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EEデンタル こだわりの最近のブログ記事

自費治療のセラミックインレーは歯の寿命が延びる!?

セラミックインレーを入れてからフロスも歯間ブラシも入らず、この部分の調子が悪いという患者さん

 

レントゲンを撮らせてもらうと

2023 EEdental TAA (1).jpg 

「何これ!?」ちょっと理解するのに時間がかかります。

黄色が超絶不適合セラミックインレー

オレンジがセメントの取り残し

赤丸が虫歯の取り残し

 

 

過去にゴールドインレーが入っていたそうなのですが、セラミックインレーの方が良い(虫歯になりにくい)とのことでセラミックインレーで治療をしたそうなのですが・・・

 

はっきり言います。

私の臨床では材料で予後は殆ど決まりません

保険の材料がダメ!で自費の材料が素晴らしい!というこもありません。 

EEデンタルで使っている材料の8割は保険治療でも使えます。 

私が感じるのは、歯科治療の予後で多くを決めるのは、歯科医師の診断力と技術です。

材料が及ぼす影響はそんなに大きくはありません。 

 

ちょくちょくネットで検索した患者さんに言われますが、「材料替えれば予後が良ければこんなラクなことないですよ」と説明します。

材料などは先生が慣れた材料であればよいと私は思っています。 

 

 

レントゲンの歯、適合もさることながら、虫歯の取り残し、隣の歯を歯茎の奥の方から削っている、不良補綴物の影響か歯周病のように骨が溶けている。。。 

 

この治療をした先生は治す気があったのか!?

体を壊す為には治療はしないと思いますので、本気でやってこれなら・・・

   

何故こんなことになってしまうのか!?

この理由は簡単です、「見えていないから」 裸眼ではこの部分の虫歯全く見えてません。

 

見えない所を感覚!?だけで削って治療をしたからこんな結果になったと推測します。

  

 

最初、患者さんには神経を取って、ゴールドアンレー or セラミッククラウンで治す

と説明させてもらいました。

  

麻酔をかけ、虫歯を取ること最初の1時間

正直、虫歯除去にこんなに時間かかったの初めてです。

*歯茎の下の隠れた場所を顕微鏡で確認しながらの切削なので大変!

 

幸い虫歯は舌側歯肉縁下方向に広がっており、虫歯を取り切ると歯髄側には「ピンクスポット」が顕微鏡で確認できたので、

「よし覆髄しよう!」とセラカルで覆髄し、隣の削られた歯の段差からレジン充填(歯肉縁下4mmぐらいの部分)

その後歯肉の深い部分からレジンで立ち上げ充填

   

持っている道具と技術と時間全てを費やし治療

2023 EEdental TAA (2).jpg 

覆髄+レジン充填完了!

レントゲンを見て虫歯の取り残しもなくかなり綺麗に治療出来ており一安心  

  

患者さんには感謝されましたが、1時間顕微鏡40分顕微鏡を覗き続け行った歯髄保存

今回の治療は全て顕微鏡下で「虫歯を削る」、「歯肉をトリミングする」、「止血する」、「縁下からレジンで立ち上げる」、「レジン充填する」この難易度は2度とやりたくないです(笑)

 

下〇な治療を受けると医原性の問題を作られ次の治療の難易度が極端に上がります。

これが抜歯の理由の1つにもなります。

 

治療をした先生は「自分の技術で治せるのか!?」ここの診断を誤っています。

つまり材料(セラミックインレー)よりまず【診断】なんです。

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薬を飲みたくないという患者さんへ【治療による痛み】

患者さんの中には、極端に薬を飲むことを嫌がる方がいますが、

個人的な感想ですが、「文明の利器を捨てている」と思ってしまいます。

 

わざわざ、痛み止めが無かった時代に2000年以上前の世界に遡っている感じ、

抗生剤にしても1900年代まで無かった感染症を防ぐための革命的な代物です。 

 

日本の長寿のベースは薬の進化だとも私は思っています。 

(極端な話、人生の後半は「薬」で生きながらえています) 

 

 

歯科治療はほぼほぼ全て外科処置です、外科処置なので術後数日は多少の痛みは出て当たり前です。

 

また痛みに関しては個々の痛みの感受性にもより同じ処置をしても痛いと感じる方、外科的な処置をしても全く痛みが出ない方色々です。

治療後に痛み止めを出しても後日患者さんに、「井野先生は痛み出るとよく言うけど、先生の治療は痛み出ないんだよね」とたまに言われますが、「それは〇〇さんが特別」と返しますが、実は約2割ぐらいの方は治療後にも痛みが出ません。 

逆に言えば8割ぐらいの人は弱い痛み含め「あっ、ちょっと痛いかな!?」ぐらいは出ます。

   

経験上、女性の方は痛みに敏感な人が多い印象で痛み止めは積極的に活用してもらった方が良いと思います。

男性は怖がりで術中の痛みに極度に怖がりますが術後の痛みをおっしゃる方が少ない印象です。

 

痛がり、怖がりの人に参考にしてもらいたいのは、

  

医療のテクニックの1つとして「先制鎮痛」という方法もあります。 

*先に痛み止めを飲んでおくと、術後の痛みは減る。  

痛がりの方や恐怖心が大きな人は痛み止めを1錠飲んできてもらうと、不思議と痛みや恐怖心からある程度開放されます。

これは心理的な要素も大きいですが、痛みは脳が作り出しているものですから、自分は痛み止めを飲んだから大丈夫などの自己暗示から痛みを作り出しにくいマインドに持って行ってもらうのも1つの方法で知っておいてください。

*痛み止めは「ロキソニン」でOKです。  

  

後、術後の痛みに関してはなるべく最初の痛み(治療後1~2日)を抑えるのが1つのポイントだと思っています。

私見ですが、最初の痛みを抑えた方が結果として痛む(気になる)期間は短くできます。

痛み止めを飲まない人ほど痛みは長く続きます。

   

まぁ、先日入れた300万近いエピオスも術後疼痛を減らす目的があります。

エピオス エコシステム導入 - EE DENTAL_Blog  

口に使う水をより菌のいない清潔な水を使うことで、細菌感染による痛みを減らす。

これも個人的な意見ですが、傷口(削った場所)は清潔な水で洗った方がいいと思っています。

 

 

現代の医療は薬なしには成立しません

たまに電話で「治療した所が痛い」と連絡がありますが、痛み止めは何錠飲んだか聞くと「飲んでいない」という返答。。。 

  

なぜ、痛み止めを飲まない!? 

と思います。

 

片頭痛持ちの私からすると、痛みは凄く嫌なので痛みが出そうな時は躊躇なく痛み止めに頼ります。

  

  

現在、EEデンタルでは痛み止めは「ロキソプロフェン60㎎(ロキソニンのジェネリック)」と「カロナール300㎎」を用意しております。

足りなくなったら、また処方しますので痛み止めは術後1~2日は上手く使ってください。

*喘息持ちの方はロキソプロフェン飲まずに、カロナールを飲んでください。  

 

  

漠然とした「薬は嫌」というのは止めておいた方がいいですよ。

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治療すると歯が悪くなる!?

患者さんは30代女性 旦那さんからの紹介 

左上の歯が気になるとのこと。

 

レントゲンを撮ると

2023 EEdental YY (1).jpg

ん~~~。。。

銀歯が合っておらず隙間がある+虫歯の取り残し

なにより、手前の健康を歯を大きく削っている・・・

 

申し訳ないですが、治しているんだか壊して(悪くして)いるんだか。。。

  

実際、奥歯の虫歯治療は裸眼ではぼんやりとしか見えてません。

歯と歯の間の虫歯を削る場合、必ず隣の健康な歯は98~99%の確率でもれなく削られます。

削られて凹になるとそこは将来的に虫歯が出来ます。

1本の銀歯治療から年々銀歯が増えていく訳(推測) - EE DENTAL_Blog

  

これが銀歯を入れた隣の歯が将来的に虫歯になるからくりです。

銀歯を入れた歯の隣に虫歯ができる訳 - EE DENTAL_Blog 

 

裸眼で治療していて「隣の歯は削っていない!」と言える先生は事実が見えていないだけです。

(すみません、もの凄く上から目線で^^;)

 

ただし、難しい所で正直に日本の保険治療費では手間はかけれないのでこれは日常的に仕方がないとは個人的には思います。

1mm以下の単位の仕事して、完成形まで作って利益が2000円も出ない仕事って・・・ 

 

患者さん的に言えば、健康な隣の歯を削らず治療は当たり前のように思えますが、隣の歯を削らず虫歯の歯だけ削るってもの凄く難しい技術です

 

私のやり方は、隣の歯を削らないように削る道具を3段階に極細→細い→所定の太さと3段階に分けます。

ケースによっては4種類のバー(削る道具)を使い4段階に分けることもありますが、削る時間は一般的な時間の3~4倍かかります、また患者さんの開口量(頑張って口を大きく開いてくれるか)にも時間と難易度は関係します。

最初から一度に太いバーでガァ~と削る方が圧倒的に治療時間は早いですが、近い将来また再治療が必要になります。

  

ここまでしても、微妙に削る道具が隣の歯の表面に触れてしまいことは日常茶飯事です。

ですから、ここまでやっても隣の歯を削っていないとは言えません。 

 

つまり凄く時間と手間をかけても少なからず歯の表面は削ってしまいます。

 

ただ、程度の問題はありますが今回の様にレントゲンに写るようだと結構削られています。

   

患者さんに了解を頂き、元の形態に近くなる様に、きちんと掃除しやすくなるように治療を行いました。

2023 EEdental YY (2).jpg 

第1大臼歯の削られた所は案の定虫歯になっていました(医原性疾患とも言えるでしょう)

第2大臼歯も神経を保護してゴールドアンレーを段差がないようにSet 

小臼歯にもコンタクトカリエス(歯と歯の間の虫歯)がありセパレーターテクニックで修復

レントゲン的にも綺麗に修復出来たと思います。 

 

個人的な意見ですが、

日本の保険治療は痛みを取るという、歯科治療の本質はカバー出来ていると思います。

ただ、長く問題なく使えるようにしたいと言うことになると、今の制度では難しいと思います。

  

保険治療の7割は以前の治療のやり直しの治療という現実、そしてこの7割の中には治療を受けることで更に歯を悪くしてしまうというものも多いと思います。

  

歯科治療は患者さんが思っている以上に技術と時間が必要になる仕事になります。

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やっぱり歯根破折

患者さんは40代男性

放置していたら、どんどん悪くなってしまった。

ということで全顎治療をスタートさせてもらいました。

 

患者さんの中には口の中が悪くて、恥ずかしいとかl汚くて見せたくないとかいう方(特に女性)もおられますが、その辺は安心してください。

こちらもその辺はプロ(職業)ですから、口の中が悪くても何の感情もありません。 

むしろどう治そうか!?ということしか頭にありません。

 

ですから、恥ずかしいとかいう気持ちで来院が出来ない患者さんは何も悩む必要はありません。

逆に言えば、早く来れば来るほど残せる歯の本数は増えますし、遅くなればなるほど外科処置(抜歯)も増えますから治したいと思えば勇気を持ってまずは歯科医院に相談に来てください。

 

今回の患者さんの右下のレントゲン 

2023 EEdental SAH (0).jpg

右下6は虫歯が大きく残根状態

右下5も小さな銀歯が入っているのですが、何故か歯がグラグラ

 

レントゲンの所見的に破折を疑い、一応残す方向で着手するも・・・

歯の中にヒビが見られ右下5・6を抜歯となりました。

 

抜いた歯の観察、

2023 EEdental SAH (2).jpg

頬側

2023 EEdental SAH (3).jpg

舌側

 

歯を観察させてもらうと、ヒビにそって歯石の付着も見られます。

またヒビは根の先端からスタートしているようにも見えます。  

 

レントゲンでこの部分に線があったので、疑ってはいたのですが・・・

2023 EEdental SAH (1).jpg

抜いた歯と線はほぼ一致しています。

因みにレントゲンでこのように破折線が映るのは、稀で微細なクラックはレントゲンでは分かりません。  

 

 

破折は、歯の上で起こるもの、下から起こるもの、はたまた中央部から起こるものありますが、

どういうメカニズムで発生部位が異なるのは凄く不思議です。

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根管治療の際の根管充填材は何がいいのか!?

根管治療の最後に詰める材料

一番代表的なのは【ガッタパーチャー】というピンク色のゴム

後は、【MTAセメント】での根管充填も専門医の中では一般的になりつつあります。

小児の場合は永久歯の兼ね合いもあり、【水酸化カルシューム】というペースト

 

その他、マイナーな材料も色々あり(これが結構厄介)

初見だと、「えっ、何この材料!?」なども数年に1回ぐらいあります。

 

最終的に歯に詰める根管充填材は、それぞれにメリット・デメリットがあります。

 

患者さんの中にはネットで調べられて、「根充剤は〇〇を使用してください」と 

おっしゃられる方もいますが、基本的に私は状況に合った成功率を高める為の材料を選択したいので指定をされる方の治療はやんわり断ります。

  

最近あるのは、抜髄にも関わらず「根管充填材はMTAを使ってください」という希望 

ネットで色々調べられるんでしょうね、ただ患者さんはデメリットにはついてはあまり調べられないようで。(HPなどは良い点しか書きませんからね)

 

MTAのデメリット

【一度入れると取れない】 ガッタパーチャーであれば再根管治療が出来ますが、MTAを入れた場合次の治療は外科的歯内療法、もしくは抜歯 ←このこと知らずにMTA根充希望される方は注意

【入れるのが難しい】 これは術者の腕次第ですが、MTAを過不足なく入れるのはある一定の太さが必要で抜髄であればMTAを入れる為にわざわざ歯を削ります。 →最近のトレンドは歯質の弱体化に繋がる為になるべく根管は削らない方向になっていますが、MTAを入れる為にトレントに逆行する治療になります。 

【黒変する】 先発薬のMTAは酸化ビスマスという造影剤の影響で歯質を黒くしてしまいます。 →前歯に使用すると将来的に歯の色がグレーに見えます。 後発薬のジェネリックMTAはそのようなリスクを軽減出来ますが、先発薬ほどの論文数が無い為MTAとしての効果に多少疑問がある物も・・・

【膨張する】 MTAは僅かながら膨張します。この膨張もMTAの種類によって膨張量が変わります。 →この僅かな膨張が良いという先生もいますし、この根管内の膨張で歯根破折のリスクが上がると考える先生もいます。 

 

当然、ガッタパーチャーにもデメリットはありますが、1つ言えるのはMTAはメリットばかりではありません。

デメリットを知らずにメリットから材料を選択するのと、メリット・デメリットを知ったうえで材料選択するには大きな違いがあります。

色々な考えはありますが、自分の臨床は自分の知識と経験則から材料を選ぶのがベターだと思っています。

(これで飯を食べている訳ですから、患者さんよりは知識があります)

   

私は根管充填材料は、

・ガッタパーチャー(固形、軟化タイプ) 

*シーラーはMTA系シーラー(← そこまでこだわりはないがトロープ先生お勧めの結構高いもの使っています)

・MTA(先発薬のMTAホワイト、もしくはジェネリックMTAプラス)

 

また根充剤の詰め方はケースbyケースで

2023 RCF.jpg

今は4つの方法から各根にあった方法で充填します。

(1本の歯でも神経管の形状に合った根充法を選択します) 

  

後、未だに日本にはびこる、『根充さえきちんと出来ていれば治る説

これも自分は完全否定

根管治療の成否は菌の感染の有無であり、きちんと根充剤が入らないより入った方がいいですが、

根充剤の入りが結果直結するとはあまり考えていません!

 

例えば、感染根管のケース

2023 syo-to.jpg

ショートしてしまいました。

患者さんには根管充填がショートしたことを伝え、根充剤の入りよりその前の形成+消毒が大切でここはかなりしっかりしたから様子を見させてくださいと説明

もし再治療が必要になったら無料でやり直すと説明させてもらいましたが、1年後には根尖病変は治っています。

  

 

極論、かなり昔は【綿栓根充】と言って、歯の中に綿を詰めていた時代もあります

2023 EEdental TO.jpg

根管充填材に綿を詰めていても問題は起こっていませんでしたが、

何十年も前の治療をやり直させてもらい、第2大臼歯はMTA、第2小臼歯はガッタパーチャーを入れ、

術後6年問題なく経過しています。

   

  

つまり、「根充剤は〇〇を使えば良い!」という訳ではなく、根管充填前までの菌を減らすという治療の方が重要になります。 

ですから、少なくともEEデンタルへ受診する患者さんが根管充填材を考える必要はありませんのでね!(^。^)

ただ、アレルギーがある場合などは事前に言ってくださいね、代用できるものを考えます。 

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神経のある歯の破折予防

以前ブログで書かせて頂いた

神経を残すクラック治療と自分なりの破折診断法 - EE DENTAL_Blog

 

2カ月ほど仮歯で様子をみてもらい、経過も良かったのでクラウンSet

2023 EEdental NA (2).jpg

青い矢印の白い部分がクラックをレジンで埋めた所

 

レントゲン

2023 EEdental NA (1).jpg

適合良くクラウンが入りました。

 

5月に書かせてもらったブログの様に生活歯が折れる場合にはだいたいパターンがあります。

 

また神経を保存出来るかどうかは治療の介入のタイミングにもよります。

今回の場合、早目に処置できたことが神経保存に繋がったかと思います。

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親知らず 抜きますか!? 残しますか!?

多くの現代人にとって不必要とも言える親知らず(第3大臼歯)

 

昔の人に比べ、現代人は顎が小さくなり、逆に歯の大きさは大きくなっていると言われ、

昔であれば親知らずまで綺麗に並んでいたのが、現代人の多くは親知らずまで綺麗に生え揃いません。 

  

ですから下の親知らずなどは横向きに生えてきてしまうケースが多いです。

 

 

私も勤務医時代口腔外科医の先生から手ほどきを受け、半埋伏ぐらいの親知らずであれば伝達麻酔を併用してガンガン抜いていました。

ただ、開業してからは全く行わなくなったので、たまに親知らずを抜いて欲しいと言われても「紹介状書くから口腔外科行ってきて」とお話していますが、昔に比べ、親知らずは積極的に抜かない傾向にあります。

これも自分が体験した親知らずを抜いた際に大きくリスクが出た経験による部分もあります。

親知らずの抜歯⇒感染⇒上顎洞炎 - EE DENTAL_Blog 

 

完全埋伏などの歯茎の下に埋まっている問題を起こしそうにない親知らずであれば多くの場合で「そのままでもいいんじゃない!? この生え方はあまり問題起さないから」と説明

歯の頭が見えているような半埋伏の親知らずであれば、第2大臼歯に問題を引き起こすパターンであれば抜歯を勧めます。

親知らずの悪影響と虫歯リスク - EE DENTAL_Blog  

この辺りは先生の年齢や、口腔外科出身など先生により考え方が異なります。

 

 

今回の患者さんは昔から来院して頂いている50代の患者さん

「フロスしていたら何か取れてきた」と来院

レントゲンを撮らせてもらうと、

2023 EEdental TOS (1).jpg

「?」 

実際口の中を見てみると、歯冠破折で頬側の歯半分がなくなっている。

「Tさん、これ歯が半分ほど折れていますよ」 

「どうします抜きますか!?」

 

『先生、痛くもないし何とかならないですかね!?』

 

「折れるってことは機能していたとは言えるので、残す方向でやってみますか!?」 

  

と言うことで神経を保存して、ゴールドで部分的に治すことにしました。

 

実際治療を始めると、

2023 EEdental TOS (4).jpg

歯茎の中から更に割れた破片が出てきました。

 

いつも通り電気メスで歯肉をトリミングしレジンでベースを作ります。

2023 EEdental TOS (5).jpg

*電気メスで歯肉をトリミングし、フロアブルでレジンベースを作る 

 

下地完成

2023 EEdental TOS (6).jpg

この後、印象を採り技工士にゴールドアンレーを作ってもらいます。

2023 EEdental TOS (2).jpg

 レントゲン

 

ゴールドアンレーSet

2023 EEdental TOS (3).jpg 

綺麗に入りました! 

 

歯冠破折ケースをしょっちゅう治療しているんで今ではルーティンでこんな治療しています。 

 

先日、歯内療法学会でO先生に

「先生の動画みてやっているんですが、なかなか・・・」と言われましたが、コツは

①電気メスでのトリミングを少し外開きにする

②浸出液、出血はボスミン綿球で圧迫止血を行いレジン充填時はドライの状態を作る

③充填中に出てくる浸出液は、根管内バキュームで吸引

④レジン充填時のマージン付近はなるべく細いチップを使用する(27G)

⑤積層していくと側面がソフトクリーム状になるので、後でその凸凹に薄くレジンを盛り足すかプロフィンで修正

⑥マージンはレジンマージンでOK、歯質にマージンを持ってくる必要なし!

後、セミナーで言っているのですが、間接法前のレジンベース=レジン充填であり、印象前に手直しが必要ない形に詰めること(レジンを充填したら即印象が採れる形態をイメージ)

 

こんな所がポイントになってくるでしょうか。

 

意外と若い先生が自分のブログを読んでくれていて、変な影響力を持たないように注意せねばと思っております(笑)

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歯の為に知っておくと良い「歯と歯の間の虫歯」の治し方 

大人の虫歯は歯と歯の間に出来る場合が多いです。

 

歯と歯の間の虫歯を治すには2つ

1、インレー(金属、セラミック、レジ系材料)

2、レジン(CR・プラスチック)

   

私がインレーをしない理由

1、削る量が圧倒的に多い

2、仮詰め期間中(インレーが出来上がるまで)象牙質への細菌感染がある。

3、削った部分にプラーク(菌)を付着させたままくっ付けてしまう。

4、インレーを付ける為のセメント操作が難しい(セメンティング・セメント除去)

5、材料の特性上大きな虫歯まで気づかないことがある

 

この5位の理由を動画にしました。

 

適合の良いインレーは短期~中長期的に見ても予後がいいと思います。

ただし、中期~長期的に見ると機能咬頭側の歯に問題を起こしやすいです。

上顎でいうと、口蓋側咬頭(舌側の山)

下顎でいうと、頬側咬頭(頬側の山)  

  

これは何故起こるか!?

  

歯と歯の当たる場所に物性の違う2種類がありこれも力の関係で、

「弱い方が負ける」

歯のエナメル質は水晶と同じような固さを持つ「石材」のような組織です。

一方ゴールドは柔らかいと言われますが、「金属」です。

例えると、「強化ガラスの道路に金属製のマンホールの蓋、そこに毎日100回ボーリングの玉が落ちてきます」

10年後そこは入れたままの状態を保てるでしょうか!? 

人の体は経年変化で徐々に変わっていきます。

咬み合わせも年々歯ぎしりなどで擦れて低くなっていきます、「18歳の頃と40歳では明らかに歯の形が違います」

2023 EEdental SAN.jpg

先日仮歯を入れさせて頂いた77歳の患者さん

天然歯は歯ぎしりなどですり減り凹んできていますが、この変化は人工物(セラミック、金属、レジン)では起こりません。

    

強化ガラスの道路にマンホールの蓋の境界部には差が生まれます。

つまりこれが動画の小さな穴なのです。

そこから虫歯が始まりしらないうちにインレーの下で大爆発します。

(ただし、そんなに多くはないです) 

 

インレー治療でこれを避けるには簡単です。

「機能咬頭付近は削らない、不必要な予防拡大などはしない」

*ただし、一回インレーを入れるとやり直し3回目にはこのような状況にはなってしまいます。

  

1908年に提唱されたBlackの窩洞形成の原則

Quint Dental Gate - キーワード (quint-j.co.jp)

  

凄いですよね、115年前の技術の基礎が今も教科書で伝わる原則になっています。 

今は2023年ですから、当時の材料や設備とはことなります。

レジン治療の登場と接着技術の向上により、ファーストカリエスならBlackの窩洞形成の原則にのっとる必要はありません。 

  

2級インレー治療と同じC2・コンタクトカリエスをレジンで治す場合

【私がブラック先生の原則に当てはめると】

(1)窩洞外形 ⇒ 殆ど気にしません。むしろエナメル質がより多く残るような内開きの削り方をします。
(2)抵抗形態 ⇒ 殆ど気にしてません。
(3)保持形態 ⇒ 削って行くと必然的に得られる形態になります。
(4)便宜形態 ⇒ 極稀にコンタクトを0.3~0.5mm調整することはあります。
(5)う蝕象牙質の除去 ⇒ 非常に気を使っています。(インレー、レジン共通)
(6)窩縁形態 ⇒ 0.1~0.2mmのベベルを付けます。
(7)窩洞の清掃 ⇒ 削って得ようとは思いません。
(8)予防拡大 ⇒ しません。

このようにインレーに比べレジン治療は圧倒的に削らず治療が可能です。

  

ですから歯と歯の間の治療というのは、レジンを第一選択肢にした方がいいというのが今の歯科治療の見解なのです。

 

ただ、日本の場合はやはりインレーが多いという現実があります。

理由は多くの患者さんを診るにはインレーの方が効率的だから。。。

 

肌感覚では今の若い先生はレジンを好みますし、年配の先生はインレーを選択することが多い気がします。

これを患者さんに言うと驚かれますが、時代時代で教育が変わるので世代世代で考え方、方針、治療法が変わってくるのが歯科治療です。

 

ですから、自分の希望する方法があればその治療が出来る歯科医院を探し受診してもらった方が歯科ではいい訳です。

  

医科の先生の名言「歯科医院選びほど難しいものはない

 

 

歯と歯の間の虫歯、あなたはどう治しますか!?

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垂直歯根破折

垂直歯根破折修復の第一人者の天川先生から別刷りを頂きました。

IMG_8420.jpg

わざわざ送って頂きありがとうございます、勉強させてもらいます!

  

破折歯の接着修復は自分も菅谷先生の接着修復セミナーに参加して3ケースほど行ったのですが・・・

1年半ぐらいで3本とも上手く行かず、これは自分には向いていないと早々に見切りを付けてしまいやっていません(笑)

 

ただ、10年前ぐらいとは状況が変わりつつあり、「接着修復」学会などでも認められつつありますね。  

   

 

EEデンタルで、どうしても破折歯を残したいという患者さんには天川先生を紹介させてもらっています。

(長野県だけど行く!?と)  

  

餅は餅屋でやはり専門の先生の勘所などは凄いなと思います。 

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親知らずの移植で歯を作る

極たまに親知らずを使って移植 をしています。

と言っても、私は根管治療と補綴担当で抜歯+移植は湯浅先生にお願いしておりますが・・・

*湯浅先生はスペシャリストの尊敬する先生の一人です。

エビデンスの勉強を - EE DENTAL_Blog

  

患者さんは全顎治療をさせて頂いた40代男性

2023 EEdental KUM (1).jpg

右下6が根管治療の仮蓋が取れ、そのまま放置をしてしまったようで中に大きな虫歯+歯根破折が見られます。

*後々、話を聞くと過去の根管治療で何度も何度も痛い思いをして通っていたが症状がなかなか治らないので通院を止めてしまったとか。EEデンタルは根管治療を1回 or 2回で仕上げるのでびっくりしたとか(笑)

 

患者さんにはこの歯は残念ながら抜歯しかないこと、インプラントは本人が避けたいとのことで

代わりに残っている「左下の親知らずを使って移植してみるか!?」と提案 

  

患者さんの了承を頂き、紹介状をわたし、

医療センターの湯浅先生に移植をしてもらい

EEデンタルへ

2023 EEdental KUM (2).jpg

綺麗に親知らずを移植してくれています。

移植歯の初期固定はスーパーボンドを使用、EEデンタル来院時には固定期間が終った所です。

   

移植から4週間後ここからまず神経の治療を行います。

*移植した歯は神経が死んでしまうので、移植を行い初期固定が終わったら速やかに神経治療を行います。

「歯を抜いた=神経・血管を切断した」 歯を体の中に戻しても神経・血管は繋がりません。

2023 EEdental KUM (3).jpg

ここから仮歯を入れ、骨が出来上がってきてくれるのを待ちます。

仮歯を2~3か月後には仮歯を入れて柔らか目のものから咬めるようにします。 

 

移植後半年、骨もできつつあり症状もないことより

2023 EEdental KUM (4).jpg

フルジルコニアを入れました。 

  

久しぶりに来院があったのレントゲンでチェックさせてもらうと

2023 EEdental KUM (5).jpg 

 かなりびっちり歯の周りの骨も出来てくれて経過も良好です。

  

移植の成功率はざっくり80%

ただ、この80%をより確実にする為に、口腔外科医が移植を行いその後、歯内療法専門医が神経の治療

 2人の専門医が自分の得意分野を生かすことで成功率を上げて行きます。

 

 

ただ、今回のケースはちょっと出来過ぎかな(笑)

 

 

 

 

 

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