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歯内療法日記: 2015年1月アーカイブ

MTA系シーラー

この度、日本でもMTA系シーラーが出るそうですね。

*シーラーとは根管治療の際に詰める最終的な薬(ゴム)をとどめておく接着剤のようなものです。

 

ただ!

   

今の所、シーラーの出来が大きな成功のポイントになる訳ではありませんがヾ(´▽`)

 

 

 

垂直加圧充填など熱を加える根管充填で問題は出ないのか!?

2015 EEdental i.jpg

 (シーラーの中には熱を加えると問題のある接着剤もあります)

 

 

何社かのMTA系シーラーを使用してみましたが、熱に対しても問題ないというのが各社の回答でした。

  

 

MTA系シーラー 私の使用感は 

調度は各社で各社多少違いますが、コンテニアスウエーブでも問題ないかなと思います。

 

ただ、私の歯科医院ではデンツプライのAHプラス(レジン系シーラー)が大量にあるので医院の在庫が無くなるまではAHプラスです(笑)

 

 

症例を選んでMTA系シーラー使いますが、実はMTA単味の物性とは違いますし、

シーラーにはレジン成分が多く含まれますので根尖孔外に出た場合純粋なMTAのような生体親和性はないそうです。

*AH+などのレジン系シーラーよりも外に出たMTA系シーラーは刺激があるとの報告もあるそうです。

 

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ビッグパーフォレーション×2 (歯に穴が開いた歯の保存)

昔から、

「歯茎から膿が出続ける」とお困りの患者さん

 

術前

2015 EEdental ma (1).jpg

赤丸の部分の骨が溶けており、根管治療がうまく行っていません。

また根管治療後のかなり太い土台により歯に穴が開いているようです。

 

多くの患者さんは、

歯の治療とは毎回同じ条件下で治療を行っていると思われがちですが、

実は治療の度に歯の寿命は減り、治療の成功率は低くなって行きます。

(だから、歯を長持ちさせたければ1回目から最善の方法を選ぶべきなんです) 

 

 

今回のケースなどは、治療の限界を既に迎えてしまい、

『次の治療=抜歯』という状況でした ( ノω-、)

 

 

ただ、患者さんの希望は何とか【歯を残したい】。。。

 

患者さんには抜歯が第一適応だが、歯内療法を専門にする身としては、

「チャレンジケースで治療してみたい!」 

「ただ、うまく行かない可能性の方が高いこと、またオプションの治療もいくつか必要になる」

 

と術前時説明させてもらい、患者さんに承諾をもらい治療スタート( ・д・)

 

 

術中

2015 EEdental ma (2).jpg

 金属の土台を外すとやはり歯の側面に大きな穴(パーフォレーション)が・・・

 

 

しかも2つ。。。

(術前予想では1つだったのですが^^;)

 

これは細菌が起こした問題ではなく、医療行為によって起こってしまった医原性疾患

 

歯の治療、特に根管治療は0.1mm単位での仕事が要求されます、

歯の中の真っ暗闇の中で0.1mmの単位の仕事になりますから、このようなことは起こってしまいます。

 

 

ただ、1990年代の歯内療法革命により顕微鏡が登場したことによりこれらの問題というのは

起こさないように治療を行えるようにはなってきています(^ω^ )/

*顕微鏡下で慣れた先生が行えばの話です。 

 

 

1回目の治療で2か所の大きな穴を「MTA」にてパーフォレーションリペア

 

 

その後、膿も無事止まり、側面の大きな穴が感染の出口・原因になっていたようです。

 

 術後3カ月

2015 EEdental ma (3).jpg

少しずつ骨ができあがってくれているようにも見えます、また生活の中でも全く問題なく使えているとのこと。

 

もう後3か月(治療後6カ月)仮歯で生活してもらい、問題がなければ本歯にして行きたいと思います。

 

  

 

治ってくれたらカッコいい症例の1つになりますね!ヽ( ̄∇ ̄)ノ

 

パフォレーション説明

http://eedental.jp/ee_diary/2010/10/post-21.html 

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温かい物を食べると神経を取った銀歯がしみて痛む

患者さんは、以前から銀歯の歯で温かい物を食べると、歯がしみてその後痛い

ということをおっしゃられていました。

 

私の経験上、上部の冠部歯髄(*下の図の赤色の部分の神経)を取った歯では

endo zu.jpg

大きな痛み、冷たい物・温かい物などの知覚は殆ど無くなるのでどこが原因でしみているか分かりませんでした( ノω< )

 

 

レントゲンを撮ってみても非常に綺麗な根管治療・銀歯がしてあります。

2015 EEdental fu (2).jpg

かなり上手な先生が治療されたのでしょう。

 

 

ただ・・・

 

患者さんはこの歯が痛く、温かい物が咬めないとおっしゃられます。

 

別角度のレントゲンでもう一度診察

2015 EEdental fu (3).jpg 

ん~?

 

赤⇒の部分、もう1本神経管がありそうです。

 

ただ、この部分は神経管でも歯茎から下の部分ですから、本当にこの部分が原因なのか?

  

患者さんと話し合い

症状が改善されるか分からないが一度治療をしてみることに

 

 

治療後

2015 EEdental fu (1).jpg

あれだけあった症状が嘘のように無くなったそうです!

(上の図の黄色い部分を処理)

  

過去のブログでも触れていますが、第一大臼歯(奥歯)の神経管は解剖学的に4本です。

 

ただ、保険治療では昔の基準のままで、

神経管1本 神経管2本 神経管3本 と3つの治療費しか設定がありません。

もし4本目の神経管があっても、それは歯科医院のサービスで行ってね。

 

国としては、治療費は神経管3本分しか出せません(´ヘ`;)

 

ときちんとした治療を阻むかのような治療費設定。。。

 

高齢者の社会保障が膨らむ日本では、死に直結しない病気に関してはこんなものなのです。

 

昔と違い、奥歯の神経管は4本と解剖学的にも分かっているのですから、時代に則したものにすべきなのでしょうが・・・ 

国には財源がありません(>。<)

 

難しい問題だとは思います。

 

  

 

今回のケースはたまたま改善してくれましたが、

1~2年に1人ぐらい「神経を取ったはずの歯がしみる」と表現される人がいます(p・Д・;)

 

3年ぐらい前にも被せ物を入れたが沁みて沁みて咬めないという患者さんがいました。

2015 EEdental m.jpg

この患者さんは、顕微鏡歯科で自費根管治療を受けてきたとのことでしたが、神経管が2本残っており

そこが原因で沁みていたようです。

*この場合、1本の歯で5本の神経管がありました( ゜ー゜;)

MB3の説明: http://eedental.jp/ee_diary/2012/11/post-639.html 

 

 

今回の患者さんも仮歯で3か月生活して経過良好なので、

次回ゴールドクラウンを入れて終了です(ゝω・)ノ

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歯からくる蓄膿症 (歯性上顎洞炎の原因歯を根管治療で治す)

蓄膿症と聞くと『鼻の問題』と思われがちですが、実は歯科も関係していることがあります。(2割ぐらい)

 

 

歯科絡みの蓄膿 ⇒ http://www.ha-channel-88.com/sinusitis/ 

 

患者さんは耳鼻科にかかられたそうなんですが、CTを撮った結果

「歯が原因だと思われます」

と診断を受け当院に

 

 

初診時、鼻水・膿がすぐに喉に溜るようで、生活にも支障があり

鼻をかんだり、痰を吐くなどしていないと治療もできない状態でした(´A`;)

 

 

待合室、診療室でここまで症状が出ている方の受診は初めてでした(´・ω・`;)

(待合室の患者さんの咳き込む音が診療室の方まで聞こえていました) 

 

 

膿を止める方法としては

1、抜歯(+手術) 

2、根管治療(感染根管治療)

の2つです。

*症状が重い場合には総合病院などで全身麻酔で手術を行うこともあります。

 

一般的にここまで症状が大きいと選択肢1の抜くことが多いと思います。 

 

 

ここまでの深刻になるケースは特に第一大臼歯がの抜髄治療が失敗に終わり

運悪く上顎洞(鼻の横の空間)に炎症が連鎖してしまうと上記のような症状が出ることがあります。

 

 

今回の患者さんも上顎第一大臼歯(・ω・、)

EEdental hik.jpg

大きな病変が2つ見られます(>。<)

また根管治療の質も。。。(病変が見られる神経管は治療したのか?)

  

治療を始めてみると、いつもの診療体勢では喉にタンが絡むようで、

少し右を向いて定期的にラバーダム下の奥のツバを吸いながらの治療となりました。 

 

 

1カ月おきに治療を行い徐々に症状も軽くなっていきたところで根管充填

治療回数:4回(治療期間4カ月)

 

その後、仮歯で3か月様子をみてもらい治療後3か月検診でレントゲンを撮ってみると!

EEdental hik (2).jpg

2つの病変少し小さくなってきてくれて、骨が出来てきてくれているようにも見える「いい感じ」のレントゲン!

 

また初診時にあれだけ苦しそうにしていた痰がからむ、鼻をかむという症状は殆ど無くなったとのこと

  

 

術後3カ月なので、1~2年ぐらい経過を見て行く必要がありますが、まずは症状が取れたことが一安心( /^ω^)/

 

 

 

根の治療(神経の治療)から大きなトラブルに発展することがありますから、 

1回目の根の治療は非常に大切ですよ!( ̄o ̄)

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