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「簡単な根管治療は存在しない」と改めて痛感!医原性の問題パート1
- 2016年10月 6日 08:57
- 歯内療法日記
30代女性
「何度治療しても歯ぐきから膿が出る、治療の度に痛い」
とのこと
レントゲンではかなり大きな病変があり
左側1は神経が死んでしまっています。
先に一度根管治療をしてみましょう。
その後、外科処置が必要になるかもしれないがまずは根管治療をしてみましょう!
http://www.eedental.jp/surgery.html
顕微鏡下での治療1回目が終わると
歯の中に白い部分がまだ残っています。
「はぁ!?ガッタパチャー全て取ったと思ったのに?」
根の先の方には全く取れていないレントゲン像があります。
「まさか・・・」
と思いCTを撮らせてもらうと
やっぱり・・・
前回の治療は本来の神経管とは異なる所を削って治療をしたようです。
歯の神経はバナナのような湾曲をしたり蛇のようにクネクネしています。
ただし、我々が使用するファイルというヤスリは真っ直ぐなので
を間違えるとこのように神経管とは違う所に穴を開けてしまいます。
ですので、図で示すと
こんな感じ 青い部分を人工的に開けてしまった部分
こうなると前の部分の治療をすることの難易度は一気に上がってしまいます。
また根の先がこのように人為的に壊されたものの成功率は40%下がるという文献もあります。
「マヂかよ! 何で問題ばかり起こすHファイルなんて未だに売ってんの?」と心の中で愚痴をこぼし・・・
患者さんに起こっている問題を話し治療2回目
先に撮ったCTから予想される湾曲度に
超音波チップの先をベンディングして曲げてしまい、
顕微鏡下でのブラインド操作(見えない部分を感覚で削る)
*歯の中にはGPの溶解剤を入れ超音波で振動させGPを溶かす
「キぃ~~~! 取れていない!!」
半分ぐらいは取れましたが・・・
まだ半分残っているようです。
予想して曲げた湾曲より歯の湾曲の方が強かったみたいです。
治療3回目
前回よりチップの湾曲を大きめにして
だいぶ取れましたが、たぶん歯の先から飛び出たGPが残ってしまいました。
CTで確認すると
【Y字】になっているのが確認できます。
やり直しの感染根管治療が難しいとされる多くは
医原的な前の先生が起こした問題の処理があるからです。
このような問題が起こるとより治療のオプションをたくさんもった
専門医の方が処理がいい訳です。
因みにこのやり方すると超音波チップ1本1万3000円が再起不能になります。。。(>。<)
今回の「CTの画像から予想される部分に超音波チップの先を曲げてアプローチする」
という考えは、
「17万4000円」の破折ファイルセミナーで寺内先生が出された症例の応用をしてみました。
http://eedental.jp/ee_diary/2016/07/post-1443.html
さて、この先破壊された根尖をもう一度消毒してMTAで根管充填する予定です。
小林先生の名言
「簡単なエンドは存在しない」
という教えを思い出した1ケースでした(・Д・;)
意味なくHファイルでゴリゴリは止めましょう!
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