Home> 歯内療法日記: 2012年10月アーカイブ

歯内療法日記: 2012年10月アーカイブ

歯竜Ⅳ

2年ぶりに来院された患者さん

宮さん:「先生虫歯ができちゃった・・・」

    :「先生すみません、ここ2年忙しくてメンテナンスにも一度も行けてないんです・・・」

 

歯竜:「はぁ!?」

   :「とりあえずレントゲン撮りましょう」

EE.jpg

 

歯竜:「ノォ〜〜〜〜!」

   :「2年でここまで進行した虫歯って初めて見ましたよ」

 

歯竜:「歯科医院のメンテナンスと言うより、これは毎日の歯磨きに問題ありだね」

    

ぴのこ:「夜晩酌した後歯磨していますか?」

 

宮さん:「。。。」

 

歯竜:「やっぱり!」

 

宮さん:「せ、先生この歯って抜歯!?」

 

歯竜:「ハイ、抜歯」

 

ピノコ:「先生、即答ですか! 何とかならないんですか!?」

 

歯竜:「なる訳ないじゃん、歯ぐきの奥まで虫歯が進行しているんだから教科書的にも抜歯だよ」

 

宮さん:「先生そこを何とか・・・」

 

歯竜:「ならないね〜」

 

ピノコ:「なんとかするのが歯医者でしょう!」

 

歯竜:「テレビみたいなこといいますね?」

   :「でも治療するなら抜歯覚悟だよ」

 

宮さん:「先生が治療してみて駄目なら諦めます」

 

歯竜:「OK!」

   :「と言うものの歯の周り全体的に虫歯だし上から削っていくと歯ぐきの下に根が少し残る程度だしなぁ・・・」 

 

 

歯竜:「何とか他のアプローチを考えねば・・・」 

   :「ハッチャけましたわ!」

 

ピノコ:「先生、【昭和】臭い!」

    :「何か良からぬことを思いつきましたか!?」

 

歯竜:「お前鋭いな!」

 

 

歯竜:「まぁな、ここはCr-endodontist の実力を見せる所だな」

 

ピノコ:「先生どうしますか!?」

 

歯竜:「1、まず電気メスで歯ぐきの周りを1層削除する」の巻

   :「2、虫歯を音波チップでチマチマ削る」の巻

   :「3、神経がたぶん出るが、先にレジン充填をしてしまう」の巻

   :「4、ラバーダムをして2mmの穴から根管治療⇒根管充填」の巻

   :「5、2mmの穴をレジン充填」の巻

    の1回法だ!

 

ピノコ:「またそんな複雑でお金にならないことを・・・、理事長にまた怒られますよ」

   :「先日もっと、どんどんセラミックやインプラントして売上上げろって言われたじゃないですか」

 

歯竜:「沢山歯を削れば売り上げが上がる悪しき風習だな」

   :「どうせ、俺、固定給だし、理事長の意見は無視の方向で!」 

 

ぴのこ:「また、怒られますよ・・・」

 

歯竜:「じゃあまず、「1、2」の治療を行う!」

 

顕微鏡を見ながらの治療で45分経過!

DSC05254.jpg 

 歯竜:「やはり虫歯は神経まで進行してしまっているので、神経の除去は避けられないな」

 

歯竜:「問題の虫歯の部分のみ除去できたな!」

  

 

ピノコ:「キノコ状に歯が残りましたね」

 y.jpg

歯竜:「なぁ、初めて見る形体だよ」

 

ピノコ:「先生今回の治療って初めて!?」

 

歯竜:「おぅ!」

 

ピノコ:「えぇ〜〜〜!」

   :「よく思い付きますね」

 

歯竜:「さっき考えた」(笑)

   :「とりあえず、レジンで補強を兼ねた隔壁を行う」

 

ピノコ:「このままだと確実に折れてきますもんね」 

 

歯竜:「よし隔壁&レジン充填終了!」

DSC05255.jpg 

 

ピノコ:「先生・・・、因みになんですが、ここまでの治療費なんですが、保険では治療費の算定ができません、つまりはここまで無料・・・」

 

歯竜:「だな」

 

ピノコ:「知っているんですか!?」

 

歯竜:「おう!」

 

ピノコ:「どうしましょう、理事長になんて言えば・・・」

 

歯竜:「大丈夫、何とかなるって!」

 

ピノコ:「先生今月も反省文ですよ・・・」

   :「なぜか私も!」(!!) 

 

 

歯竜:「4、ラバーダムをして2mmの穴から根管治療⇒根管充填」

   :「さてここから俺のメイン」

 

ピノコ:「先生すみません、どこからがメインか分りません・・・」

 

歯竜:「いや、ここから。。。」

DSC05258.jpg 

 

歯竜:「この歯の神経の形体であれば2mmの穴から根管治療可能だ!」

   :「最小限の削除量で行く!」

 

ピノコ:「大きく削った方がラクなのに・・・」

 

歯竜「お前、MI(ミニマムインターベーション)って知っているか!?」

 

ぴのこ:「はいはい、知ってます」

    :「でも先生あの考え方って、小さく削る=MIではないですよね」

    :「予防的なプラークコントロールから始り、最小限に治療に介入する考え方ですよね」

 

歯竜:「おめぇ〜、詳しいなぁ!」

 

ピノコ:「止めてください、ドラゴンボールの悟空の真似は!」

 

歯竜:「正解です! 日本では【小さく削る=MI】と言うが間違いだな」

   :「まぁ、この穴で普通に治療出来ちゃうんだからこの削除量でOKだ!」 

 

レントゲン

CI26.jpg 

歯竜:「はい、OK」 

 

ピノコ:「いい感じに入りましたね」

 

歯竜:「まぁ、合格点だろう」

   :「じゃあ、もう一度ラバーダムをして、今度はレジン充填だ!」

 

ピノコ:「えっ、まだやるんですか!?」

 

歯竜:「2mmの穴にレジン詰めてしまえば、今日1回で治療は終わるからな」

 

ピノコ:「一応患者さんのこと考えているんですね」(笑)

 

歯竜:「・・・」

   :「ガッタパチャーは詰めたが、根管内に唾液は入れたくないのでラバーダムをしてレジン充填を行う」

 

ピノコ:「いつものレジン充填ではラバーしないのに!?」

 

歯竜:「いつものレジンとビルドアップは意味合いが違うんだよ」

   :「根管治療の集大成が土台、詰め物だからここで唾液が入れば全てが台無しなんだよ」

 

ピノコ:「治療のことだけは色々考えているんですね」

EEdental Y (4).jpg 

 

 歯竜:「はい、レジン充填終了!」

 

ピノコ:「10分で詰めるとは・・・」

 

歯竜:「2mm程度のの穴だからな、詰めるのもすぐだな」 

   :「問題は入れ歯が元に戻るかだな」

 

ピノコ:「歯の形が変わってしまったので、作り直しですかね!?」

 

歯竜:「なるべく元の形に近いように詰め物してみたんだがな」

 

歯竜:「じゃあ、宮さん入れ歯入れてみてください」

 

Aさん:「?」

    「はい、入りました」

 

EEdental.jpg 

ピノコ:「入りましたか!? 痛い所ないですか!?」

 

EEdental Y (7).jpg

Aさん「はい、痛い所はないですよ」

 

歯竜:「OK どうやら、元の形に近い形で治せたみたいだな」

 

ぴのこ:「入れ歯綺麗に戻りましたね」

 

Aさん:「はい、元の歯のように見えます」

 

歯竜:「見えるだけだからね、殆ど人工物で作っているから長く持つかはAさん次第だから」

   :「歯磨きしろよぉ!」

 

ぴのこ:「ドリフ世代。。。」

 

 

歯竜:「じゃあ、今日はこれでおしまいね。2時間半もかかってしまったねぇ〜」 

 

 Aさん:「いえ、本気で歯磨きします!」

 

歯竜:「じゃあ、2〜3日はあまり硬いモノ噛まないでね」

 

EEdental Y.jpg 

 

 

その日の夜 ピノコ呼び出し

理事長:「?」

    :「午前中2時間半かかって治療費3300円!?」

    :「あいつ、全然売上上げていないじゃないか!」

 

ピノコ:「俺、固定給だから関係ないとか・・・」

 

理事長:「神経を取って、ファイバーコア、セラミッククラウン、入れ歯(金属床)を作れば30万ぐらいどこの歯科医院でもかかるでしょ!」

    :「馬鹿みたいに時間と手間かけてなんで売り上げが落ちるんですか!?」

 

ピノコ:「いや、あの人頭弱いですから・・・」

 

理事長:「いや、あいつの頭の悪い所は100も承知!」

    :「なんでお前が止めない!」

 

ピノコ:「。。。」 (何で私が怒られるの・・・)

 

理事長:「もういい、今後はあいつは自費治療担当だ!」

 

 

 

 

 

保険治療でも自費治療でも治療の内容は同じです。

 

今回の治療はかなり特殊ですが、医院側が120%赤字覚悟であれば保険治療で出来ないことはないです。

保険の治療費は安すぎる為に、効率重視の方法が採用されることが殆どです。

 

歯科の客観的な技術評価は非常に難しく、またその評価を行い始めると治療費は確実に上がってしまうと思います。

ただ、今のままの効率重視の診療では医学・技術の発展は遅くなります。

(歯科保険の場合何十年も変わり映えはありません、その代わり治療費もここ何十年も据え置きです) 

 

現状、歯科医師は今の治療費は安すぎると言いますし、患者さんは100円でも安い治療費を求められます。

どこでバランスを取るのかは難しい所ですが、国もお金がないのですから、これ以上国に頼らず済むように一人一人が必要な医療について考える必要がありますね。 

 

 

 

歯竜Ⅰ:http://eedental.jp/eeblog/2011/02/post-255.html

歯竜Ⅱ:http://eedental.jp/eeblog/2011/04/post-269.html

歯竜Ⅲ:http://eedental.jp/eeblog/2011/10/post-281.html

     http://eedental.jp/eeblog/2011/10/post-372.html

フィクションですのでね(汗)

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

来たぁ! Vortex Blue Rotary Files

とうとう来ました!

 

寺内先生に教えて頂いた

Vortex Blue  Rotary Files

http://eedental.jp/eeblog/2012/09/post-612.html

 

DSC05322.jpg

この針金の棒の群れが何と16万。。。ヾ(;☆ω☆)ノギャアアーー

 

高いけどこれは良い道具と信じ!

今日の夜に抜去歯でどこまで強引に使えるか実験してみたいと思います。

 

このファイルが使用できるようになれば、ハンドファイルがいらずに抜髄が終了できるので、術者による腕の差が多少少なくなるでしょうね。

 

でもエンドは、基本が一番大切で「ラバーダム」や「隔壁」作らなかったら・・・

良い道具もあまり意味ないですけどね。。。ヽ(´Д`ヽ)(/´Д`)/

 

 

 

因みに日本での発売はないらしいので、気になる先生は海外通販で!

 まぎらわしいのですが、

【Vortex Blue  Rotary Files】と【Vortex でもPro Files】があります。

 

間違えて買わないようにしてくださいね

http://www.tulsadentalspecialties.com/default/endodontics/RotaryFiles/ProfileVortex.aspx

 

 プロファイルも良いファイルですけど( ・ω・)ノ  

(私も2世代昔のプロファイルは使用しています。) 

 

そのうち4世代目に変えます。

 

間に合えば、1月の「ペントロンハンズオンセミナー」で見せびらかします(笑)

「いいでしょ!」(^ω^ )/

 

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

Home> 歯内療法日記: 2012年10月アーカイブ

購読
Powerd By

Return to page top