の保存治療後6年半 - EE DENTAL_Blog
レントゲンの歯ですが、2回法で根管治療を行いました。
1回目に人工物と虫歯を除去して、唾液が入らないようなしっかりした壁を作る。
2回目に症状がなく、問題なかったので根管充填+レジンコア
かなり大きな虫歯が歯茎の中にあり、そこから細菌感染しているような感じでした。
*根管充填材はMTAを使用、根尖まで入っていないように見えますが顕微鏡で根尖からMTAを入れています。
先日、別件で来院されたので久しぶりにレントゲンを撮らせてもらいました。
過去どこに病変がありましたかね!?というぐらい骨がびっちり出来てくれています!
*根管治療に疎い先生は根の先まで根管充填材が入っていないのでやり直しした方がいいと判断する先生もいると思いますが、絶対やっちゃダメ!(根管充填剤の入りで予後が決まる訳ではありません)
基本的に根の治療は手間がかかり難しい治療なんですが、歯の神経管の形により更に予後が悪い場合もありますので注意してください。
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ホワイトニングをしたら痛みが出た、その後7カ月痛みが止らない
- 2023年1月17日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
ホワイトニングを行った後から痛みが出てきてしまい抜髄(神経を取る)をした。
その後クラウンを入れたら、痛みが再び出てきて再根管治療をスタート
5ヵ月根管治療をするも痛みが止らないのでB歯科医院に転院し薬の交換をしてもらうが痛みは無くならない。
その後、F歯科医院に行くとEEデンタルに行った方がいいと説明を受け受診
今の痛みは絶えず何かで突かれているような感じ、夜になると顎の方まで脈を打つような痛みが出て、よく寝れない。
指で歯を触っても痛い、今は絶えず痛いということ
話を聞くとトータル8カ月以上根管治療をしているとのこと
寝れないような痛みが続くと困ってしまいますよね・・・
レントゲンを撮らせてもらうと
根管充填がされており、仮蓋の状態。
抜髄スタートだった為に特に大きな根尖病変は見られません。
私の予想として、隔壁からのリケージ(細菌感染)と根尖の突き過ぎを疑う所見
経験上、だいたい抜髄でトラブった歯はこのどちらかのパターンが多いので、
患者さんには基本に沿って一からやり直した方がいい。
痛みはすぐには消えないこと、治る場合も痛みが出ていた期間は待ってもらう必要があることを説明
治療は1カ月おきに行い、頻繁には触らない方がいいと説明
患者さんも抜かずに済むなら治療したいとのことで
治療1回目
一度過去の人工物を全て外し、レジンにて隔壁を行い、ガッタパーチャー除去
するとやはり根尖が広く削られていました。
1ヵ月後の治療2回目(歯は触らずに電話インタビューのみ)
普通にしている時の痛みは無くなった。よく寝れており改善を感じる
ただ、咬むとまだ痛い。←まだ噛んではダメ!と指導
前回から更に1か月後の治療3回目
開口一番「先生はどんな魔法使ったの!? 嘘みたいに痛みが取れた」と言われました(笑)
詳しく話を聞くと、1回目の治療後の2日目には痛みは取れた、夜の痛みも全くない
指で押さえると違和感はまだある ←指で触らないように指導
根管内は特に問題も無さそうだったので、根管充填
根尖がはやり大きく削られていたのでMTAを使用
そこから仮歯で生活してもらい
1年予後
かかりつけの先生に仮歯がよく出来ているから外れるまで仮歯と言われたそうなんですが、
おおよそ仮歯は1年半ぐらいで本歯を入れてもらった方がいいでしょうね。
痛みがとれないようなケース、抜髄がトラブったケース
何度も触るより早目に歯内療法専門医に頼った方が解決は早いと思います!
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激細根管の歯内療法と歯髄断髄法
- 2023年1月11日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは50代男性(歯科医師)
2カ月前にセラミックインレーを形成した所から大きな痛みが出てくる。
その後1カ月ぐらい痛みが続いた後、痛みは落ち着いてきた。
先生が言うには「涙が出てくるほど痛かった。。。」
自院でレントゲンを撮ると、神経が死んでしまったようで根尖病変が現れてしまった。
とのこと
レントゲンを撮ると
CTで見ると、痛みのあった第一大臼歯はやはり神経が死んでしまったようなので、
第一大臼歯は根管治療を行うことにしました。
ただ、神経管がかろうじてCTで分かる程度に細い・・・
術中
4根管でしたが、メチャクチャ神経管が細く0.06と0.08mmのファイルでタッグバックを追う。
今現在、抜髄やネクローシスパルプは長目に時間を頂き1回法で根管充填+支台築造(レジンコア)まで行うのですが、
神経管が細い為、4本中、3本根尖まで穿通した所でタイムアップ。。。
治療2回目に根管充填+レジンコアまで行いました。
2か月後、再び連絡を頂き「あれから奥歯のインレー形成をしたら痛みが出始めた。。。」
歯髄処置ならやっぱり専門医の先生にお願いしたいとのことで、
再び、再診断
第2大臼歯の私が出した治療法は「歯髄断髄法」(神経の上の部分だけ取る)で行けるんじゃないか!?
CTで根尖の透過像確認を行うと、まだ何とか神経は残せそう!
ということで、1回法で断髄+レジンベースまで
第2大臼歯はセラカルにて覆髄
第1大臼歯はガッタパーチャー使用
そこからかかりつけの先生にインレーを作ってもらい
治療半年後
第2大臼歯の断髄部は問題なし
第1大臼歯も症状はないとのこと、透過像も縮小傾向が見られ、
次回は1年予後の診査となりました。
帰りがけに先生は「やっぱり歯内療法専門医は安心感が違う」と言ってくれましたが、
たまたま2本何とか残せそうです。
特に第1大臼歯は他の先生にレッジなど作られ来院されていたら・・・
ぶっちゃけ根管治療は1回目の先生でその歯の予後というのは大体決まってしまうと思います。
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珍しい大臼歯遠心根のロングイスムス
- 2023年1月 7日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性 近医の先生からの紹介
紹介状には、再根管治療を行い一度は舌側のフィステルも消失し根充後
経過観察をしていたが、再び同じ場所にフィステルが出来てしまった。
とのこと
レントゲン、CTを撮ると、
遠心根の病変は昔からあったかのようで、歯根の先に吸収と添加が起こり複雑な形態に
またCT上では4根管きちんと治療してあります。
たまにありますね、こういうなかなか治らないケース。。。
通法の根管治療を行いました。
治療1回目、人工物を一度外して徹底的な洗浄を行いました。
治療2回目 私的には前回の治療で膿も止まっただろうと思っていたのですが、
フィステルは治らず排膿あり・・・
CTで膿の原因は遠心根(奥の根)とは分かっているのですが、、、
この状態で根管充填(薬を詰める)してもまず治らないので、次に怪しい場所を掃除することに
前回の治療で、離れた場所にある2本の神経管の間に細いイスムスという溝があるのは分かったのでこの場所の清掃に着手
*このイスムスは細すぎて、CTなどでも識別できません。私は顕微鏡下で洗浄液の動き方を見て推測します。
30分かけてこの細い幅0.1mmに満たない場所の超音波切削、洗浄をおこないました。
術中レントゲン
イスムスを削ったので遠心根の黒い2本線が、太い1本線に変わっています。
根尖2mm手前までイスムスを追いました。
*イスムス:MM根 (Middle Mesial) MD根 (Middle Distal )の探し方 根管治療 - EE DENTAL_Blog
治療3回目
患者さんは治療後1週間程度でフィステルは無くなったとのこと、痛みなどもないとのこと
いつもならこの状態で根管充填を行うのですが、今回のケースは私的にもレアケースなので、
治療3回目は洗浄のみ行いました。
年明けの今週に治療4回目
腫れや痛みは出ていないとのことで、根管充填
遠心根は樋状根のようなクネクネした形状だったのでMTAを使用
近心根はガッタパーチャー使用
イスムスは近心根には多くでてきますが、これだけ根管の離れた遠心根にイスムスが出てくるのは
開業以来初ケースでした。
この後、レジンコア、仮歯を入れ半年後にレントゲン診査を行っていきます。
これで治ってくれれば理想なのですが^^;
先日もありましたが、痛みが取れない膿が止らないという理由で闇雲に根尖をカンガン削って更にドツボに、1年以上根管治療を続けている患者さんも困り果てて転院してきた方がおられましたが、
はっきり言いましょう!
「根の先を闇雲に必要以上に削っても治りません!」
感染源が根尖にあるという昔の教育が染み付いている先生ほど根の先を必要以上に削り、最初より症状が悪化してしまいます。
後、貼薬剤を交換しながら治すという治療も過去のものです。
幸い今回の歯は担当の先生がある程度の段階で専門医を紹介していただけたので、
根尖も大きく破壊されていなかったのでまだ治療がやりやすかったです。
根管治療で同じ歯を半年以上触っている患者さんは、その先生では治る見込みはかなり低いので歯内療法専門医などを紹介して頂いた方がいいと思います!
*歯内療法専門医ではやり直しの根の治療は通常2~3回の治療で終わることが殆どです。抜髄なら1回が理想!
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抜歯適応の歯の保存治療後6年半
- 2023年1月 4日 09:04
- 歯内療法日記
あけましておめでとうございます。
本日より通常診療を行います。
メール、留守電の返信は順次行っていきますのでよろしくお願いします。
今回の患者さんは年末に来院された患者さんの予後
患者さんは40代男性、他の歯の治療で来院してもらった際に
過去の治療箇所のレントゲンを撮らせてもらいました。
術前
2年前に親知らずの影響で歯茎の下に虫歯が出来てしまい、神経を取り治療をしたのですが最近調子が悪い。
骨が大きく溶け歯が揺れている、遠心のポケットも8mm
話を聞くと親知らずの影響で第2大臼歯遠心面に虫歯が出来てしまったそうです。
私の臨床上は
遠心の虫歯であればEENOボールなどでくり抜き虫歯治療すれば、症状のない歯の神経は残せることが多いです。
第2大臼歯遠心の歯茎の中の虫歯 - EE DENTAL_Blog
今回の歯は歯の周りの骨も大きく溶け、
患者さんには抜く前に残す治療にかけてみるか!?説明をさせてもらいました。
*破折であれば私は抜いた方がいいと説明し、トライは殆どしませんが破折には思えませんでした。
根管充填出来る頃には骨も出来始め動揺は小さくなってきていました。
その歯の6年半後
おぉ~、かなり良い感じで骨出来てくれましたね!
先日も似たような患者さんが来院されましたが、
歯を残したければ、保存治療、歯内療法の先生に診てもらった方がいいと思いますよ。
口腔外科とかインプラントの先生に診てもらっても抜いて症状を取る治療になります。
*先日の患者さんは歯内療法もインプラントも専門医という先生で、抜歯⇒インプラントと言われたそうです、私的にはまだ残せる治療できると判断はしましたが、専門医でも抜歯基準はマチマチです。
悪くなった歯は抜いてインプラントの方が予後の結果の見通しが立ちやすいので抜くというのも1法かとは思いますが・・・
個人的な経験則では短期間で大きく減った骨は、早い段階で適切な処置を行うことで骨は大きく回復してくれる傾向がありますね!(^。^)
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覆髄した歯が痛い...
- 2022年12月23日 09:03
- 歯内療法日記
患者さんは40代男性の歯科医師
2016年に大きな虫歯治療をさせて頂いたのですが、
2022年11月初めに、弱い自発痛が出始めたと連絡を頂きました。
とりあえず、咬合調整を行いあたりを和らげてもらい様子をみていたのですが、
その後、咬むと痛みが出てきた。しばらく経過して違和感に変わりたまに咬むと痛い
冷・温痛は出ていない。
年明けに神経を取りましょうか!?となったのですが、
12月に入り、膿んできたようで歯茎から膿が出てくるようになり急遽来院してもらいました。
レントゲンを撮ると
根尖病変が現れて、遠心の歯質にはクラックが見られました。
1回法で3mmの穴から根管治療をさせて頂きました。
ラバーダムをして1時間後
この歯はMB根とML根の間に発達したイスムスがあり、そこからMM根が出てきました。
今回の歯に関しては咬合が疑わしいので、この後仮歯を入れ経過観察をしていく予定です。
1時間の治療時間で消毒などの時間は確保出来ているのか!?という疑問もあるでしょうが、
私抜髄やネクローシスパルプには消毒液のNCを入れっぱなしで治療を行うので、
治療中ずっと消毒を併用して治療を行っています。
*菌を殺し、タンパク質である歯髄を溶かすので一石二鳥!
過去に神経の保存を行った歯、短期的には問題が出ていなくても中・長期的にみると今回のように歯髄炎を起こしてしまうケースがたまにあります。
ただ、今回の場合は過去の治療というより夜間の歯ぎしり(噛みしめ)が原因のような気もします。
個人的には、歯を残す専門でやっていますが歯の喪失理由で一番厄介なのは噛み合わせ(夜間の歯ぎしり)だと思っています。
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パフォレーション部の骨の治り
- 2022年12月20日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代男性
痛みなどはないが左上の歯茎から膿が出てくる。
レントゲンを撮ると
根側面に大きな透過像(骨が溶けている)
またかなり大きな金属の土台も入れているよう・・・
今回の病変私は、側枝もしくはパフォレーションを疑いました。
患者さんに説明を行い、今回歯を残す方向で治療を行いました。
長めに時間を頂き1回法で治療を行うと、過去の治療で2か所パフォレーション(歯に穴)があり、
下の部分をMTA、上の部分をレジンにてリペア
前の先生も頑張って残そうとチャレンジしたとは思いますが、
土台を取る時か、土台を作る際にパフォレーションを起こしてしまったのかと・・・
その後、仮歯を入れレントゲン
術後すぐにフィステルは無くなり膿は止まったそう
病変は一回り小さくなり骨は出来てきているようです。
術後1年
全く問題なく経過しております。
ちょっと大きな病変でしたので、もう半年様子をみることに
術後1年半
そこまで大きな変化は見られません。
むしろ透過像がMTAを取り囲むような所見に変わってきています。
こういう経験をいくつもすると、MTAなどの生体親和性が高い材料でも歯の外に出さない方がいいなと思います。
今回のケース腫れなどが出ない限り使えるだけ使ってもらおうと思いますヾ(・∀・)
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痛みと腫れが引かない歯の隠れた神経管の細菌感染
- 2022年12月16日 09:07
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
昔神経を取った右下に痛みが出てきた後歯科医院を受診するも、その後から激痛になってきた
その後、かかりつけの先生から口腔外科を紹介され、口腔外科で切開を行ったが痛みは変わらず
切った部分に麻痺っぽい症状も出てきたとのこと
現在、妊娠中でこの痛みを何とかしたい。
初診時 痛みを取る為に根管を開放されたオープンの状態でした。
レントゲンを撮ると、
レントゲンに収まらないぐらいの根尖病変
破折の可能性もあるか、とりあえず残す方向で治療を行うことに
きちんと隔壁を行ったあとに根管内を確認すると、治療してあった神経管の真横に
メチャクチャ怪しい場所があり、その場所を顕微鏡下で綺麗にしていくと、2本目の神経管の入り口発見!
これが感染源か!?
ただ、この見つけた神経管の入り口極細で#06(先端0.06mm)の道具で慎重にタッグバックを追い根の先まで清掃(やり方などは知立のセミナーでお話します オープナーやNi-Ti、M4コントラなどを使用します)
この第1小臼歯で神経管が2本はたまにありますが、裸眼で見つけることはほぼほぼ不可能。。。
CTで最初に神経管の数を把握する方法もあります。
1回で根管内を綺麗にして、1か月後の治療2回目
腫れや痛みは無くなったとのことで根管充填
根途中でボイドを作ってしまいましたが、自分はガッタパーチャーの入りはさほど気にしない。
*学会などの場では突かれるポイントですが・・・
出産の為里帰りをされ経過をおえませんでしたが、
落ち着いた1年予後に来てもらえました。
腫れや痛みはなく、根尖病変は殆ど無くなりました。
ただ患者さんは切開した部分の多少の麻痺は治っていないとおっしゃられていました。
骨の治りとともにこの症状も改善してほしかったのですが。。。
根尖病変の原因の多くは歯の中の細菌感染です。
ここをどうやって効果的に綺麗にするか!?細菌の数を減らすか!?を最初に考えるべきです。
歯の外は原因ではないので、大きく腫れていない限りむやみに切開はしない方がいいと個人的には思います。
専門医の腫れと痛みが引かない時の対応
①仮蓋を取りオープン
②腫れている場合、黄色い膿が見える場合は切開して排膿(無理に切開はしない)
③抗生剤、消炎剤、胃薬の3種類の合剤を3~6日投薬
④痛みは抗生剤が効くまで痛み止めで我慢してもらう
という所でしょうか。
今回のように妊娠中だと、薬もあまり積極的には飲めないので自分の治癒能力で症状が引いてくるのを待たないといけなくなります。
妊娠予定がある方は口腔内に根尖病変がないか調べられておいた方がいいと思います。
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根尖病変は治っても痛みだけが残ってしまう。。。
- 2022年12月 7日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
転勤に伴いN先生から紹介を受けた患者さん
初診時に左右の上の前歯、左右の奥歯が痛い、
主訴の場所を治療させてもらい経過を見ていくと除去に痛みは引いて来ていたのですが、
今度は左下に痛みが出てきました。。。
レントゲンを撮ると、
第1大臼歯、第2大臼歯に根尖病変が見られ
第2大臼歯は過去に2度根管治療したようでかなり大きな金属の土台が見られます。。。
見えないのは分かるのですが、削り過ぎのような。。。
第2大臼歯から根管治療を行い
樋状根でしたが、イスムス部に汚れが溜っており破折ファイルも出てきました。
根尖は石灰化しており根尖までは穿通できませんでしたが、開けれた所まで徹底的に根管内を綺麗にして根管充填
*現在治療中ケースで、オリジナルの根尖以外の場所を大きく削って治らないケースがありますが、本来の神経管でない所を削っても治りません。まさにガッタパーチャーをを入れる為の害だけ残る根管治療。。。
その後に第1大臼歯の根管治療
第2小臼歯の外部吸収も進行して痛みが出てきた為保存を試みてみたのですが、保存できず抜歯させてもらいました。
その後、仮歯を作り1年経過をみて術前ほどの痛みは無くなったので延長ブリッジをSet
第一大臼歯は綺麗に骨ができています。
ただ、この右下のブロックは定期的に痛みがでるようで、TCHの説明やナイトガードなどで咬合因子を疑いました。
*咬み合わせによっても痛みが出ることがあります。
先日痛みがまた出てきてしまい根管治療後4年半経過したレントゲンを撮らせてもらいました。
第1・第2大臼歯ともに骨はしっかり出来ているのですが、痛みだけが残ってしまいましたので、これ以上歯は触らない方がいいと判断し
ペインクリニックの方へ行ってもらうこととなりました。
病変も綺麗に治ったことですし、痛みが取れてくれるといいのですが。。。
是非、痛みが取れたと連絡を頂きたいです。
今回のようなケースは歯を抜いても痛みは治ってきませんので、診断などは慎重に行った方がいいケースです。
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自分の歯を長く使いたい人へ
- 2022年12月 6日 09:10
- 歯内療法日記 | EEデンタル NEWS
歯を残したい人へのアドバイスとしては、
①、なるべく健康な神経は取らない
②、神経の治療になったら、1回目の根管治療をきちんと行う
③、膿んでしまった歯は寿命が近づいていると考え、より専門性の高い先生(歯内療法専門医など)に頼る
この3つを覚えておいてください。
①:歯の寿命は神経のある・なしで大きく変わってきます。
虫歯が大きくても症状がない歯であれば、丁寧な治療で神経は残ることがあります。
ただ、保険治療だとこの辺り技術評価がなくそこまで手間をかけれないのも事実。。。
動画の神経もかれこれ4年経過して、未だに神経には問題が出ていません。
②神経の治療はホント1回目の処置が大切
基本的に神経が生きていればそこには細菌感染は軽度の状態です。
人が歯に穴を開けたとたん唾液と一緒に口の中の菌も一気に歯の中に入り込みますので
まずは虫歯をきちんと取り、隔壁という唾液が簡単に歯の中に入らないような壁を作る必要があります。
ただ、この隔壁も保険診療だと技術評価がなく、歯科医院のサービスで行う処置なのでやらないことが多いですが、
歯内療法専門医としては隔壁しないとラバーダムも出来ないですし、仮蓋もいい加減になるのでこの下処理は非常に重要だと考えます!
菌の侵入を考えず行う根管治療で歯の中にガッタパーチャーを入れることに何の意味があるのか!?とも思います。
③膿んでしまった歯(腫れたり、痛んだりした歯)はその歯の抜歯は目と鼻の先です。
特に土台を除去する際にはかなり多くの歯を削ります。
先日の患者さんのケース、基本的に奥歯などは目で見えず手の感覚だけで削るので。。。
5か所に歯に穴を開けられていました。(しかも患者さんへの説明なし。。。)
この歯でも患者さんに説明をして残す方向でトライセクションを行い保存させて頂きました。
歯の保存を考えると土台は必ず顕微鏡下で見ながら安全な取り方で取る必要があります。
似たようなケース
これだけ大きなメタルポストでも歯質の切削は最小限に安全に除去は可能です。
ただ、これも保険治療だと治療費が500円であり材料費も賄えませんので・・・
急いでガンガン削ってしまう傾向はあります。
①~③で共通して言えるのは、悪くなってしまった歯を残すには必ず手間がかかるということです。
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