患者さんとの話し合い
- 2025年7月 5日 09:00
- 歯内療法日記
日本の歯科医療において圧倒的に足りてないもの1位
「会話」
コミュニケーション不足で起こる問題というものも多いと思います。
イメージ的に多くの歯科医院の説明は「保険治療から自費治療へ移行する為の説明」が多いと思います。
私が自費専門で一番良かった点は、この自費治療への説明をしなくていいことです(笑)
昔、私が歯科医師になった頃(2000年)に先輩に
「患者さんには小学生でも分かる様な説明をしないさい」と言われていました。
また「患者さんは説明しても緊張から殆ど話は理解していない」
当時はスマホもなく、ネット環境もあまりよくない時代(ADSLが出てきたぐらい)でした。動画なんて見ようとするとダウンロードに15分ぐらいかかっていましたので、殆どネットで歯科のことを調べるような方はいませんでした。
こうは言われていましたが、保険診療での診療でしたので患者さんと会話しても1分取れればいい方
夕方なんかはカルテが5部ぐらい積み重ねられ、「やばい、急がなきゃ(汗)」というのが日常
3台のチェアーを行ったり来たりと挨拶ぐらいしか話していませんでした。
逆に15時過ぎのアイドルタイムなどは、暇なのでお婆さんと世間話もしていました。
(これも同級生に言われた、「会話を上手にする為には異性と沢山会話すること」という教えです)
今は自費診療専門なのである程度時間にゆとりがあり、簡単な説明する時間も取れるようになりました。
(先日患者さんに「先生もう少し時間あります!?」→【はい】→「歯じゃなくて、GRヤリスの事なんですが(笑)」みたいな流れもありました)
国も保険診療の中でもう少し会話というものに費用を出してくれればいいと思うのですが、
包括化の流れで全て再診料(440円)でやってくださいというのはどうなんでしょう!?
今回のケース
30代男性患者さん
2年前ぐらいからズキズキたまに痛み、最近は歯茎も腫れてきたりする。
レントゲン
右上1に根尖病変が見られます。
また左上1に比べ根管が非常に細くなっています。
患者さんには神経が死んでしまい、そこに細菌感染が起こり膿んできている
まずは歯の中を綺麗にする為に根管治療を行いましょうと説明
治療は1回法で治療を行いました。
2.5mmぐらい穴を開けそこから治療を行い、開けた穴の部分にレジン充填
治療後膿はすぐに止まり、1年予後
根尖病変は小さくなってきており、終診となりました。
先日別の歯がかけたとのことで来院してもらい、ついでに前歯のレントゲンを撮らせてもらいました。
あら!?透過像がまだあります。
ただ、患者さん的には前歯は腫れも痛みも違和感もないそうで、治療後からは調子は良い!
触診で右上1の根尖を押しても違和感もない。
*前歯に根尖病変があると鼻の下辺りを押すと違和感が出ます。
患者さんと話し合って、根尖病変も術前よりは大きくなっていないことから
①もう一度根管治療を行う(再根管治療)
②外科的歯内療法で治す
③症状が出るまでこのまま様子をみて、症状が出た際に①、②の処置を検討する
の3択
患者さんは問題無く使えていることより、③を選択されたので
「じゃあ、何か変だと思ったらまた来てください」となりました。
まぁ一流処の先生であれば、これは完全な失敗症例でもう一度処置をすると思います。
ただ、そこは三流専門医(私)、次の治療で必ず治せる見込みはない・・・
また、患者さんの歯を長く使う為にはなるべく医療介入を最小限にしたい。ということから
患者さんに、現状と将来の指針を理解してもらい今回はそのまま待機診断という形を取らせてもらいました。
ネクローシスパルプの成功率はおおよそ80~90%
どんなに上手な専門医が行っても1割程度は失敗となります。
この失敗した時の介入の有無というのは、患者さんのキャラクター、症状、病態から今回のように判断することも極たまにあります。
ただ、これは説明という時間を割いたことにより出した答えであり、話し合う時間というのは医療において処置ぐらい重要な気がしています。
こんなこと書いていますが、自費治療のみで診療を行わさせて頂いているのでなせる事かもしれません。
今日の患者さんも、他の歯科医院で自費治療を受けた際に先生と話す時間なんてほんの数分であったと話されていましたが、保険診療所の自費治療と自費専門の歯科医院の自費治療ではこういった所から差は出ます。
と言ってもEEデンタルの全ての患者さんが納得されているかというとそれは分かりませんけど(笑)
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