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成人歯科矯正のリスクとデメリットよく考えてからやってね。

先日、矯正治療をされた患者さんが矯正しなければ良かったと悩まれており注意喚起の為にも書かせて頂きます。

 

まいど同業者から嫌われるネタなのですが、最初に書いておきます。

『成人歯科矯正ホントに必要か?』(30代以降) 

*歯並びが悪いのは病気ではありません。 

 

 

田舎(豊橋市)で育った私が子供頃(40年近く前)、『矯正治療をしている子供は学年で数人』という感じでした。

当時でも都会(名古屋)の方が確実に矯正している子は多いとは思いますが私の周りでは殆どいませんでした。

 

現在は少子化や親のデンタルIQ向上の為矯正治療をする子供は多くなっていますが、

たぶん40年前は、大人が矯正治療を行うなどは今よりなかったと思います。

   

ただ現在は、大人でも矯正治療を行うようになってきていますが矯正をして歯の寿命は延びるんでしょうか!?

 

私の答え、歯の寿命は確実に短くなります

  

 

話を替えて、老後(80歳)も美味しいものを食べ続けたいですか!?

日本で行われている8020運動

  

この8020の意味は歯の数が20本を下回ると咬みにくくなるからと言われています

ですから80歳で20本以上歯を残しましょう!ということです。  

 

矯正していない年代の今の8020達成者率は51.6%

凄いですね、半数以上の方が8020達成しています。 

  

少し掘り下げて見てみると、R4年の歯科疾患実態調査結果

001112405.pdf (mhlw.go.jp)

そこにも書いてありますが、

『9. 矯正歯科治療の経験の有無 矯正歯科の経験がある者の割合は、全体で 7.7%であった。また、50 歳未満では2割近くが経験が あり、特に 10 歳以上 40 歳未満の年齢階級で高く、男女別では女性において高い傾向を示した(表 26、図 28)。』

という報告

つまり今の8020達成者は矯正治療をしていない層  

  

この先、

1、矯正なしグループ

2、小児矯正ありグループ

3、成人矯正ありグループ

に分けて、

成人矯正グループの8020達成者が70%とかになるなら「矯正あり!」「やった方がいい!」という結論でいいのですが、はたしてこの方向の結果になるか!?

 

私は無理だと思います。  

 

矯正の為に4本小臼歯抜いて、親知らず4本抜いて。。。 

32本の歯でスタートで矯正の為に8本抜歯

32本-8本=24本

30歳で抜歯矯正された人が、8020を達成しようと思うと残りの50年で4本のロスしか許されません。

 

歯の保存を専門に行っている人間からすると、

30歳から80歳までで4本しか歯を失うことが出来ないってかなりハードルが高い

 

歯の本数が減ってくると、少ない本数で支えるので残った歯には負担増↑で残った歯は失った歯の負担をしなければなりません。

 

  

私は小児の矯正治療は場合によっては必要だと思います。 

しかし、成人特に30歳を超えた人で矯正治療した方がいいよという割合はかなり低いと思っています

私が「矯正治療した方がいいね」というのは年に2~3人ぐらいです。

矯正治療終了と根管治療後のレントゲン診査 - EE DENTAL_Blog 

何故か!?  

  

矯正治療はメリットを大きく言いますが、

私は、メリットに対するデメリットが大きすぎると考えます。 

成人デメリットを書いておくと

 

以下、長いので矯正のデメリットに興味のある方だけ読んでください。

 

 

①矯正期間中の虫歯が発生しやすくなる

矯正の専門医などは虫歯の発見が苦手の先生が多い印象で、虫歯治療も同じ印象です。

逆に矯正専門でない一般歯科の先生の方が虫歯も見ながら矯正を行うので手遅れになる前に虫歯治療が受けられる印象があります。

矯正治療中の虫歯 - EE DENTAL_Blog

矯正期間中の虫歯は気を付けてね! - EE DENTAL_Blog

歯科治療の「質」って気にしています!? - EE DENTAL_Blog 

ホント多い。。。

  

②骨の吸収による歯肉退縮

矯正をすると骨が下がります、骨に支配されている歯茎は骨が下がれば一緒に下がります。

2024 EEdental a.jpg

ブラックトライアングル、歯根の露出 改善させるのは遊離歯肉移植など行いますが、この手術はかなり痛い方に分類されます。

  

③凍みる

歯肉が下がり歯根が露出することによるものです。これは知覚過敏材などで緩和します。

酷い場合は抜髄をして神経を取り凍みるのを止めます。

 

④歯根吸収・外部吸収 

矯正力をかけると少なからず根の先端が吸収し短くなります。特に長期にかけ強い強制力をかけると起こると推測されます。 

2024 K.jpg

左上1・2に刃物で歯の先端を切ったかのように斜めに歯が無くなっています。

外からは見えませんので、これはレントゲンを撮らないと確認できません。 

 

⑤矯正後の歯の動揺

矯正治療により歯を支える歯槽骨が吸収され、歯は短くなるので揺れてくる場合があります。

歯周病の患者さんなどは、動揺が大きくなる為に歯を大きく削って被せ物を何本も連結して揺れないようにする処置が新たに必要になります。(ざっくりまた200万近い治療費が矯正治療後に必要になることも)

  

⑥矯正力による歯髄壊死

矯正治療中に矯正力で根の先が骨の外に出たり、過度に力を加えたり、矯正期間中の咬合性外傷で神経が死ぬことがあります。この場合根管治療+レジン、根管治療+クラウン治療が新たに必要となります。

矯正治療により神経が死んでしまうリスク - EE DENTAL_Blog 

*歯の神経を取るとかなり歯の寿命は短くなります。  

  

⑦aワイヤー矯正装置除去の際に歯を削ってしまう。

DSC01090.jpg

先日来院された矯正終わりの患者さん、クラウンでも形成するのか!?と思うぐらいエナメル質が削られていました。

矯正装置を外す際には少なからずエナメル質は削られます、また顕微鏡治療をやっていると奥歯などでは接着剤の取り残し(炎症の元)は頻繁に見られます。 

 

⑦b「ストリッピング」矯正治療の1つの手法で歯と歯の間を少し削って歯の幅を細くして並べる方法

私からすると超難度の治療法です。

数年前にお母さんに「子供が矯正治療中なんですが、先生にストリッピングを提示された」と相談を受けたのですが、『止めておいた方が無難 10代で削ると将来虫歯出来るよ』と説明し「止めておきます」と言われました。

  

⑧半永久的に続く固定と保定装置

大人の矯正は殆どのケースで元の歯の位置に歯が戻ろうと動きます。それを防止するために下の歯の前歯などにはワイヤーを接着剤で固定します。

DSC01092a.jpg

*接着剤をもりもりに盛られ歯茎が磨けず酷い歯肉炎になっています。

非侵襲性歯髄覆罩(AIPC) 矯正期間中の虫歯リスクの高さ  - EE DENTAL_Blog

こんな前歯に接着剤はみ出す先生がストリッピングはまず無理かと思います。 

 

デメリットの①~⑧はすべて歯の寿命を短くする因子になります。 

   

私が小児はOKで大人は止めた方がいい理由の1つにはこの保定⑧があります。

体の法則で、体の成長が止まる時期に歯のポジションも体が記録します。体というのは元の状態に戻ろうとする一種の治癒能力を持っています。人が歯を動かした所で体の法則は変えれません。

ですから歯が動かないようにするために半永久的に毎晩マウスピースを入れ、矯正力を与え続けなければなりません。

小児の矯正は、体が歯のポジションを覚える前に行う治療なので、保定は必要にならないことが殆どです。

 

⑨見た目の問題 *ほうれい線が深くなる ⇒ 老けて見える

抜歯して矯正することで歯のアーチが小さくなるためほうれい線は深くなります。

逆に抜歯なしの矯正はアーチが広くなる分、下顔面の顔貌が出たように見えます。 

 

⑩歯と骨の癒着 

これは私は今まで見たことありませんが、歯と骨がくっ付くことがあるそうです。

 

⑪顎関節症

咬み合わせを変えることにより顎位が変わり、顎関節に痛みや開口障害、クリッキング音が出ることがあります。

 

⑫お金がかかる

トータル100万近く 

   

 

私も大学を卒業して勤務医の頃勉強で行っていた有名スタディーグループも

大人のゴールデン治療は「歯周治療(外科)」+「矯正治療」+「インプラント」+「セラミック補綴」

矯正は必要という考え方だったので、その教え通りに歯並びの悪い患者さんには矯正を勧めていました。

 

どうでしょう、開業してしばらくして

この矯正って成功!?

なぜ矯正治療をしたのか!?

 

矯正しても普通の人と同じように歯を失っていきます。

人生の中盤で矯正治療で小臼歯を4本失うのは、痛過ぎます。

 

患者さんは歯科医師の治療で歯の寿命が延びる・回復したようなイメージをお持ちですが全然違います。 

歯科医師の治療こそが歯の寿命を縮める最大の因子です。

   

現在は、少し標準から外れると何でも病気や症候群に分類したがる医療業界

医療と言えど商売です。

自分達の「食い扶持」を確保するには、病気を作ればいい訳です。

 

コンビニより多い歯科医院、コンビニはよく潰れるのに歯科医院はどうでしょう!?

また12歳のDMF(虫歯罹患率)は1本以下です。

現代人の虫歯の数はかなり少ないです。

ただ一度歯を削ると、再治療のサイクルに入り歯が無くなるまで削って詰める、削って被せるの繰り返しです。 

 

宮本武蔵のように無敗を貫く(長く歯を持たせる)には無謀に戦わないこと、逃げる・避けるも戦略の1つです。

歯科も同じで、歯を長持ちさせるには安易な治療はできるだけ避ける。 

↑ここまで理解するのに20年以上かかりました(笑)

 

  

極端な話、美容整形などは患者さんが聞いて、これは病気ではないので自分は結構ですなど判断しやすいですが、こと成人矯正は歯科医師にメリットを強調され勧められる為に患者さんの心が動きますが、正直ここまで多くの人がやる必要があるのか!?と私は思います。

 

将来的に8020運動や歯科疾患実態調査などで、結果は分かってくるとは思いますが、

たぶん私の意見の方が正しい気がする!(科学的根拠はゼロだけど(笑))

   

 

患者さんへ、

成人矯正治療のメリットも色々ありますが、必ずデメリットも知った上で矯正治療を始められてください。

ここまでデメリット強調して書くと考え直す人も出てくるでしょうね( ×∇× ) 

 

追記:

R4年の歯科疾患実態調査結果

男女別では女性において高い傾向を示した」ですが、

これは1つに見た目改善の為の矯正のような気がします。

芸能人を見ていても女性はゴールデンプロポーションが決まっており綺麗な歯並びが必要最低条件

ただ、男性は歯並びが悪くてもそれを個性として受け止められる風潮があります。

つまり男性より女性は機能の為というより「美の追求」の為に矯正治療をされている側面が大きいと思いいます。(美容整形も女性の方が圧倒的に多いと思います)

 

私は男性なので女性の美に対する思いは分かりませんが、見た目より美味しいものを自分の歯で長く食べれた方が私は幸せだと思ってしまいます(・∀・;) 

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