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何か違和感のあるレントゲン像の感染根管治療
- 2017年5月24日 09:16
- 歯内療法日記
根管治療の際撮影させてもらうレントゲン
専門で行っていると、そのレントゲンから病態を推測します(・∀・)ノ
多くの場合はパターン化しており、これは根尖病変で治療の対象になるな、折れている可能性があるな、パーフォレーション(歯に人為的な穴)からの感染だな、側枝に感染がありそうなど推測をして治療の組み立てをします。
ただ中には術前時に病態をイメージできないケースもあります。
そういった場合CTを合わせて撮影するとよりイメージしやすくなることもあります(・ω・)ノ
デンタルレントゲン=2D
CT=3D
なので情報量が変わってきます。
今回のケースは術前にデンタルレントゲン、CTで病態が具体化できず、
治療に入ったケース
根の先に影がぼんやりあるのですが、歯茎からは膿みが出ていますヽ(゚Д゚)
過去に根管治療を2回行い治らないので外科までしたとのこと
前の先生は長い金属の土台が入っているので外すのにリスクが高いと判断して外科をしたのでしょう。
ただ、専門でしていると長い金属の芯でもこんな外し方で歯にダメージを大きく与えず除去することもあります。
「リトルジャイアント+セメントスパチュラ」
因みに、動画を上げたあとある先生からリトルジャイアントを販売終了になっていますと連絡を頂きました。
日本には良い道具があっても治療費が安過ぎるのでペイ出来ない為、購入を控え結果道具が売れず廃止になってしまう悪循環。。。
治療費が安いことは素晴らしいですが、医療の発展のブレーキになっているのは事実です。。。(-ω-;)ゞ
さて、患者さんに話を戻して、
コア除去後
徹底的に中を洗い、水酸化Ca貼薬で置くこと9カ月
*この間矯正前の他の歯の虫歯治療を優先していました。
膿みもなく症状もないことを確認してMTA根管充填
根尖辺りの側枝にも綺麗に入り、ここからあらき先生の矯正スタート
治療着手から1年半近く問題なく矯正が続いていたある日
「先生腫れてきました・・・」と電話が
ん~、術前と同じはっきりとした根尖(根の先)病変は見られず、歯の側面に問題がありそうな感じ、経験上側枝のような気が・・・(-ω-;)
患者さんも問題が出たら外科と話させてもらっていたので
外科的歯内療法を選択⇒ http://www.eedental.jp/surgery.html
すると・・・
太い側枝があり、その横に過去に外科で削ったクレーター状の凹みに歯石がビッチリ!!
この太い側枝であれば、顕微鏡・拡大鏡で十分分かります。
ただし、これは側枝が怪しいという頭を持っていなければ、見ることができません。
術前時にある程度何か怪しいのか、どこに問題がありそうかという思考を持っていなければ1mmの問題も見落としてしまうものなのです。(歯科で1mmはメチャ大きな単位になります)
↑側枝から出た細菌が下のくぼみを見つけそこにコロニーを作ったのではないかと推測
逆に根尖にはビッチリ骨があったので、根の先には問題はないと分かり、歯石の除去、側枝をMTAにて穴埋めして外科終了!
レントゲン
*酸化ビスマスの少ないMTAを使用した為側枝の封鎖が分かりにくいレントゲンに
余談ですが、現在私は2種類のMTAを使い分けています(・з・)ノ
1つは先発薬の「プロルートMTA(白)」デンツプライ
これは非常に信頼性が高く2000以上もの論文が有効性を示しています。
ただ、デメリットとしてレントゲンに写る為の造影剤(酸化ビスマス)が歯を黒く変色させます。
ですので、前歯などには使いずらい材料になっています。
http://eedental.jp/ee_diary/2011/11/mta-1.html
今回女性の薄い歯ぐきだったので、黒色が透けるのを避ける為に
酸化ビスマスの少ないジェネリックの「MTA Plus」を選択しました。
(どの程度黒変が出ないかはまだまだ未知数 ジェネリックだから)
綺麗に処置できたので、これで矯正治療を続けてもらい、同時に定期診断をしていく予定です。
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