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歯内療法日記の最近のブログ記事

サンメディカル系の根管治療材

先に、今回の内容はサンメディカル材料大好き先生を敵に回すような内容です(笑)

 

  

歯科治療は色々な材料があり、何を使うかは先生の好みによる部分が大きいです。

 

基本的に私はメリットよりある程度デメリットを重視する派です。

歯科治療は誰が治療を行っても必ずやり替えの時期が来るので、特に再治療の際に困らないような選択をします。

 

すると、

①強度・接着力ばかりに気を使わない(実験室の環境と実際の臨床は大きく異なります) 

②特殊な材料ではなく極々一般的な材料で次の先生が見た時も判断がしやすい(マイナーでない)

③操作性がよく、10年ぐらいは問題が起こらない材料(永久材料など存在しない) 

という感じです。

 

私的には、

自分のやった処置は完璧だから再治療のことなど考えない材料選択

というのは、「待て待て!」と突っ込みたくなります(笑) 

  

  

今回のケースは、私の苦手メーカーの材料を使われていたケース

  

世界一を誇るほど強力な接着剤を開発しているサンメディカル社 

日本の接着マニアな先生が好んで使うのですが、これが超厄介!

   

患者さんは50代女性

左下の奥歯が腫れて来たとのことで来院

2023 EEdental ARY (1).jpg

根の先に透過像(膿)が見られます。

根管治療も遠心根にうっすら根管充填材が見られますが、近心根は何も手が入っていない。

   

患者さんが初めて来院した2020年時には病変がなかったのそのままにしておいた歯なのですが、正直手を入れたくなかった歯

 

理由は反対側の歯の治療がメチャクチャ大変だったから

2023 EEdental ARY (2).jpg

歯質ペラペラになるまで削らており、ジルコニアクラウンはスーパーボンドで固められ、

その下のコアから根充剤全てサンメディカル系材料で治療がしてありました。

サンメディカルの材料はネチャネチャ残りガッタパーチャーのように溶かして除去しにくい!

  

ですので、患者さんにはたぶん同じ先生の治療なので反対側は再治療が大変とは伝えてありました。

 

が、今回腫れの原因である根尖病変ができてしまった為、右下7も治療を行うことに

2023 EEdental ARY (3).jpg

ジルコニアクラウン除去後に出てくるレジンコア

イメージ的に白い部分はネチャネチャ系のレジン(灰色をしていました)

  

基本的に私はレジンコアに関しては無注水で水をかけずに切削するのですが、

このネチャネチャするレジンは水をかけながら除去しないと、削る道具に材料がまとわり付く

しかもこの歯、かなり下の方(根分岐部)まで削ってあり、注水しながらだと必要以上に削ってしまい歯に穴を開けるリスクが高い・・・

  

30~40分ぐらいかけチマチマレジンコアを除去

すると、全くの手付かずの近心根がない!

そして何となく感じる違和感・・・

 

切削する道具を超音波に代え、怪しい部分をピンポイントで削ると、またネチョっとレジンっぽい物が削れる。。。 

  

「はぁ!?」

「これって、スーパーボンドじゃん!」

 

たぶん前の先生は近心根の根管口が分からずこちら側だけ透明のスーパーボンドを流して蓋をしたみたい・・・

図にすると

2023 EEdental ARY (4).jpg

図の青い部分に透明のスーパーボンドが入っており、まさにトリック!

レントゲンで見る分には2種類のレジンが入っていると推測も出来ません。 

 

ぶっちゃけ、顕微鏡があったから分かったようなもので

裸眼では2000%識別できない罠!

 

内心、「わざわざ土台の色変えんなや!」と心の中で突っ込みました(笑)

     

またこのケースも女性で開口量が少なかったので、患者さんに頑張って大きく開いてもらい

その隙に近心の2根を探し無事3根管に根管充填+レジンコア

近心根は入り口を見つけ0.1mmのオープナーで突き、#08Kファイルでターン&プルで少しずつオリジナルの根管を根尖まで見つけ、レシプロでガイドを大きくしてニッケルチタン(セミナーでやっていることそのままです)

2023 EEdental ARY (5).jpg

なんとか綺麗に根管治療が終わりました。

   

   

かくいう私も若い頃は材料選びはもの凄くこだわっていました。(特に根管充填材)

が、ある時に講演後の林先生に「先生は頭の中が根充剤で一杯 そうではないんだよ!」と臨床の基本となるべき部分を教えてもらいました。

  

また林先生もサンメディカル系の先生ですが、そういった所を理解して材料を選ぶことはホントの重要だなとこの年にして思います。

  

材料にこだわるのは悪くはないと思いますが、特殊な材料を用いたからといって成功率が飛躍的に上がる訳ではありませんし、根管治療なら虫歯をきちんと取る、隔壁をする、ラバーダムをするなど材料選択前にやるべき点は色々あります。

  

個人的には世界のトレンドにも入らないサンメディカル系の根管治療材料は再治療しにくいのでわざわざ使わない方がいいと感じます。(特別優れた材料なら世界の歯内療法専門医も使うはずです)

成功率が100%の先生なら再治療も必要ありませんが、そんな先生この世の中にはまずいないと個人的には思います。

*あくまでも個人の感想ですので(笑)

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大きなパフォレーションとMTAセメント

患者さんは30代男性 

全体的に治したいとの主訴でした。

 

その中の左上4 

痛みは無いが前々から歯茎から膿が出る。

2023 EEdental NOA (1).jpg

太いメタルポストが入っており、歯の側面に大きな透過像(膿)が見られます。

 

患者さんには、

1、歯が折れている

2、神経の横枝に感染がある

3、前の治療で歯の側面に穴を開けてしまったパフォレーションがある

のどれかだと思います。 

一度残す方向で治療しましょうということで治療をさせてもらうと

 

治療後

 2023 EEdental NOA (2).jpg

太いメタルポストを作る際でしょうか、歯に穴を開けてしまいそこからの感染でした。

*2か所パフォレーションがありました。

 

仮歯を入れ経過観察 

 2023 EEdental NOA (3).jpg

治療後から膿もとまり、痛みなども無いそう。

大きな病変はだいぶ小さくなってくれていますが、外に出たMTAを囲むように透過像があります。

 

患者さんは普通に食事もでき、症状もないことよりもうしばらく仮歯で経過を見ることに

  

 術後2年 仮歯が外れたとのことで来院

2023 EEdental NOA (4).jpg

 1年前と変わりなし、患者さんの症状は一切なし

 

と言うことで、この透過像は歯の外に出てしまったMTAが起こしている透過像と推測

*MTAセメントは生態親和性が高いと言われる材料ですが、体にとっては異物なのでこのような反応を起こす場合も多々ありますが、細菌感染を起こしている訳ではないので問題なく経過します。

 

患者さんに説明を行いセラミッククラウンを入れることにしました。 

2023 EEdental NOA (5a).jpg 

綺麗に適合しております。

 

術前時には残せるか!?と思った歯でしたがなんとか残すことができました!

  

  

 先日、ある先生に巨匠のT先生が、

外に出たMTAはセメント質が添加され歯根が伸びると言っていたのですが、どう思いますか!?

と聞かれましたが、

 個人的には私の場合外に出たMTAは大量に出た場合は今回のような、外に出たMTA部分だけ透過像が残ります。(異物反応のような所見) 

 

たぶん今回のケースは、このまま経過していくと思われますがまず問題は起こらないだろうと推測しています。

2023 EEdental NOA (6).jpg

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「私、失敗しないので!」

毎回スタッフに調べてもらっている根管治療の記録 

EEデンタル2022年 歯内療法専門医 根管治療傾向 - EE DENTAL_Blog 

  

ファイル破折は昨年起こしてしまったのですが、

ここ数年はパフォレーション(歯に穴を開ける)は無かったのですが、

昨日とうとうやってしまいましたパーフォレーション・・・

 

一応報告がてらブログに、今回のケースは失敗とリカバリー術です。  

 

患者さんは40代女性

非歯原性歯痛の治療が落ち着いた所でしたが、右下の被せが割れたとのこと

レントゲン

2023 EEdental IU (1).jpg

クラウンの中に大きな虫歯がみられます。

また根管は急激に湾曲しているように見え、かなり長いファイバーポストが入っています。

 

患者さんには抜歯の可能性も出てくるので早目に治療した方がいいと説明し根管治療からやり治すことに

 

クラウンを外し虫歯をう蝕検知液で染めて除去し、ファイバーポストを削っていくと

途中で、少し根管軸を見失ったのでレントゲンで確認すると、

2023 EEdental IU (2).jpg

やはり歯軸とは違う場所を削り始めていました。

*ピンクの線が削るべき所、黄色線が今私の削っている所

*この時点ではパフォレーションはない

遠心(奥)よりを削り始めているので、もう少し近心側(手前)を削る必要があります。

 

で、修正しながら削って行くと、

もうそろそろガッタパーチャー見えてもいい深さなんだけど出てこない・・・

  

そこでまた確認の為レントゲン撮影

2023 EEdental IU (3).jpg

*緑が今削っている所

よく分からないがそろそろ潮時のような気も・・・

 

もう少し削ってみると、ピンクの点が!

これはガッタパーチャーか歯肉(パフォレーション)か!?

恐る恐る、先端が0.1mmのオープナーで突くと微妙に出る出血!

 

「パフォった。。。」(失敗)

 

専門という人間が、顕微鏡を使って色々な道具を駆使して時間をかけて少しづつ削って行っても、やってしまいます。

患者さんには後で説明しますと話、MTAにてパフォレーションリペアとレジンコアを製作

2023 EEdental IU (4).jpg

たぶん、赤い場所がパフォレーション(MTAでリペア)

 

穴を開けてしまいましたが、その穴はおおよそ0.2mm程度

また穴を開けたら細菌感染する前に即日埋めれば予後も悪くないことを説明させていただきました。

   

  

歯科は先生毎に考え方が違いますが、

「ここまで長いファイバーポストを入れる必要があったのか!?」

 

取れなかった私の言い訳です(笑) 

 

金属の土台などは歯と色が違うので顕微鏡でその部分だけチョンチョン少しずつ削って行けば除去はできますが、

このファイバーポストは透明で歯の深い部分になると歯の色と同化してしまい、

どこが歯なのか、どこがファイバーなのか簡単に認識できません。

レジンを固める光照射機で波長を変え観察したりするのですが、よく分かりませんでした。 

まさに、「光軸迷彩(造語)」 

 

次の日同じような長いポストを入れた患者さんに

金属の土台は歯と材料の色の違いからだいたい取れます。

ただ、歯と同化する色材料は違いが分からず顕微鏡でも間違った部分を削ることがあります。

と説明すると、患者さんに

「奥歯なんだから、青でも赤でも色付ければいいのにね!」

と患者さんでも分かる対策を言われました。

 

歯科の世界って、自分のやった処置(被せ物・詰め物)は外れないようにという考えがあり、

次のやり直しの治療のことなど微塵も考えない処置もあります。

  

毎回言いますが、一度削った歯科治療を受けた歯は必ず再製の時期が来ます。

その際に難攻不落のピラミッドのような誰も受け付けません!という処置をされていると、

次の処置はミスが起こりやすいです。

 

私の考え方も一般的ではありませんが、

少なくとも私がやった処置は永久に持たないと思っているので、必ずやり直しの際にトラブルになりにくい配慮はします。

将来の治療選択肢は多い方が歯を残せる確率は上がると思っています。

  

審美性や接着性を考えるあまりこういった考えは蔑ろにされています。

補綴・審美屋(被せ物)とエンド屋(神経の治療)では材料に対する考え方が違います。 

 

   

 

ドラマではありませんが、「私、失敗しないので!」なんて言葉口が裂けても自分は言えませんね。。。  

 

今回の患者さんたぶん大きなトラブルにはならないと思いますが、この後しばらく経過観察を行います(・・;)

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セミナー次の日の3mmの穴からの根管治療

日曜日にセミナーをさせてもらい

第8回 エンドセミナー終了 - EE DENTAL_Blog

その内容は咬む面に3.5~4mmの穴を開け根管治療を行う

というものでした。

  

一部のアメリカなどの専門医では行われている方法なのですが、日本では全くマイナー

むしろ「そんな治療あかん!」という感じ(笑)

理由は、

「そんな小さな穴からきちんと治療出来るわけない!」「神経取ったら被せ物なんだからガッツリ削ればよろしい!」 

昔から言われる基準の咬合面から根管口が全て見えるように開けなさい。(がっつり削る)

これは裸眼時代の治療基準であり、顕微鏡があれば、わざわざ3根、4根が見れる必要はないと思っています。

開けた所で、3根、4根同時に治療できる訳ではありませんし、治療は1根ずつなので1根ずつ見れれば必要十分です。

また大きく髄腔開口すればきちんと根の先まで治療出来るか!?といわれればそんなこと120%言えないと思います。

   

毎回思うのですが、内視鏡が無かった時代に内蔵の手術で大きくメスで切って開いて手術して、侵襲が大きい分痛みも出ますし、治りも遅いですし、傷も大きく残ります・・・

一方内視鏡の登場で3か所ぐらいから内視鏡が入る程度の1cm程度の切開で手術が可能になりました。

 

歯科って、こういうトレンドは取り入れないのか!?

   

手術繋がりで言えば、大きく削った割に何回も治療を繰り返す。

根管治療は体の中を触る治療なので、言わば小外科手術なので体の外と中を繋ぐ部分は速やかに封鎖した方がいいのですが、長々治療し細菌感染を起こして痛みが出る、更に治療が長引く・・・

 

言わせて頂くと、 大きく削ってその日のうちに終了!なら分かるのですが、

大きく削って長々治療

小さく削って細菌感染させないようにその日のうちに治療

 

どちらがいいのでしょう!?

  

私がこんなことやり始めたのは、「根管治療」と「レジン」が専門だから。

個人的には、咬合さえきちんと見極めれば特段かけたりはあまりないんですけどね。

クラウン入れた所で、歯根破折は起ってしまう訳で。。。

  

今回の患者さんは60代女性

4年前に私がレジン充填をさせて頂いた歯が腫れてきたとのことで来院

少し大き目にレジンを詰めた所の神経が死んで膿んできています。

2023 EEdental SKI (1).jpg 

患者さんに根管治療の必要性をはなし、1回法で根管治療

 

当然3mmの穴から髄角含め見える部分の歯髄は全て除去しにいきます。

2023 EEdental SKI (2).jpg 

治療時間1時間45分 

小柄な女性で開口量が小さく、患者さんに頑張って頂き1回で根管治療+レジンコア+レジン充填の治療を行いました。

 

特にML根は上部が上部が石灰化物で隠されており、ハンドファイルも歯軸と開口量の問題からなかなか入らない。

こんな時は、オープナーを使いショートレングスのファイルで根管上部を処理してから治療を行うのですが、こういったコンセプトの道具がなかなか無い為、色々なメーカーの使えるんじゃないか!?というものを購入して試行錯誤しています(笑)

ハンドファイルも21mmからですが、根管上部を触る場合こんな長さ要らないんですよね・・・

多分、17mmもあれば十分で上のオリフィスオープナー的な役割的なハンドファイルがあればね!

 

作ってもたぶん売れないと思うのでメーカーも作らないとは思いますが、個人的には#06を削ってカスタムファイルを作ることもあります。

後、使えるのはC+ファイル、これも微妙に短くテーパーが付いているので、プッシュ&プルをしていると必然的に漏斗状拡大が出来ている!

  

今回のケースも綺麗に治療出来たと思います( ・∀・)v

この後レントゲンで根尖病変の経過観察を行っていきます。 

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痛みが無くならない左上

患者さんは40代女性

主訴は「他で治療をしましたが、違和感が消えない」とのこと

 

2021年10月に左上が激痛で近医を受診

左上6に膿があり神経が死んでいるとのことで根管治療を行う。

その後も1日4~5回歯を触った際に痛みが続いているので現在仮歯で様子をみている。

痛みの原因が分からない為愛知学院大学を紹介れる。

 

疲れると左の下も痛いのと、左の舌も痛む(舌痛症と診断を受ける)

ここ1週間ぐらい大きな痛みがある。

冷たい物・温かいものでキィ~ンと痛むが硬い物は咬んでも痛まない。

 

とりあえず、レントゲン&CTで診察

2023 EEdental TUR (1).jpg

前医の治療で左上6の根尖病変は治ってくれています。

私が出した結論は今の痛みの原因は左上6ではなく左上7ではないか!?

電気歯髄診断でも左上7は反応はあるが、弱々しい反応

  

患者さんには、根管治療をして半年様子をみてもらい症状の改善がなければペインに行ってもらうと説明。

 

1か月後に連絡があり、

急に左上7に痛みが出てきた、食べたり体が温まると痛い。

左上6は叩くと響くのは落ち着いているとのこと。

 

やはり今回の痛みの原因は左上7だと思われます。

 

根管治療を行うと、すでに昔の治療で露髄をさせていたようで

それに気が付かず処置を行われており、神経はほぼほぼ死んでおり歯の中からの出血もゼロ

石灰化も進行しておりかなり細い神経管でしたが3根を治療

 

1か月後の治療2回目

左上7に痛みや腫れはないが左上全体の違和感は無くなっていない。

根管内は綺麗な状態で、異常所見(膿、出血)は無い為に根管充填を行いレジンコア+仮歯まで 

2023 EEdental TUR (2).jpg

なかなか複雑な神経管の形でしたが、綺麗に治療出来ています。

  

 

先生の中には完全に症状が落ち着いてから根管充填という考え方の先生もいますが、

私は尊敬する小林大先生の「根管内が綺麗で特にやることなければ根管充填し、きちんと蓋まで」という考え方を継承しており、

腫れ、大きな痛み、根管内の排膿、根管の見落としが無ければ違和感程度であれば根管充填し接着性のある材料で蓋を作り経過観察します。

 

私は仮蓋の封鎖性はあまり信用していませんし、仮蓋期間中に細菌感染を起こさせてしまっている気もしています。

 

患者さんには仮歯を入れているので咬もうとすれば咬めますけど最初は積極的に咬まないように、

腫れ・大きな痛みが出たら電話してください。

違和感が減るには違和感が出ていた期間ぐらいは待つ必要があると説明。

  

 

で、6か月後のレントゲン検診

2023 EEdental TUR (3).jpg

患者さんは、症状は一切無くなり違和感含めないとのこと。

レントゲンでも根尖の歯根膜腔が戻ってきてくれています!

 

今回のケースはペインに行かず治りそうなケースですが、女性の場合痛みを抱えやすい人がいるので

痛みの中長期間治療はあまりお勧めできません。

何度も何度も歯の中を削って刺激を与えながら様子をみるより、少ない回数で歯の中をきちんと消毒して、後は待った方が個人的にはいいと思っています。

 

この辺りは先生の経験により考え方が分かれる所なので、他の先生からすると否定的な意見を受けるかもしれませんが、私の場合これで上手く行くことが多いので、この流れで治療をさせてもらいます( `・∀´・)ゞ

*患者さんも遠方の方が多いのでなるべく1回の時間を長めにして、少ない回数で治療を行っています。 

 

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毎日歯は動きます。

仕方がありませんが、歯科医師であれば当たり前のことでも、患者さんからしたら知らないことがよくあります。 

 

その1つが「歯は微妙に毎日動いています」 

歯と歯は上と下で叩き合いをし、前後の歯で押し合いをしています。

で、その力のバランスが取れた所に歯があります。 

 

ですので、患者さんによっては、詰め物を入れた数年後に隙間ができ物が詰まりやすくなったり、

逆にフロスが通せていた所が窮屈になってフロスが通らなくなることもあります。

 

私見ですが、この現象は40代以上の方によく見られます。

特に歯周病で骨のない方だと歯の支えが減っている為、よく動きます。

 

 

患者さんは60代女性

たまに痛む左下に根尖病変があり、根管治療をさせてもらいました。

2023 EEdental IY (1).jpg

赤丸部分の骨が溶けています。  

根管充填⇒レジンコア+レジン充填

2023 EEdental IY (2).jpg

歯質があまり無くてもレジンで補綴したケース 

*最近はクラウンにすることが多いです。

  

治療後から7年の再初診時

左下の奥歯にものが詰まりやすくなったとのこと

再初診時のレントゲン

2023 EEdental IY (3).jpg

 歯が動いたようで奥2本の間に隙間が存在します。

術後7年のレジン

2023 EEdental IY (5).jpg

手前の小臼歯のセラミック

奥のゴールドアンレーも治させてもらっています。

  

患者さんには根尖病変も治っているし、とくにレジンも問題無さそうなので

レジンで接触点を作れば物は詰まりにくくなると説明し、

エリオットのセパレーターを使用して、 

極細のチップとデブライダー(根管治療の道具0.08mm)でコンタクトを作りました。 

2023 EEdental IY (6).jpg 

顕微鏡がないと左下6を大きく削ってクラウンにするとは思いますが、

私的にいえばクラウンはまた将来で良いかなと思います。 

  

顕微鏡がありレジンが得意な先生であれば、大きく削らず即日修復で治すことも可能です。 

 

 

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3年前から痛いと言っていた奥歯

患者さんは50代女性

 

3年前ぐらいから「咬むと痛い」と先生に言っていたが「様子をみましょう!」と言われていた

4ヵ月前に左上6の過去に神経の治療をした歯が悪いと言われ、治療をスタートするも一向に症状が改善しない。

過去には腫れたり、膿が出てきたようなことはない。

 

レントゲンを撮ると

2023 EEdental FUY (1).jpg

治療中の左上6 には根尖病変はない。

年の為CBCTで診査しても根尖病変はない。

 

顕微鏡で診査すると、痛みの原因は左上7の歯冠破折と思われる。

2023 EEdental FUY (2).jpg

 側方運動(歯ぎしり)してもらうと、遠心頬側咬頭内斜面にガイドがあり

左上7が痛みの原因で全てが一致!

  

患者さんには治療中の左上6は根管治療+土台+仮歯 左上7は虫歯治療+仮歯

仮歯を入れ生活してもらい、痛みが引けば3か月後ぐらいに本歯を作ると説明。

 

 

まず左上6の根管治療

2023 EEdental FUY (3).jpg

根尖病変も無い為、1回法で根管治療+土台まで この日は仮歯の型取りをして終了

*1回法でもMB2は処理しております。 

 

次に左上7の破折している歯に仮歯を入れ経過をみてもらい

症状は一切くなったことを確認

 

クラウンSet

2023 EEdental FUY (4).jpg

左上6:セラミッククラウン

左上7:ゴールドクラウン

 

今回のケース、顕微鏡で歯を観察すれば一番奥歯が破折と分かりました。

奥歯は見えずらい所に入っており、0.1mm以下の破折線は見えないことがあります。

3年神経が死なずに堪えてくれていたのは奇跡に近いと思います。 

   

また歯科治療は痛みの原因歯に対して適切な治療を行わないと症状は落ち着いてきません。

 

患者さんも3年耐えて、治療をしても治らない痛みで不安だったでしょう。

治療している先生も自分の手に負えない場合は他の先生に頼った方がいいと思います。

 

開業して16年1本の歯を残したい患者さんの駆け込み寺みたいな存在になってきていますが、

傾向として困った患者さんがネットでEEデンタルを見つけ来院されますが、意外にも先生からの紹介はホント少ないです。

歯科医院過剰の時代に他の歯科医院に紹介して患者さんを取られたくない気持ちも分からなくはないですが、一番困るのは患者さんなんですから根管治療して3カ月経過し改善がなければその歯だけでも専門医に頼った方がいいと思いますよ。

  

ただ、全部が全部治療出来治せる訳ではないですが。。。 

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親知らずの根管治療は難しい

基本的に私はあまり親知らずの根管治療はしません。

 

理由は、上下できちんと咬んでいる機能している親知らずが少ないこと

歯磨きが奥まで出来ずに虫歯にしてしまった歯なので、再び虫歯にするリスクが大きい

親知らずの神経管は複雑を極め治療が難しい&ラバーダムが出来ないポジションの歯もあること

などから、親知らずに問題がある場合抜歯を勧めることが多いです。

 

今回の患者さんは50代女性

4ヵ月前に親知らずの虫歯の治療を行った。

1ヵ月前ぐらいからズキズキ痛みが出てきた、今は冷・温水痛があり痛みには波があり大きな痛みが出ることも

治療した歯科医院で知覚過敏のコーティングはしてもらったとのこと

 

レントゲンを撮ると

2023 EEdental SNA (1).jpg

詰め物の下に虫歯が残っており、かなり大きな段差のレジン充填+根尖にも透過像が出始めています。

下歯槽管と根尖が重なっており、麻痺の可能性もあるのでCBCTで診察

 

根の先と太い神経管とは離れているが、歯の中の神経管は複雑でかなり細い・・・

  

患者さんには虫歯が大きくて神経が弱ってきてしまっていることを説明

患者さんは第2小臼歯が先天性欠如で、親知らずが左上7がきちんと咬んでおり

親知らずがきちんと機能しており仕事をしている、抜歯すると咬みづらくなることが予想され

患者さんに残す方向で治療をするか提案

  

患者さんも残したいとのことで治療スタート

2回法で治療をしました。

2023 EEdental SNA (2).jpg

歯茎の中にかなり大きくレジンが詰められており、その除去に時間をかなり取られました。

正直、このレジン治療はやらなかった方が良かったと思います。 

  

神経管も複雑で細く、クネクネしており0.06mmのファイルを駆使しても根尖まで届きませんでした。

 

とりあえず開けれる所までを良く洗浄して、レジン充填で修復しました。

 

 

術後6か月のレントゲン

2023 EEdental SNA (3).jpg

1カ月前に痛みが一度出たとのこと、ただ、術前時にあった疲れると首から肩まで痛みが広がっていた症状が治療後からは出ていないとのこと

レントゲンでも歯根膜腔が綺麗な所見になってきており、問題ないように見えます!

 

親知らずの治療は虫歯の取り残しが頻繁に見られますし詰め物も段差が多いです。

患者さんが歯磨きしにくい場所は、歯科医師も治療しにくい場所で予後が悪いです。

患者さんには虫歯にしないように奥まで歯ブラシ入れて下さいね!と言っていますが、今回の患者さんは非常に綺麗に磨けておりある部分安心しております。

 

この後、1年予後のレントゲンを撮って終わりとなります。

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若い人の骨の治るスピード

昨日書かせて頂いた骨の治りの遅いケースとは対照的なケース

根管治療 成功と取るか、失敗と取るか!? - EE DENTAL_Blog 

 

患者さんは14歳の女の子

経過:顔の右側全体がパンパンに腫れてしまい総合病院の小児科受診

小児科の先生は上顎洞炎を疑いCTを撮影後、上顎洞には問題なく歯に原因があると思われ

同病院の口腔外科へ紹介

 

口腔外科にて3日間抗生剤を処方され腫れは徐々に引いて来たとのこと

口腔外科で根管治療スタートすると神経管の方から膿が出たとのことでオープン(仮蓋なし)の状態 

 

お母さんがEEデンタルの患者さんで、根管治療するなら歯内療法専門医がいいとのことで

口腔外科からEEデンタルへ

  

レントゲンを撮ると

2023 EEdental HOK (1).jpg

大きな透過像あり、仮蓋はなく、過去に詰めたレジンの下にも虫歯が見られます。

 

推測になりますが、

過去の虫歯治療の際に虫歯が大きく、そこから神経が徐々に死んでしまい今回の腫れに繋がったようにも思えます。

大きな虫歯治療後は数年後に神経が死んでしまい膿んでくることもたまにあります。 

 

患者さんにはとりあえず、根管治療を行い予後が悪ければ外科的歯内療法で歯を残すと説明

 

治療1回目、一度過去のレジンを外しきちんと隔壁を作り根管治療スタート

若い患者さんだったので、根尖径は比較的大きい 

こういったケース、歯の中には水酸化カルシュームをよく使いますが、

私は、根管内には無貼薬という名の『次亜塩素酸ナトリウム』  

をよくやります。

 

むしろ9割は無貼薬という名の『次亜塩素酸ナトリウム』貼薬

膿の見られる1割は『水酸化Ca』

 

治療2回目 腫れ痛みもないことより根管充填

2023 EEdental HOK (2).jpg

ガッタパーチャー使用

 

今月もおられましたが、根管充填材 MTAセメント希望

 

話を聞いてみると、

「根管充填はMTAセメント使った方が成功率が高い」と受診した保険医療機関で言われ、自費根管治療を勧められたとか

私:「MTA詰めた方が成功率が高い!?」 

  「未だに世界の歯内療法専門医はガッタパーチャー使用していますよ!?」

  「それが事実であれば、世界の歯内療法専門医はMTAセメント使っていますよ」 

  「私の場合、MTAセメントはパフォレーションリペアにはマストアイテムですが、根管充填においてはケースを選んでしか使っていませんね」

 

保険医療機関では建前上、治療の中に自費材料を1つでも使わないといけないので、

根管充填材はMTAセメントがいいという説明だとおもいますが、保険治療やっていない人間からすると

自費治療で根管治療したければ、保険医療機関辞めればいいだけなのに・・・

と思います。

     

 

で、膿が大きくてもガッタパーチャーを使用させてもらった本ケース

(根尖も破壊されていない為MTAセメントを入れる必要はないと判断しています)

 

6か月後のレントゲン検診 

患者さんは特に痛みや違和感は感じないとのことでレントゲンを撮ると

2023 EEdental HOK (3).jpg

「骨の治り早っ!」

デンタル上ではもう殆ど根尖病変消えてきてくれ骨が出来てきています。 

ね!中に入れる材料で結果が決まる訳ではありません

 

骨の治りは個人差がありますが、経験上10代の方の骨の治り早いなぁと思います(。・∀・)ノ゛

 

ここまで治りましたが、1年予後まで経過を見て行きたいと思います。

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根管治療 成功と取るか、失敗と取るか!?

患者さんは30代女性

5年前に市民病院の口腔外科で外科を行ったが、すぐに同じように腫れてくる。

腫れたり治まったりを繰り返しており、あしはら歯科を受診後EEデンタルを紹介してもらった。

  

術前 レントゲン

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近心根に大きな根尖病変あり、CBCTでは根分岐部あたりに透過像がありパフォレーションを疑う所見

外科をした割には根の先は切っていなさそう。

 

患者さんには治療は出来るが、触られ過ぎでかなり状態の悪い歯であること

外科を行ってこの状態なので、歯内療法+外科的歯内療法のコンボ治療になる可能性があると説明

  

 

患者さんは知識がないので仕方がないですが、

ホント歯を残したかったら口腔外科ではなく保存科や歯内療法科に行かないと・・・

これ歯科医師でも分かっておらず、「根尖病変⇒口腔外科を紹介」という図式が未だにありますが、何とかなりませんかね!?(・。・;)

口腔外科で外科治療後に予後が悪く歯内療法専門医をたまに紹介されますが、歯を残したければ順番が完全に逆!

  

 

患者さんは30代ということもあり、何とか自分の歯を残したいので治療出来れば治療をしたいとのことで

 

1回目の治療

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口蓋根の側面に大きなパフォレーションがありMTAでリペア

*歯と歯の間の膿はここが原因だと思われます。

MB2も出てきた為、近心頬側根のみ仕上げる

    

治療2回目(1か月後)

頬側にまだフィステル(膿の出口)はあるが前のような違和感は無くなったとのこと  

根管内を仕上げ根管充填+レジンコア+仮歯 まで

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4根管ともガッタパーチャーを使用(MTAを入れれば治るとは思っていないので臨機応変に材料選択をしています)

とりあえず根管内で出来ることは全てやってみました。

*基本的に私は貼薬(薬の入れ替えを何度もする)で治す根管治療はしていません。

 

  

この後、フィステルが消えるか経過観察

1か月後 現在痛みは全くないがフィステルは無くならず・・・

 

患者さんには今回、パフォレーションと近心頬側根の根尖病変が2つ重なった病変であるので、

今回の根管治療でどちらかが治れば外科の範囲が減るので外科処置は必要だが、術後3カ月まで待ってもらうことにしました。

  

3か月後のレントゲン診断

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あまり改善しているようには見えません。

 

そこで外科的歯内療法を行うことに

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近心頬側根から根分岐部の骨は大きく無くなっておりました。

中からパフォレーションリペアをしたのですが、今回は歯の外からMTAでリペア

その後、MB根をカット&逆根管充填

  

 

術後3カ月の連絡で、

フィステルは無くなり腫れ痛みもなく生活出来ている。

 

そのまま様子をみてみらい 

 

術後1年

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症状はないものの、骨の方は思ったより出来ていないので、もう1年経過を見ることに

  

   

 術後2年

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症状などは全くない、仮歯ながら普通に使えている。

レントゲンでも外科したときよりは骨は出来てきてくれています。

 

この状態であれば、今回は抜歯は避けれそうです。

紹介元に戻ってクラウンを製作してもらう流れとなりました。

 

  

歯は人の手が入れば入るほど残すのが難しくなります。

極端な話1回目に治療した先生より2回目は上手な先生に治療してもらわないと治りません。

2回目の治療に失敗した3回目の治療は、更に上手な先生に処置してもらわないと治りません。

 

つまり神経の治療は1回目を治療する先生の治療で、その歯の運命の殆どは決まってしまいます。

日本の根管治療の成功率はざっくり50%程度という事実があり、

神経を取った半数は再治療 ⇒ 抜歯 ⇒ブリッジ、入れ歯、インプラントの図式です。

 

悪くなって歯内療法専門医より最初から専門医にかかっておいた方が無駄な時間やコストを減らすことが出来ます。

 

今回のケースもう1年後のレントゲンも撮らせてもらいたいと思います( ・_・)/  

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