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歯内療法日記: 2019年1月アーカイブ

たまに見られる、前歯のなかなか治らない歯の原因 

前にも似たような内容のブログを書いたのですが、

http://eedental.jp/ee_diary/2016/10/post-1483.html 

 

前歯のやり直しの治療でなかなか治らない歯の1つに

以前の治療で神経管とは別の所を削られ、元の神経管に道具が入らず掃除ができない

というものがあります。

 

歯科医師の先生の中には、根管治療は根の先までガッタパチャーをいうゴムを詰めれば大丈夫

と間違った考えの元、ゴリゴリファイルで削ることで医原性の問題を作ってしまっていることもあります。

 

今回もそのケースなんですが、意外とこれ側切歯に多いんです!

中切歯は殆どがストレート根管に対して、側切歯は根尖で曲がっている歯もあり

平面のレントゲンでは曲がっていることが確認できず、ゴリゴリ根管治療で歯に穴を開け・・・

 

Hファイルなんてほぼ要らないんだって!

http://eedental.jp/ee_diary/2018/12/post-1848.html 

 

 

さて、今回のケース

40代の女性 患者さんの前歯

2018 EEdental TM (1).JPG

5年前から気になり始め、凄い痛い訳ではないが鈍い痛みが絶えず出てきている。

咬むと痛み、歯根端切除を勧められたとのこと

 

基本的に骨の中の病変は、歯の中の細菌感染が原因なので、私のファーストチョイスは根管治療!

ダメなら外科的歯内療法というスタンス

  

ということで根管治療をスタートすると

スグに1つ目の問題が

2018 EEdental TM (2).JPG

歯の中にファイル(金属のヤスリ)が折れこんでいる!

 

ストレートに見えた為、10分程度ですぐに除去&根管内を綺麗にして1回目の治療が終了!

 

するも・・・

レントゲンを撮ると、

2018 EEdental TM (4).JPG

 

まだガッタパチャーが残っている。。。

 

 

またこのパターンかよ・・・

2018 EEdental TM (3).jpg

過去に人工的に作られた青い部分の掃除をして

赤い部分のオリジナルの神経管は治療出来ていない。。。

 

治療2回目、3回目で曲がった部分のGP除去を試みる

根管内に溶解剤を満たし、超音波ファイルをベンディングして感覚的に削る。

 

その後のレントゲン

2018 EEdental TM (5).JPG

GPの除去を試みるも微妙には残ってしまっている・・・

  

*人工的に削られ分岐した曲がった神経管の治療はかなり難易度が高いのです。

治療4回目

痛みは違和感のように感じるようになってきた(痛み方に変化あり)

 

これ以上歯の中の治療は無理と判断し根管充填に踏み切る

2018 EEdental TM (6).JPG

MTA根管充填+コア+レジン充填

 

患者さんにはこれで腫れや痛みが出るようなら外科的歯内療法で治すと説明

また違和感に関しては半永久的に残ることもあるし、治る場合でも半年近く残ることも説明

 

3ヶ月後のレントゲン検診

病変に変化が出てきているように見えるも、違和感は残っている

  

6カ月後のレントゲン検診

最近になり前歯の違和感は減ってきた。

(長いこと痛みや違和感のあった歯の症状は、症状が取れるのも時間がかかるものです)

 

 

そして、今月1年予後のレントゲン検診にきてもらうと、

痛み、違和感は無くなった!とのこと

2018 EEdental TM (7).JPG

1年後のレントゲンを見ると 

骨もしっかり出来てくれています!

 

前歯の根管治療の難易度を上げているのは過去に行った治療によるケースも多々あります。

2018 EEdental TM (8).JPG 

前歯ですから、残したい気持ちもわかります、

前歯を残したければ早い段階で歯内療法専門医を頼るのをお勧めします( ・ ε  ・ )ノ

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幼若永久歯における中心結節の破折と根管治療の予後

2012年に 患者さんのお母さんから相談された

中心結節が折れ歯ぐきから膿が出てくるという11歳の男の子

2019 EEdental KY (1).jpg

運悪く第2小臼歯の中心結節が折れてしまい、そこから感染して神経が死んでしまったようです。 

 

将来的なことも考え、出来るだけ歯を残すように

折れた中心結節から約3mmの穴を開け根管治療スタート

2019 EEdental KY (2).jpg

レントゲンの白い部分が仮蓋の部分

歯の中に硬組織の誘導剤を願い(アペキシフィケーション) 

「水酸化カルシューム」を顕微鏡下でごく少量根尖に置き 

  

まず2カ月経過観察を行い、膿が出てこなくなったとのこと。

   

更に2ヶ月後の治療開始から4カ月後、膿が出ていない

2019 EEdental KY (3).jpg

顕微鏡で根尖に硬組織があるのを確認して、根尖にMTAで根管充填(上部はGP) 

  

 

その日のうちにレジン充填

2019 EEdental KY (4).jpg 

  

膿や痛みがないまま経過し、

 

  

1年予後の12歳時

2019 EEdental KY (6).jpg

おぉ~、骨が出来てきてくれています!

口腔内 術後1年

2019 EEdental KY (7).jpg 

学校検診も正常歯ですり抜けたかと(笑) 

(神経を取った歯⇒被せ物 にする必要はありません)

  

 

今年になり前歯に虫歯が出来てしまったと来院された際に、右下のレントゲンを撮らせてもらい

2019年 17歳

2019 EEdental KY (5).jpg

なんとか抜かずに保存できました!

 

 

同じような似たケースの親御さん・患者さんに

永久歯は5~10歳にかけて歯ぐきの中で、根の先の方に向けて作られて行きます。

*土の中にニンジンができるようなイメージでいいです。

 

根の先が完成すると歯の神経の出口は0.5mm程度となります。

ただ、この歯の成長過程中に中心結節が折れ細菌感染してしまうと・・・

歯の先が未完成のまま止まり、膿が出てきてしまいます。。。

その根の先の神経の出口は非常に多きく2mm近くになることもります。

 

一般の方だとこの1.5mmの差は小さいものと思えますが、

歯科でいえばメチャメチャ大きな差で、面積でいれば「なんと16倍」

も開きがあります。 

 

根の先が大きいほど治療も難しく予後も悪く抜歯になる確率が上がります。

 

   

ニンジンの根の先が育つ前に感染が起こると、ニンジンが腐ってきてしまうのと同じです。

 

根の治療は専門性が大きく結果を左右することもあります。

また治療は誰に1回目に治療をしてもらうか!?というのも非常に大きな因子になりますので、

根管治療で困ったら歯内療法専門医に頼るもの1つです。

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