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「根尖までガッタパチャーを入れないと治らない」という歯科医師の呪縛
- 2018年12月15日 08:56
- 歯内療法日記
私も10年前は根管治療は
【根の先端まで削って、消毒してガッタパチャー(GP)を詰めないといけない】
と思って治療をしておりました。
ですので、ファイルボックスにはKファイルの他に、
穿通性のある「Hファイル」、小林先生考案の「改造Kファイル」などが揃っていました。
また勤務医時代、GPをどうやって根の先端まで効率的に詰めれるかも非常に力をいれてやっていました。
ただ、最近は考え方も変わり、
ファイルボックスのHファイルなど穿通力の高いファイルはまず使いませんし、
GPも根尖から出なければOKだと思っています。 (オーバーするぐらいならショートがいい)
極端な話最近は、滅菌もできない不潔なGPを歯に入れる意味がどこまであるのか!?
溶かして取ってるようで、実は細菌まみれの感染GPを根管内に拡散しているのでは!?
極論、綿栓でも空洞でも治っているケースもあるが、はたしてGPを入れることが正解か!?
(顕微鏡下で行っていると、溶けたGPが歯の表面に膜をはるようにこびり付くのを取るのは大変ですし、
溶けたGPが象牙細管内の細管の除去を妨げることも考えられます。)
さて、ファイルに話を戻して
ファイルの選択は専門医の先生でも意見が分かれるところでしょうが、
私は穿通性の高いファイルを用いても、本来の根管とは違った感染源ではない場所を削り 問題を複雑化させていると考えています。
http://eedental.jp/ee_diary/2016/10/post-1483.html
最近、私の根管治療は「開けれる所まで開ける」というスタンスです。
これは抜髄でも感染根管治療でも同じです。
ただ、抜髄に関しては96%は穿通出来ていると思います。
問題は病変のある感染根管治療、
確かに根尖まで穿通出来た方が成功率が高いとの論文もありますが、
これは本来のオリジナルの根管を穿通できた場合であり、
穿通性の高いファイルで問題ない場所を削り人工的に根管を作った所で。。。
また本来の根管と異なる場所に根尖を作ると成功率が極端に下がるとの報告もあります。
追記:本来の根尖とは異なる場所にパフォを起こしたであろう1ケース
近心根のパフォはMTA根管充填 (根尖から約5mm+上はGP)
本来の根尖(オリジナル)と違う所を削るとそこから病変が広がることもあります。
また治療難度も上がってしまいますので、Hファイルなどで人工的に削り込まない方がいい場合も多々あります。
以上追記でした。
↓本編
最近のケース
40代の女性患者さん
「1週間に1回消毒を繰り返し3カ月治療するも鈍痛が続く」とのことだが
先生に最終的な被せ物を入れましょうと言われ治療は終わっている。。。
レントゲンを撮ると近心根に透過像が見られます。
治療を開始してみましたが、近心根、遠心根の3根管共に穿通出来ず
近心根はイスムス部分が手づかずであった為その部分を消毒液を入れ超音波で切削洗浄
根管治療2回目、症状も落ち着いたとのことで根管充填+コア+ゴールドアンレー
で、
患者さんには開けれる所まで開けてしっかり消毒しました。
もし問題が起こったら外科的歯内療法できるようにしておきました。
と説明
それから1年腫れや痛みもなく、
今週が術後1年レントゲン
穿通出来なかったのに治っている!(・ 。・)v
そうなんですよ、外科せず済むこともあるんですよ!!
こんな経験をよくするので、
http://eedental.jp/ee_diary/2016/12/post-1525.html
穿通出来なければ「まずはNCで洗おうよ!」作戦
と言うことで、
穿通性の高いファイルで【ゴリゴリやる作戦】
はしていませんし、外科も積極的には行いません。
理由は、歯の必要な切削部位は超音波で削っているから、
盲目的に刃物(ファイル)で歯を彫りこむようなは今はしていません。
(そこって感染源!?)
20年前の使える歯科材料と今の歯科材料は異なり
昔:ハンドファイル、ゲイツ (手指感覚重視)
今:ハンドファイル、ゲイツ、+Ni-Tiファイル、+超音波、音波 (顕微鏡下の診断切削)
このように道具の進歩に合わせ術式を多少代えてやった方がいいと思う訳です。
開業して11年やったきた一歯内療法専門医の道具に対する1つの見解ですm(_ _ )m
(たぶん、エンド好きな人だけ最後まで読んで頂いたとお思います。ありがとうごいます笑)
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