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歯内療法日記: 2018年9月アーカイブ

歯内療法専門医 根管治療の『穿通』(ネゴシエーション グライドパス)」 大きな病変の治療報告

http://eedental.jp/ee_diary/2018/01/post-1709.html 

の続き

2018 EEdental HAM (1).jpg

だいぶ骨出来てくれました!

 

そんな患者さん

ある日突然上の歯も痛くなり、根管治療をさせてもらいました。

2018 EEdental HAM (2).jpg

根尖病変のある近心頬側根ですが、石灰化しており穿通出来ず

*穿通:根の先まで神経管を探すこと

開けれた所までを徹底的に洗浄して経過観察(治療回数:2回)

 

私の場合ですが、

初めての神経の治療の抜髄で穿通できない(神経管が見つけられない)ことは3~5%ぐらい

やり直しの感染根管治療で穿通できない(神経管が見つけれない)ことは20~30%ぐらい

と開きはあります。

 

今の根管治療は

この『穿通』の技術が根管治療の巧み度なのです!

穿通できれば、後は機械が削ってくれます。 

 

さて、この「穿通」 

今の一般的な考えの1つに  
「穿通出来ない歯=根尖病変が治らない」

という考え方が強いのですが、

穿通出来なくても治る時は治ってくれる歯はあります。

http://eedental.jp/ee_diary/2016/12/post-1525.html 

*当然、穿通出来た方が治癒率が高いという論文もあります。 

 

歯内療法専門医でも、結果を早く求める先生は、

【穿通できない】⇒スグに外科的歯内療法で対応

http://www.eedental.jp/surgery.html 

と判断する歯内療法専門医もおられますし、

  

私のように穿通できなかったけど一端「仮歯」で様子をみてみようか!?

という待機診断派スタンスの歯内療法専門医もいます。

*腫れてきたり、痛みが続く場合は外科に踏み切るという前提での待機診断です。 

 

これはスタイルの違いであり、どちらが良いとは言えません。

 

 

ただ、

私が患者ならできるだけ外科治療は避けたいかな。。(°°;)

 

後、費用面で外科治療の費用も更にかかるので・・・

 

「外科なし」を希望したい!

(*歯科医院はスグに外科した方が儲かりますけどね(笑))

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矯正治療終了と根管治療後のレントゲン診査

50代女性患者さん

3年前に虫歯治療をしたいと来院

  

話をすると歯並びの改善も同時にしたいとのこと

 

矯正治療前に診査を行い

矯正期間中に問題が起こらないように

・大きな虫歯

・根尖病変のある歯

の治療をⅠ期治療で行い

 

⇒矯正治療

 

矯正治療後に再審査

残りの虫歯と本歯の作成のⅡ期治療

 

という計画

 

矯正治療は豊橋からわざわざ名古屋の荒木先生の所まで行っもらい

*矯正治療は特に上手な先生に治療してもらわないと悲惨な目にあってしまいます。

(歯科治療全般に言えることですが、なるべく上手な先生に診てもらった方がいいです)

 

荒木先生は同級生で非常に手先の器用な先生なので個人的にも安心!

 

2年矯正が終わったとのことで来院

2018 EEdental ST1 (1).jpg

おぉ~~、綺麗に並びましたね!( ^◇^)/

 

根管治療をした所の診査

2018 EEdental ST1 (2).jpg

外科処置までした歯ですが、なんとか保存出来そうです。

http://eedental.jp/ee_diary/2017/05/post-1591.html

 

奥歯

2018 EEdental ST1 (3).jpg

綺麗に骨が出来てくれています!

*親知らずは抜歯しました。 

 

2018 EEdental ST1 (4).jpg

こちらも骨が出来てきてくれました。

 

そして、

2018 EEdental ST1 (5).jpg

最も病変が大きかった歯もだいぶ骨が出来てきてくれています!( ̄∇ ̄;)

*MB2が手づかずでした。

 

レントゲンを見てⅠ期治療の診査を行い

次回からⅡ期治療をスタートします。

 

いやいや、ホント根管治療&外科治療が上手く行って良かったです!d(⌒。⌒)

 

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【歯内療法専門医】 2018年 根管形成、根管洗浄、根管充填

治療に来院頂いている歯科医師の先生から根管治療について聞かれますが、

今はこんな感じです。 

 

長文になりますのでお時間のある先生は(笑)

 

 

ニッケルチタンファイルは先日書いたこちらの方を参考に

http://eedental.jp/ee_diary/2018/07/post-1789.html 

*ぶっちゃけ、ファイルはどのニッケルチタンでも大きな差はありません。

ポイントは「フルレングステクニック」、と「クラウンダウン」の2つの手技を使い分けれるといいと思います。 

**またファイル操作だけでは根管内は全く綺麗になっていないと認識しておくことも大切かと思います。

⇒ニッケルチタン拡大は洗浄の為の下処理に過ぎません。

 

 

根管形成に関しては、

抜髄と感染根管(リトリートメント)で形成方法に差が出ています。

  

抜髄は、通法通り#10(#15)穿通後、ニッケル・チタンで、06~07テーパーに仕上げます。

*だいたい99%は穿通できいますが、ネクローシスパルプの一部は石灰化しており穿通出来ないことが年に2根管ぐらいあります。

そんな時はあけれる所まで開けて、根管洗浄で対応 治らなければ外科で対処

2018 EEdental SK.jpg 

*無理にHファイル、リーマーで人工根管は作りません。(そんな感染していない無駄な所削っても治らないから)

昨日、大学病院で「バイパス形成術」で根管治療を行ったという方の外科処置をしましたが、

「バイパス形成ではなくそれはパーフォレーション!」と思いましたね(笑)

 

 

感染根管(リトリートメント)

流れの動画

 

コア除去後、う蝕検知液で徹底的に虫歯を除去 

【虫歯=菌の巣窟】「虫歯の部分⇒レジンの接着力が低い」

ですから、ここの処理を重視し結構時間をかけます。 

  

虫歯除去後

隔壁はフロアブルレジンを積層して作ります。

コツ:全周レジンで覆うこと、部分的に詰めるレジンは接着性が弱くすぐに取れます。

高い封鎖性は仮封剤の高さにも依存しますから、マストなステップです。

*隔壁なしの感染根管治療は殆どありません。

 

 

その後根管口付近の切削+GP除去、

*ダイヤモンドコーティングの音波チップ(カボNo68)

2018 endo1 (2).jpg

である程度漏斗状に削る(根尖よりこちらの方に菌が多いと思います)

*根管治療の原則は上の処理が終わってから下(根尖方向)に進むです。 

 

 

根管中部~根尖1/3

超音波チップにてGPを除去、柔らかくなり根管壁にへばり付いたGPは

「GPリムーバースピア(0.5mm と 0.3mmロングを装着しています)」(YDM)←顕微鏡ユーザーにはこれお勧め

2018 endo1 (1).JPG 

 

 

残り根尖3mmぐらいは

溶解剤(クロロホルム)を入れベンディングした#15Kファイルで溶かしていきます。

*クロロホルムの発がん性は気にする必要はないそうです。

 

感染根管の根尖まではKファイル #15が主役で元の根管を探します。 

  

穿通後はボルテックス06 #15 ⇒プロテーパーF1~F4 ぐらいまで拡大

↑これが前回根尖まで触れていない感染根管ケース

 

 

前回の治療で根尖を広く削っている、歯根吸収があり根尖が大きい場合には、

根尖付近はニッケルチタンは使わず、ハンドファイルで拡大。

根尖1~1.5mm付近だけ削るイメージで,牙粉が白くなるまで削る。

穿通したファイルの大体3号上ぐらいまで拡大すると大体#60以上になることが多いです。

 

 

その後、根管洗浄を主で行います。

 

 

後、

私はガッタパチャーが除去後は、NCを満たしながらファイル操作を行います。

先生の中にはEDTA(RCプレップ)など入れながらやると、歯質の脱灰が起こり穿通しやすくなると理解している先生が結構おられますが・・・

 

これは、違います。

 

RCプレップやグライドなどは潤滑剤程度で穿通しやすくなるわけではありません。

スメア層の脱灰を目的にするのであれば17%ぐらいの高濃度のものを使用すべきでしょう。

http://eedental.jp/ee_diary/2015/04/17-edta.html 

*ただしEDTAは1分程度でいいとされています。 

 

私がNCを入れながら治療を行うのは、消毒時間を少しでも長く取りたいのと根管内に残っている残存たんぱく質(細菌のエサ)を溶かしたい為です。

NCはピューラックス(7%)を使用しています。 

 

先にも書きましたが、

穿通、根管拡大というのは洗浄効果を高める為の下処理ですので、大切なのは「洗浄」です。 

 

現在、私は

「超音波洗浄」「X-pendファイル」が主体です。

洗浄は洗浄液を入れ、根管内に機械的に「物」が触れない限り汚れは効果的に落ちません。

大掃除の際に家のシャッターに付いた汚れをホースから出る水だけでは綺麗に取れないのと同じです。

ぞうきんなどで擦った方が汚れは効率的に落ちます。←これと根管内も同じです。

*これは顕微鏡で確認すればすぐに分かります。シリンジ洗浄では効率が悪過ぎます。

**必要に応じて超音波チップもベンディングします。

  

 

貼薬に関しても、

基本的に私は基本的に【無調薬派】で根管内には何もいれません。

しいて言えば、NCを残したままにして仮封してしまっています。

*NCはすぐに分解してしまいます。

**貼薬をした方が細菌は減らせますが、貼薬をしても/しなくても予後の成功率に差はありません。 

 

 

次回来院時、症状のないこと(腫れ、排膿など)が無ければ根管充填

 

私は、打診や咬合痛などは根管充填時の指標にはしていません。

*一度大きな痛みが出た歯などは半年近く咬合痛が続くこともありますが、その間根管治療することは歯を失う原因になると思います。

根管内が顕微鏡で見て綺麗であれば、根管充填をしてきちんとコアを入れて待っていれば、咬合痛、打診痛は時間とともに緩和してくることが多いです。

 

 

次に、現在の根管充填法ですが、

抜髄で真円に形成したものは基本「シングルポイント」

シーラー:エンドシークエンシー(海外通販)

ガッタパチャー:TF ADAPTIVE SIZE ML2

上顎小臼歯や上顎大臼歯口蓋根など、形成した根管が楕円形の時は「コンテニアスウエーブ」で出来るだけ死腔を減らすようにしています。

 

感染根管はまず根尖まで穿通なし/ありで根管充填方法を分けています。

1、穿通なし 

シーラー:AHプラス

ガッタパチャー:軟化ガッタ(β:ペントロン)

2-a、穿通あり 根尖が#45までは抜髄と同じシングルポイント   

シーラー:エンドシークエンシー(海外通販)

ガッタパチャー:TF ADAPTIVE

2-b、穿通あり 根尖が#50以上

前歯:根尖~根中央までMTAプラス(モクダ商会) 

臼歯部:根尖~根中央までPro Root MTA(デンツプライ)
根中央から根管口の下3mmまで軟化ガッタ(β:ペントロン)

 

という使い分けをしています。

 

最後に、コアですが、

コアは根管充填後にラバーを外さず即日詰めます。

*デンタルで根充剤の入りをわざわざ確認することは半年に2本程度です。

また、MTAを詰めてもMTAの上に軟化ガッタを置くので即日コアは作ります。

コアの位置は根管口から約3mm下の所からレジンを入れています。(象牙質からのコロナルリケージを気にして) 

 

コアは接着に「イーライズ(ペントロン)+フォトボンド(クラレ)」

*デュアルキュアにはせず、光を何回も当て硬化しています。

 

コア材

前歯・小臼歯:フェルールあり マジェステーLV OA2(クラレ)

      :フェルールなし コンポコアAF(白水)+ファイバー(ペントロン)

大臼歯:フェルールあり・なし SDR(デンツプライ)

*コアレジンは収縮量の小さいもので、8~10回に分けて積層充填します。

**レジンのデュアルキュアは信用していません。

 

後、気にしているのはコアを作ったらなるべく早めにTEKを入れ象牙質を口腔内に露出しないようにしています。

 

 

以上、ここ3年ぐらいはこんな感じです。  

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パフォレーション+根尖病変 ×2 歯内療法専門医

2018 EEdental YT(1).JPG

http://eedental.jp/ee_diary/2017/12/post-1704.html 

で書かせてもらった患者さんの予後レントゲン

 

2018 EEdental YT.JPG

症状や腫れ、膿もなく骨も出来てきてくれています。

手前の歯の根尖病変+パフォも綺麗に治ってくれています。 

 

次回、これだけ治ってきてくれれば、最終補綴物も安心して入れられます!

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