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歯内療法日記: 2018年12月アーカイブ

EEデンタル 歯内療法専門医 根管治療は難しい!

先日、2018年思い出深い「レジン治療動画」

 

をYou Tubeにあげさせてもらいましたが 、

 

今回は思い出深い 『根管治療ケース』を

患者さんは30代男性

5年前に私がレジン充填をさせてもらった歯から、

数か月前から歯ぐきから膿が出てくる。

 

近くの歯科医院でみてもらうと「治療した方がいいですよ」と言われていた。 

そして、EEデンタルへ来院

2018 EEdental YT0 (1).JPG

図の赤丸の黒が濃い部分が骨が溶け膿が貯まっている所です。

 

これはデカイ病変(膿)。。。

 

ただ、虫歯などは無く歯髄も下にさがり神経が生きていてもおかしくないレントゲン所見です。

 

まず、最初に根管治療をスタート!

(今回のような神経が死んでしまい病変ができたケースの成功率は80%といわれています)   

1カ半月おきに根管治療(毎回NC洗浄中心15分)をしましたが、歯ぐきからは膿が出てきます。

レントゲン所見

2018 EEdental YT0 (2).JPG

ん~~~、骨は出来てきているように見えるものの・・・

 

膿は出る。。。ヽ(ー_ー )ノ マイッタ

患者さんに4回処置をしても膿が治らなければ5回やってもたぶん治らない。

 

外科的歯内療法:http://www.eedental.jp/endo.html をしましょう。

(この場合、申し訳ないのですが、外科的歯内療法費の半分だけ治療費を頂いています。)

外科直後のレントゲン 

2018 EEdental YT0 (3).JPG

根の先を切り膿・肉芽の除去を行い、MTAで根管充填まで行いました。

 

 

3週間後コア+レジン充填を行い

2018 EEdental YT0 (4).JPG

出来ることは全て行いました!φ( ° ~ ° ) /

 

  

治療後6カ月後のレントゲン

2018 EEdental YT0 (6).JPG

膿も止まり、違和感なしに生活出来ているとのこと

 

レントゲンで確認しても、骨も出来てきてくれているのが確認できます!d( ・ ω ・ )

 

これはなんとか残ってくれそうな雰囲気が出てきてくれています。

 

 

歯内療法の奥深さを学んだ1ケースでした!

 

 

私見:患者さんに

根管治療の成功率が80%と言われている「ネクローシスパルプ」ですが、

運悪く不成功の20%に入ってしまうと、外科的歯内療法で対処しないと治らないケースもあります。

また外科後、更に運悪く不成功になることもあります。

 

残念ながら成功率が100%になることはありません、

私は患者さんに根管治療は残る前提の治療ではないことをお話します。

 

じゃあ、誰に治療してもらうのか!? 

私が思う先生を見つける基準は、

「まぁ、この先生になら任してもいいか!?」でいいと思います。

 

以上1年の歯内療法専門医 まとめでした。

 

まだまだ、経積み重ねないとな。。。と思う良い1年でした!

2018 EEdental YT0 (5).JPG

 

よいお年を!( ^ ω^)/

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開業から11年 診断の変化と経験則からの「診断力」

今日が2018年の診療最終日になります、2007年に開業して11年目となりました。

 

昔から来院して頂いている患者さんのケースなどを見ると

診断と方針が変わってきていることに気づきます。

 

例えば、

2010年に来院して頂いた患者さん

2018 EEdental Yam.jpg

前歯に太くて長い金属の芯+セラミッククラウン

側切歯は先日書いた、根尖が湾曲しているのにまっすぐ削ったパフォ・・・

http://eedental.jp/ee_diary/2018/12/post-1848.html

 

患者さんに説明をして、外科的歯内療法で対応させてもらいました。

この当時、ここまで太い芯を外すのに少し自信がなかった覚えがあります。

*今はこのぐらいの土台は全く恐れずに除去してしまいます。

 

 

外科的歯内療法

http://www.eedental.jp/surgery.html 

直後のレントゲン 

20120821.jpg

MTAで逆根管充填

(少し軸がズレていますが、この当時はこれが自分の精一杯でした)

  

1年経過して、

20131012.jpg

骨も出来つつあり、腫れや違和感なく順調に経過していたのですが・・・ 

 

 

外科から4年

20160826b.jpg

腫れてきたと患者さんが来院されました。

レントゲンを見ると両方とも治っていないね。。。 

  

 

その時出した私の方針は

一度被せ物と金属の芯を外して根管治療をしてみましょう!

超有名歯内療法専門医の先生も外科で治らなければ⇒再び再根管治療を行うと話されていました。

 

コア/GP除去後のレントゲン

20161021.jpg

 

根管充填

20161130a.jpg

MTA根管充填 綺麗に入りました!

 

そこから仮歯で1年経過をみてもらい痛み・腫れがないことを確認

 

術後1年のレントゲン

20171103.jpg
骨が出来てきてくれています、

被せ物を本歯に代えてもOKですね!

術後2年(2018年)のレントゲン

20181124.jpg

透過像はだいぶ小さくなっているのが確認できます。

 

2010年の最初の頃のレントゲンを見ると、

今であれば外科はファーストチョイスにはしないかもしれません。

(ゴリゴリ根管治療での根尖のパーフォレーションがあるので根管治療だけでは治らない可能性はありますが・・・)

 

ただ、今だから外科処置後にもう一度根管治療を行う選択肢を持てていたとも言えます。

 

普段何気なくやっている臨床ですが、

経験を積めば積むほどその糧から、自分がこの歯を残す為には何がベターなのか!?

というのも変わってきます。

 

自分なりに、知識を身に付け、技術力を高め、考える・悩む臨床を続けていると、

診断の変化というものは起こって行っているんだなと感じます。

 

将来この変化が良いベクトル方向への成長だったと言えるように、

これからも自分なりに考えて治療をして行きたいと思います。

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「根尖までガッタパチャーを入れないと治らない」という歯科医師の呪縛

私も10年前は根管治療は

根の先端まで削って、消毒してガッタパチャー(GP)を詰めないといけない

と思って治療をしておりました。

 

ですので、ファイルボックスにはKファイルの他に、

穿通性のある「Hファイル」、小林先生考案の「改造Kファイル」などが揃っていました。

 

また勤務医時代、GPをどうやって根の先端まで効率的に詰めれるかも非常に力をいれてやっていました。

  

 

ただ、最近は考え方も変わり、

ファイルボックスのHファイルなど穿通力の高いファイルはまず使いませんし、

GPも根尖から出なければOKだと思っています。 (オーバーするぐらいならショートがいい)

 

極端な話最近は、滅菌もできない不潔なGPを歯に入れる意味がどこまであるのか!?  

溶かして取ってるようで、実は細菌まみれの感染GPを根管内に拡散しているのでは!?

極論、綿栓でも空洞でも治っているケースもあるが、はたしてGPを入れることが正解か!?

(顕微鏡下で行っていると、溶けたGPが歯の表面に膜をはるようにこびり付くのを取るのは大変ですし、

溶けたGPが象牙細管内の細管の除去を妨げることも考えられます。)

  

 

さて、ファイルに話を戻して

ファイルの選択は専門医の先生でも意見が分かれるところでしょうが、

私は穿通性の高いファイルを用いても、本来の根管とは違った感染源ではない場所を削り 問題を複雑化させていると考えています。

http://eedental.jp/ee_diary/2016/10/post-1483.html 

 

最近、私の根管治療は「開けれる所まで開ける」というスタンスです。

これは抜髄でも感染根管治療でも同じです。

ただ、抜髄に関しては96%は穿通出来ていると思います

 

問題は病変のある感染根管治療、

確かに根尖まで穿通出来た方が成功率が高いとの論文もありますが、

これは本来のオリジナルの根管を穿通できた場合であり、

穿通性の高いファイルで問題ない場所を削り人工的に根管を作った所で。。。

また本来の根管と異なる場所に根尖を作ると成功率が極端に下がるとの報告もあります。

 

 

追記:本来の根尖とは異なる場所にパフォを起こしたであろう1ケース

2018 EEdental TT (2).jpg

近心根のパフォはMTA根管充填 (根尖から約5mm+上はGP)

本来の根尖(オリジナル)と違う所を削るとそこから病変が広がることもあります。

また治療難度も上がってしまいますので、Hファイルなどで人工的に削り込まない方がいい場合も多々あります。 

 

以上追記でした。

 

↓本編 

 

最近のケース

40代の女性患者さん

「1週間に1回消毒を繰り返し3カ月治療するも鈍痛が続く」とのことだが

先生に最終的な被せ物を入れましょうと言われ治療は終わっている。。。

2018 EEdental SH1 (1).jpg

レントゲンを撮ると近心根に透過像が見られます。

 

治療を開始してみましたが、近心根、遠心根の3根管共に穿通出来ず

近心根はイスムス部分が手づかずであった為その部分を消毒液を入れ超音波で切削洗浄

 

根管治療2回目、症状も落ち着いたとのことで根管充填+コア+ゴールドアンレー 

 

で、

患者さんには開けれる所まで開けてしっかり消毒しました。

もし問題が起こったら外科的歯内療法できるようにしておきました。

と説明

それから1年腫れや痛みもなく、

今週が術後1年レントゲン

2018 EEdental SH1 (2).jpg

穿通出来なかったのに治っている!(・ 。・)v

 

そうなんですよ、外科せず済むこともあるんですよ!!

こんな経験をよくするので、

http://eedental.jp/ee_diary/2016/12/post-1525.html 

穿通出来なければ「まずはNCで洗おうよ!」作戦

 

と言うことで、

穿通性の高いファイルで【ゴリゴリやる作戦】  

はしていませんし、外科も積極的には行いません。

 

理由は、歯の必要な切削部位は超音波で削っているから

盲目的に刃物(ファイル)で歯を彫りこむようなは今はしていません。

(そこって感染源!?)

 

20年前の使える歯科材料と今の歯科材料は異なり

昔:ハンドファイル、ゲイツ (手指感覚重視)

今:ハンドファイル、ゲイツ、+Ni-Tiファイル、+超音波、音波 (顕微鏡下の診断切削) 

このように道具の進歩に合わせ術式を多少代えてやった方がいいと思う訳です。  

 

 

開業して11年やったきた一歯内療法専門医の道具に対する1つの見解ですm(_ _ )m

(たぶん、エンド好きな人だけ最後まで読んで頂いたとお思います。ありがとうごいます笑)

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