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歯内療法日記: 2020年4月アーカイブ

ありだと思う生活歯髄切断法(断髄法)

日本のざっくりとした根管治療の成功率40~50%

 

一方、専門医の初回根管治療の成功率は90%近くあります。 

http://eedental.jp/ee_diary/2020/03/post-2026.html

 

何故か!?

 

 

基本的に日本の歯科医師は細菌感染に対する考えが薄いような気もしますが、

一番の問題は根管治療の治療費が安過ぎるのではないか?と考えられます。

  

当然、費用が安ければ、かけられる時間も手間も少なくなります。

当院の患者さんが通っているベトナム現地の歯科医院より安いと教えてくれました。。。 

 

個人的に想像するには、

治療費が安い

→1回の治療時間がかけられない・材料費をかけられない

 言い方を変えれば、感染予防的なアプローチである隔壁もラバーダムも無料で行わなければなりません。

すると、→感染リスクが高い状況で治療を行うことになり、治療時間がかけれない

すると、→何度も繰り返し治療を行う(1回300~600円の治療費では出来ることに限りがある)

すると、⇒いつの間にか細菌感染する(治療の失敗)

 

治療の繰り返し、つまり治療期間が長ければ細菌感染する割合も増えるので、

個人的には最初の抜髄治療はいかに短期間で終わらすかが成功率に繋がってると想像します。

 

最初の抜髄の神経には殆ど細菌はいません、いても冠部歯髄などの限られた部分です。

  

私は繰り返す治療で菌をファイルや綿栓などで歯の中に入れ込んでいると推測しています。 

  

ではどうすればいいのか!?

 

そもそも健康な状態の神経をを取るという初回治療は

神経をどこで切り取るかの話であり、歯科医師は切り取るのが最も難しい根の先で神経を切断しています。

私はこれがそもそもの問題であると考えます。

 

2020 zu (2).jpg

赤線で神経を切り取るより、黄色線の上の位置で神経を切り取る方が手間もかからず時間もかかりません。

 

レントゲン的には

2020 EEdental OO (1).jpg

こんな感じで、白い線が歯の先端まで行っていません。

ただ、根の先には病変もなく経過は良好です!

 

 

ただ、この切り取る方法が上手く行くかは「神経が健康な状態である」ことが前提で、

神経治療の時期が遅いような場合、神経が健康であるか、ダメージを受けてるか今の所判断することが出来ず・・・

ダメージを受けているような神経はこの切断する方法は上手く行きません。

 

個人的にはこの歯髄断髄は

・CBCTで根尖部の透過像の有無と、

・顕微鏡での断髄後の歯髄の状態

で判断できるのではないかな!?と思っています。

(後、やるなら「電気歯髄診断」 ただ個人的には痛い検査はあまりやりたくない・・・) 

 

断髄した歯の銀歯を治したいとのことで、

2020 EEdental OO (2).jpg

 

2020 EEdental OO (3).jpg

 

良い感じで経過しております!

 

世界の歯内療法を変えた「MTA」ももうちょっとで登場30年

ただ、治療の基準は今も昔も変わらず・・・

 

言い方は悪くなりますが、保険治療のような決められた低予算の財源で治療を行うのであれば

手間のかかる処置などは効率的な治療に変えて行くべきではないかなと思います。

かけた歯の根尖病変

40代の女性患者さん

  

前歯の治療中でしたが、奥歯の歯がかけたとのこと腫れや痛みはないとのこと

見せてもらうと大きな銀歯が入っており、根の先には根尖病変×2、銀の下には大きな虫歯。。。

2020 EEdental MM(1).jpg

紫色の〇の部分が虫歯ですが、銀歯と歯の適合が悪く磨き残しが長期にわたるとこのような虫歯となってしまいます。

  

2次カリエスの多くは詰め物と歯の境界線から発生します。

根管治療スタート

2020 EEdental MM1 (1).jpg

虫歯が歯茎の中に入り込んでいたので、電気メスを使い、お決まりの縁下からレジンで隔壁

一度歯の中の人工物を除去と見逃されていたMB2を穿通・拡大・洗浄  

  

2回目の根管治療で根管充填まで

2020 EEdental MM1 (2).jpg

根尖が開いていた為MTAを使用

口蓋根の根尖が2つありましたが、人工的に作られたのかは分かりませんでした。

 

今回のケース 

根充後、しばらく痛みが続いてしまいましたが、患者さんに根充後の痛みは

文献的に「2か月後には99.1%の患者さんの痛みは引く」からこのまま待った方がいいと説明させてもらい経過観察

 

3か月後には殆ど痛みは引いてきたので、このまま待ってもらい

 

9か月後のレントゲン診断

2020 EEdental MM1 (3).jpg

症状などは完全に引き、レントゲンでもかなり綺麗に骨が出来てきてくれています!

  

根管充填後に痛みが出ると、すぐに人工物を外すからドツボにハマる患者さんのケースも多いですが、

基本的に虫歯をしっかり取り隔壁をきちんと作り、ラバーダムをして顕微鏡下で行った治療後の痛みは待った方がいいです。

 

根管治療は【小外科手術】です。

無痛で終わる場合もありますが、根管治療は根の先の骨や肉を突き消毒液でその部分を触り、

最後に歯の中に人工物を詰めていますので術後痛んでしまう歯は出てしまいます。

   

歯に痛みが出ると非常に不安になってしまいますが、適切な処置と適切な判断を行なえば歯の保存が出来る場合もあります。

 

と言っても全ての歯が保存できる訳ではないので、今回のケースもたまたま上手く行ったと言うべきかもしれません(笑)

 

 

ここまで治癒傾向がみられるので、この後クラウンを製作します。

当然段差が出来るだけ無いようには作りますよ!

根管治療後の長期感染予防はクラウンの適合と質に依存しますからね。

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歯科医師の先生の根管治療(歯内療法)

30代の歯科医師の先生

歯を保存できるか!?診てもらいたい とのことで来院

  

症状はたまに浮いたような感じがするだけで、腫れや痛みはないとのことで2018年に来院

 

 

レントゲンとCBCTで診察

2020 EEdental AY (1).jpg

歯根破折にも思えるような所見があり・・・

第1・第2大臼歯の間にも病変が広がるような結構厄介な病変の広がり方

 

歯茎には根尖側にフィステルあり。

   

私は根の病変(骨の溶け方)の形、膿の出口の位置も診断の材料としています。

 

先生には折れている可能性があることを話、破折線が出てきたら抜歯した方がいいと説明

第2大臼歯はオリジナルの根管孔とは違った所にパフォっている恐れもあり・・・

 

結構、難しいケース

 

  

2本の歯、 第1大臼歯を3回、第2大臼歯を2回で治療

 

 

で、仮歯を入れ1年経過し、腫れや症状がないことを確認して、

クラウンSet

2020 EEdental AY (2).jpg

 根の病変も無くなり、クラウンも綺麗に段差なくフィットしています。

 

術前はクラウンに段差があり、もしかしたらこういった段差から細菌感染していたのかもしれません。

 

歯の寿命は、治療の短期予後は【根管治療の質】、治療の長期予後は【クラウンの質】に依存します。

つまり長く持つ歯を作るにはクラウンの質も重要になります!

 

歯内療法専門医でもクラウンもやってしまっていますから邪道と言われれば邪道ですが、

クラウンの質まで私がコントロールできるので、その辺は安心感があります(笑)

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顔の特定の部分を押すと痛む・違和感がある

顔の前方部 【特に鼻の周辺を押すと局部的に痛い、違和感がある】

 

生活の中で

特に顔を洗った際、タオルで顔を拭いた際、女性であれば化粧をした際

に痛みや不快な違和感を感じる場合、もしかしたら歯が膿んでいる可能性があります。

 

私は、

鼻の穴の下であれば、中切歯・側切歯、

鼻の横(鼻翼)であれば犬歯

頬(頬骨の下)であれば小臼歯に根尖病変がないか疑います。

 

 

患者さんは30代女性

過去に口全体を調べさせてもらい、その際過去に行った根の方は問題ないと判断していたのですが、

1年経過した頃に、前歯、特に鼻の下を触ると痛い症状が出てきた・・・

とのことで来院

  

レントゲンを撮らしてもらい調べてみると

2020 EEdental Y (1).jpg

2018年には綺麗だった歯根膜腔が多少肥大しているように見られ、

病変の位置と違和感の位置が一致するので、まずはここの根管治療をして様子をみましょう!

  

1回法でその日のうちに根管治療+コア・レジンを行いました。

2020 EEdental Y(3).jpg

MTA+GP+rezin

 

根管治療後1年経過して来院してもらい

 

レントゲンを撮ると

2020 EEdental Y (2).jpg

再び歯根膜腔が綺麗な状態に戻ってきてくれるのが確認できます。

  

気になる違和感は・・・

 

患者さんがおっしゃるに押して痛かった症状は、根管治療後翌日には無くなった。

根管治療3か月後も多少の違和感は残っていたが、1年経過した今全く症状は無くなったとのこと

 

顔を洗ったりして感じる違和感があれば、

一度歯科医院でレントゲンでチェックしてもらった方がいいですよ( ・∀・)ノ 

  

 

追記:

今日も一人急患で、歯茎を押すと痛いという患者さんが来院されました。

レントゲンを撮ると今回のブログと同じ根尖病変がありました。

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