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歯内療法日記: 2013年3月アーカイブ

来たぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜! 2つの遠心頬側根(DB2) 根管治療専門

以前、奥歯には遠心頬側第2根管があると講演できいたのですが、

http://eedental.jp/eeblog/2012/05/post-526.html

これまで一度も見たことありませんでしたヾ(;´Д` )

 

しかし今日、一番奥歯を治療していると、

 

「こ、これは!」 

 

「DB2!?」

 

EEdental DB2(1).jpg

ちょうど神経管の穴を結ぶと十字のような形になっています。

 

DB2とか、MBとか、DBとか、Pとか一般の方からすると暗号ですよね

その他にも、ここの歯で言うとまだまだ暗号ありますよ、MB2とかMB3とかねヾ(・_・;)

 

奥歯などの大きな歯は1本の歯でも神経管が複数でてきますので、

歯の中の住所的なものです。

 


D:ディスタル-遠心側
M:メジアル-近心側

番地

B:バッカル-頬側
P:パラタル-口蓋側

 

例えば、

DB:遠心頬側 (遠心町頬側番地)

MB:近心頬側 (近心町頬側番地)

 

ですので、歯医者間で「MB根」と言われれば、あの部分の神経ね!と直に分る訳です( ・∀・)ノ

 

 

今回のこのDB2 感染根管処置で石灰化(神経管が細くなる)しており

神経管の上部のみしか開けることができませんでした(⌒_⌒;

 

ここの部分の神経の治療は前の先生もノーマークで、全く手つかずの状態でした、

これは顕微鏡でよく歯を観察していてたまたま見つけれたものでした。

(最初、0.1mm以下のヒント様の所見しかありませんでしたので、裸眼で発見することはまず無理だと思います。。。) 

 

拡大するからこそ見える、分るものもあります!

 

非常に個人的な意見で申し訳ないのですが、

この歯は、

「抜髄時に出会いたかった歯」

ですね! (ノω`)ノ

 

 

 

 

それともう1つ御報告を

以前5月のIFEAで「第2大臼歯の複雑な根管形態」のテーブルクリニックをさせてもらう予定だったんですが・・・

 

30分のスライド全部英語でないと駄目ということで、テーブルクリニック無くなりました。。。

 

また機会があればどっかで同じネタで発表させてもらいますm(_ _;)m

(今回の歯も上顎第2大臼歯だったので、発表のネタにはなりますね!)

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続 MM根(Middle Mesial) MD根(Middle Distal )を調べてみると 根管治療専門医

吉岡先生の症例検討会用に、MM根とMD根について調べてみました。

 (吉岡先生にどっさり文献教えてもらったので! 英語だけど。。。)

 

ある先生から

『MM根とMD根ってあるの!?』

と聞かれましたが、そうなんですよね!

 

顕微鏡を使用しないとまず探すのは無理ですね・・・

 

顕微鏡あっても難しいのが実情ですけどね(p・Д・;)

 

 

 

またこの部分は1本の根から3本神経管が出てくるので、

(例えると、1本の丸太に大きな穴を3つ開けるイメージです)

積極的に削ると歯の強度もかなり落ちそうなので、抜髄時に削った方がいいのか、必要最低限の洗浄に留めるのがいいのか個人的には悩む所です=( ̄。 ̄;)

これはMB2、MB3についても同じ考えがあります。

 

ただ、過去に2度ほどMM根が感染源になり腫れてきた歯を治療したことがあるので、治療しておいた方がいいかなと今は思います。

 (私コロコロ考え方変わるので)

 

MM根はイスムスを強引に削っているだけとも解釈できるのですが、

調べていると、MM根の半分ないぐらいが独立した根管との報告もあります。

 

EEdental MM MD.jpg 

この隠れた神経管は複根は遠心根より近心根の方が出現率が高いようです。

MM根1〜15%

MD根0.2〜3%

 

ふと思ったたのが、これってイスムスの出現率に相関がないか!?(; ̄Д ̄)

 

と言うことでイスムスも調べてみたのですが、

近心根(MM根側)83% 遠心根(MD根側)36% となんとなく相関がありそうな雰囲気ですヾ(°∇° )

 

 

ですので、治療できないより治療した方がベターかな!?と思います。

 

見えなくてできない、知らなくて⇒治療しない

見えていて、理解した考えの元⇒積極的な治療をしない

 

では意味合いが違ってくると私は思っていますヾ(・_・;)

 

一番最新のEEデンタルの統計

EEdental mm.jpg 

発見率はMM根9.4%

      MD根1%

でした。

 

って、発表内容の7割をブログにしてみました(笑)

 

 

かなり早口で話して8分の発表でしたので、あいつ何話しているんだ状態だったかも(´-ω-`;)ゞ

 

 

後、臼傍歯の癒合ケースの2年予後のスライドも出しましたが、それは次回にでもブログにします。

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アメリカから送られて来たもの

DSC00977.jpg

海外から怪しい箱が届いた。

 

 

ボルテックスブルーなら先日買った分だが・・・?

 

もしかして、先日注文したエガちゃんピンのDVD!?

 マグカップも密かに欲しい!

 

届いた箱を恐る恐る開けてみると

DSC00976.jpg

 

PROTAPER NEXT」 が入っていた。

(ニッケルチタンファイルです)

 

 

あっ、PROTAPER が m-wireになった訳ね!(・∀・)

プロテーパーは元々3世代目のニッケルチタンだったのですが、

材質が新生代のものになりPROTAPER NEXTとして発売されたようです。

 

プロテーパーは世界一ユーザーの多い非常に優れたファイルです。

非常に使いやすく私も大好きなファイルです。(師匠が開発者のラドル先生と仲がいいのでその流れで・・・)

 

個人的には、GTXよりはこっちの方がいいかな。(GTXってラジアルランドで折れない分削れない・・・)

と言うかデンツプライ、色々ニッケル・チタンファイル出し過ぎ!ヾ(*д*)ノ゛

 

知っているだけでも6種類ニッケルチタンファイル出ているよ(。-`ω-)

 

 

因みに、 送ってきてくれたのはSmailUSでした。

 

また暇な時に抜去歯で遊んでみますm(_ _)m

 

3世代のプロテーパーに比べ感覚的に何が変わったのかな!?

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道具じゃないのよ、歯内療法(根管治療)は

今日は東京まで吉岡先生の「歯内療法症例検討会」に行ってきました。
(帰りの新幹線の中で書いてい為に長文になりました)
 

今日の会は医科歯科大学であったのですが、
 
まぁ〜、医科歯科の先生が多いこと(oゝ艸・)
 
医科歯科に関係ない発表者は私と服部先生のみ(笑)
 

私はMM根絡みで、6Canals(1本の歯に神経管が6本)の症例報告をさせて頂きました。
(内容は暇な時にブログにします)

今回、1番の目当ては井澤先生の「Spirits of Endodontics(Endodontist)」でした。

非常に考えさせられる面白い内容でした。
 
井澤先生は、
日本初の歯内療法のみで開業、歯科用顕微鏡の第一人者の先生なのですが、
昨今の歯内療法専門医に苦言というか、問題定義、またこうあって欲しいというメッセージを聞かされたような気がしました。

耳が痛かった部分もありますが、そこは改善すべき部分として受け止めます~~ヾ(´ω`●)
 

スライド冒頭の砂田元教授が毎年手帳にメモっていたと言う
a.jpg

【吾唯足知】が非常に心に響きました。

やはり歯医者は謙虚に自分に知らない、足りない部分があることを認識しながら臨床に当たるべきだと
 
また大切なのは患者さんに対する気持ちだともおっしゃられていました。

私も、人を治すのは「腕」と、「言葉・言葉選び」と「心」だと最近思い始めました。
(ただし、私は全ての患者さんに合わせる必要もないとも思っているかなりドライなタイプです。すみません)
 
 

井澤先生のスライドの中でも触れられていましたが、
 
今、の私の「それってどうなの!?」と思っていることでもありました(´・ω・)ノ

別に否定する訳ではありませんが、昨今の顕微鏡歯科ブーム
 
・顕微鏡を持てば良い歯科医院なのか!?
・顕微鏡を持てば良い治療ができるのか!?
 
私的にはおかしな流れだと感じています(ノω`*)
 
顕微鏡は『見る為の道具』です、この道具は何もしてくれません。
友人のスーパー辛口先生にも
「顕微鏡学会って・・・、道具の学会自体成立するのが訳分からん!」
 
「じゃあ、お前(私)は今からニッケル・チタンファイル学会作れ!」(っ`Д´)っ
  ega25.jpg 
 
「えっ、?」(ー_ー?)
 
 
そうなんですよね、顕微鏡って超高級虫眼鏡で、
顕微鏡で治療をすれば優位に成功率が上がるという科学的根拠はありません。
 
 
さも顕微鏡を使用すると素晴らしい治療・先生という風潮がありますが。。。
 
私は歯内療法を専門にしているので、その分野で話をさせてもらうと、
 
歯内療法の世界において1990年代に歯内療法革命が起こりました。
(日本にはこの革命が10年遅れでチョビチョビ入ってきましたが・・・)
 
この1990年代に
・「歯科用顕微鏡」、
・「ニッケル・チタンファイル」、
(形状記憶のヤスリの道具)
・「CBCT」、
(3次元で歯の形が分かるレントゲン)
の3つの道具が登場しました。
 
当時は夢の機械だったと思います。
 
私は、2000年に歯医者になったので1990年の感動は経験していません
(*2000年国家試験漏えい事件のとばっちりで歯科医師国家試験史上、一番合格率が低い年に歯医者になりました)
 
 
1990年代に革命が起こったのにもかかわらず、今も昔も歯内療法の成功率は大きく変っていません━(・д・;)
 
顕微鏡、CBCTでするエンドは最新で素晴らしいという都市伝説もありますが。。。
 
本で読んだのですが、

Spangberg 2000 (歯科雑誌編集者)は、

「歯内療法の知識の進歩にもかかわらず、歯内療法は過去50年大した変化はない」

「過去10年ほどの間に開発された技術補助用具(Ni-Ti マイクロ)や新しいテクニックの どれもが、40年前に知られたような歯内療法の結果を優位に改善していない」

と論文を出しています。
 
では、この歯内療法革命は歯科に何をもたらしたのか?
 
顕微鏡、CBCTがあると素晴らしい治療が出来るという術者の錯覚でしょうか(゚Д゚ノ)ノ
 
臨床においては、結果に結び付かない以上、顕微鏡は素晴らしい!、ニッケルチタンは素晴らしい!、CBCTは素晴らしい!など言えないはずです。
 
一歩間違えば術者の自己満足で終わっているかもしれません(;・-・)
 
 
私もこの3つを持って治療していますが、ない頃に比べ術者がラクを出来るようになり、術者の安心感(達成感)が上がったのは間違えありません。
 
 
しかし、エンド(歯内療法)で、大切なのは道具ではありません。
歯内療法における私の考え方ですが、
「いかに患者さんと歯を見るか!」
 
その手助けをするのが先ほどの3つの道具であり、診断を補助するだけのだと思うんですよ(。-`ω´-)
 
 
冷静に他の講演を聞いていても、
 
それって道具のお話で・・・、
歯内療法の考えからすると、「しなくていいことしているような・・・」と思えてしまうこともあります。
 
 
私もブログに道具のことはよく書きますが、ブログのネタとして面白おかしく書いているものですからね^^;
 
 
根の治療も、たまたま治ってくれたり綺麗に行ったものが殆どですヾ(´_`○)) 
(ただ、そのたまたま治る確立を上げることは考えます) 
 
 
また、井澤先生は、ファイル(神経を取る道具)のことも話されていました。
 
比較的新しい2007年の論文で、ニッケルチタンファイルで形成した歯でどのぐらいきちんと削れているか!?
根尖(歯の先端)1mmではわずか、18%の根管しか理想的な形成が出来ていなかった。
 
同じような過去の論文を探すと、
ニッケルチタンファイルのなかった1968年の手用ファイル(アナログな道具)でどのぐらいきちんと削れていたか!?
 
なんと、20%

250 (3).jpg

 

ほぼ同じ、むしろ2%多い・・・

 
CBCTも「CBCTを撮り過ぎている」、「CBCTを撮って根管が分かった所で治療出来るかは別」と話されていました。
 
私も昔からよく言っているんですが、
宝の地図を手に入れれば、誰もが宝を得ることが出来るのか!?
ということです。
(CBCTで歯の形が分ってもその部分が治療出来るかは全く別問題なんです)
 
リスクがないのなら、宝の地図は持つべきですよ。
 
ただしCBCTは、小さなレントゲン(昔からあるアナログ的なレントゲン)とは被ばく量が大きく違います。
 
まさに、医療被曝大国日本ですな!(。-`ω´-)
ega tyan 250.gif 
 
 
 
私もCBCTは撮りますが、今の私が必要だと思うケースは月に2〜5ケースぐらいです。
 
私が宝の地図が欲しい!
と思うのは外科処置が多いです。
 
また、原因が分らない難症例にもあると非常に診断の手助けになります。
 
情報量がアナログなレントゲンに比べると格段に多いのがCBCTの良い所です。
 
 
 
 
 
 
今回発表した6根管も小さなレントゲン2枚で治療をしました。

EEdental 6canals.jpg

(術前に6本も神経管があると知っていた訳ではありませんが顕微鏡でよく観察することで6本の神経管を見つけました)

*因みになんですが、調べてみると6根管の治療は国内でも殆ど報告がないようです。
 
 
私は、小さな被ばく量の小さなレントゲン2枚撮れば多くの抜髄根管治療は可能だと思っています。
 
CBCTを撮る先生にこう言うと、
「だってあなたは専門医でしょ! レントゲン2枚の読影能力(読み取る力)が違いすぎる」
とよく言われますが、
 
「いやいや、まてまて! そのアプローチをしようとしているかだけですよ」
 
私自身全てが見えている訳ではありませんし、小さなレントゲンで分らないものはCBCTを頼ります。
(まぁ、見よう見まねで習得しようとしている私も問題ですが・・・)
 
 
 
でも、患者さんサイドからしたらどうなんでしょう!?
 
・仕方がないという理由で、最初の診断時から大きな被曝をお願いする先生
・診断が難しく悩んだあげく、歯を残す為にCBCTをお願いする先生
 
またCBCTの出現で分かったことは、再根管治療で治っている歯は意外と少ない!
小さなレントゲンで治っていると判断出来てもCBCTで撮影をすると治っていない歯が20~30%ぐらいに見られるそうです。
 
 
CBCTで成功率を判断していくと、成功率は極端に悪い数字となります。
 
 
 
Estrela先生らはCBCTでの感染根管の成功率を37%と報告しています。
 
 
つまり、CBCTで診査している先生の基準で治療をするとその多くは治っているとは言いにくい状況が生まれてしまい、積極的な外科処置に移行せざるを得ないのです。 
 
 
 
私がこれを見て思ったのが、病変があるから治療が必ず必要か!?
ということなんです、病変らしきものがあっても5~10年ぐらい何の症状もなく病変の大きさも変わらないものがあります。
 
こういった歯に関して、はたして治療というものが患者さんのQOLを凄まじく上げているのか!?
 
 
積極的にCBCTでここが悪いよと治療の為の診査して、たいして治っていない治療というものは本当に正しいものなのか!?
 
アメリカのAAEでもデンタル(小さなレントゲン)でまずは判断しましょうと指針を出しています。  
 
 
 
ホントに日本の歯内療法はどちらの方向に進んでいくのか。。。
(すみません、こんな若造が上から目線で)
 
でもブキャナン先生もCBCTは全ての症例で撮ると話されていましたね。
 
私は尊敬する先生でも完コピしません。 
(しいて言うと師匠のエンドベースで、そこから良いと思うモノをフュージョン!) 

fyu-zyon.jpg

 

ですから、道具にこだわるのなら、まずラバーダムや、隔壁仮封など極々ベーシックな部分から見直した方が絶対結果には繋がる と私は思っています(超私見)

 
理由:根管治療の失敗は細菌感染であると分りきっています。治療に用いる歯科用顕微鏡で拡大した所で 細菌までは見えません。 またCBCTで歯の形、神経の形が分った所で歯の中に細菌が入ってしまっては何の為にCBCT撮ったのか?
 
 
 
井澤先生の最後のスライド
「Happy Endo(歯内療法)」
 
患者さんも歯科医師も同じ方向に進むといいですね(^ω^ )/'''
 
 
 話の途中のMB3で私の名前を読んで頂けたことも少し嬉しかったりします(笑)
 
 
 
 
 
後、私の発表後・・・
 
小林先生すみませんでした、クソ生意気なこと言いましてm(_ _)m
 
たぶん私も今の年だからいきがっているのだと思います。
 
 
10年後には、また違ったアプローチ、考えを持っているはずです。
 
 
と言うことで許してくださいね(笑)
 
 
 
 
 
また、会を主催して頂いた吉岡先生 
収穫の多い1日ありがとうございましたm(_ _)m
ega7.jpg 
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