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【歯内療法専門医】 2018年 根管形成、根管洗浄、根管充填
- 2018年9月 5日 09:03
- 歯内療法日記
治療に来院頂いている歯科医師の先生から根管治療について聞かれますが、
今はこんな感じです。
長文になりますのでお時間のある先生は(笑)
ニッケルチタンファイルは先日書いたこちらの方を参考に
http://eedental.jp/ee_diary/2018/07/post-1789.html
*ぶっちゃけ、ファイルはどのニッケルチタンでも大きな差はありません。
ポイントは「フルレングステクニック」、と「クラウンダウン」の2つの手技を使い分けれるといいと思います。
**またファイル操作だけでは根管内は全く綺麗になっていないと認識しておくことも大切かと思います。
⇒ニッケルチタン拡大は洗浄の為の下処理に過ぎません。
根管形成に関しては、
抜髄と感染根管(リトリートメント)で形成方法に差が出ています。
抜髄は、通法通り#10(#15)穿通後、ニッケル・チタンで、06~07テーパーに仕上げます。
*だいたい99%は穿通できいますが、ネクローシスパルプの一部は石灰化しており穿通出来ないことが年に2根管ぐらいあります。
そんな時はあけれる所まで開けて、根管洗浄で対応 治らなければ外科で対処
*無理にHファイル、リーマーで人工根管は作りません。(そんな感染していない無駄な所削っても治らないから)
昨日、大学病院で「バイパス形成術」で根管治療を行ったという方の外科処置をしましたが、
「バイパス形成ではなくそれはパーフォレーション!」と思いましたね(笑)
感染根管(リトリートメント)
流れの動画
コア除去後、う蝕検知液で徹底的に虫歯を除去
【虫歯=菌の巣窟】「虫歯の部分⇒レジンの接着力が低い」
ですから、ここの処理を重視し結構時間をかけます。
虫歯除去後
隔壁はフロアブルレジンを積層して作ります。
コツ:全周レジンで覆うこと、部分的に詰めるレジンは接着性が弱くすぐに取れます。
高い封鎖性は仮封剤の高さにも依存しますから、マストなステップです。
*隔壁なしの感染根管治療は殆どありません。
その後根管口付近の切削+GP除去、
*ダイヤモンドコーティングの音波チップ(カボNo68)
である程度漏斗状に削る(根尖よりこちらの方に菌が多いと思います)
*根管治療の原則は上の処理が終わってから下(根尖方向)に進むです。
根管中部~根尖1/3
超音波チップにてGPを除去、柔らかくなり根管壁にへばり付いたGPは
「GPリムーバースピア(0.5mm と 0.3mmロングを装着しています)」(YDM)←顕微鏡ユーザーにはこれお勧め
残り根尖3mmぐらいは
溶解剤(クロロホルム)を入れベンディングした#15Kファイルで溶かしていきます。
*クロロホルムの発がん性は気にする必要はないそうです。
感染根管の根尖まではKファイル #15が主役で元の根管を探します。
穿通後はボルテックス06 #15 ⇒プロテーパーF1~F4 ぐらいまで拡大
↑これが前回根尖まで触れていない感染根管ケース
前回の治療で根尖を広く削っている、歯根吸収があり根尖が大きい場合には、
根尖付近はニッケルチタンは使わず、ハンドファイルで拡大。
根尖1~1.5mm付近だけ削るイメージで,牙粉が白くなるまで削る。
穿通したファイルの大体3号上ぐらいまで拡大すると大体#60以上になることが多いです。
その後、根管洗浄を主で行います。
後、
私はガッタパチャーが除去後は、NCを満たしながらファイル操作を行います。
先生の中にはEDTA(RCプレップ)など入れながらやると、歯質の脱灰が起こり穿通しやすくなると理解している先生が結構おられますが・・・
これは、違います。
RCプレップやグライドなどは潤滑剤程度で穿通しやすくなるわけではありません。
スメア層の脱灰を目的にするのであれば17%ぐらいの高濃度のものを使用すべきでしょう。
http://eedental.jp/ee_diary/2015/04/17-edta.html
*ただしEDTAは1分程度でいいとされています。
私がNCを入れながら治療を行うのは、消毒時間を少しでも長く取りたいのと根管内に残っている残存たんぱく質(細菌のエサ)を溶かしたい為です。
NCはピューラックス(7%)を使用しています。
先にも書きましたが、
穿通、根管拡大というのは洗浄効果を高める為の下処理ですので、大切なのは「洗浄」です。
現在、私は
「超音波洗浄」「X-pendファイル」が主体です。
洗浄は洗浄液を入れ、根管内に機械的に「物」が触れない限り汚れは効果的に落ちません。
大掃除の際に家のシャッターに付いた汚れをホースから出る水だけでは綺麗に取れないのと同じです。
ぞうきんなどで擦った方が汚れは効率的に落ちます。←これと根管内も同じです。
*これは顕微鏡で確認すればすぐに分かります。シリンジ洗浄では効率が悪過ぎます。
**必要に応じて超音波チップもベンディングします。
貼薬に関しても、
基本的に私は基本的に【無調薬派】で根管内には何もいれません。
しいて言えば、NCを残したままにして仮封してしまっています。
*NCはすぐに分解してしまいます。
**貼薬をした方が細菌は減らせますが、貼薬をしても/しなくても予後の成功率に差はありません。
次回来院時、症状のないこと(腫れ、排膿など)が無ければ根管充填
私は、打診や咬合痛などは根管充填時の指標にはしていません。
*一度大きな痛みが出た歯などは半年近く咬合痛が続くこともありますが、その間根管治療することは歯を失う原因になると思います。
根管内が顕微鏡で見て綺麗であれば、根管充填をしてきちんとコアを入れて待っていれば、咬合痛、打診痛は時間とともに緩和してくることが多いです。
次に、現在の根管充填法ですが、
抜髄で真円に形成したものは基本「シングルポイント」
シーラー:エンドシークエンシー(海外通販)
ガッタパチャー:TF ADAPTIVE SIZE ML2
上顎小臼歯や上顎大臼歯口蓋根など、形成した根管が楕円形の時は「コンテニアスウエーブ」で出来るだけ死腔を減らすようにしています。
感染根管はまず根尖まで穿通なし/ありで根管充填方法を分けています。
1、穿通なし
シーラー:AHプラス
ガッタパチャー:軟化ガッタ(β:ペントロン)
2-a、穿通あり 根尖が#45までは抜髄と同じシングルポイント
シーラー:エンドシークエンシー(海外通販)
ガッタパチャー:TF ADAPTIVE
2-b、穿通あり 根尖が#50以上
前歯:根尖~根中央までMTAプラス(モクダ商会)
臼歯部:根尖~根中央までPro Root MTA(デンツプライ)
根中央から根管口の下3mmまで軟化ガッタ(β:ペントロン)
という使い分けをしています。
最後に、コアですが、
コアは根管充填後にラバーを外さず即日詰めます。
*デンタルで根充剤の入りをわざわざ確認することは半年に2本程度です。
また、MTAを詰めてもMTAの上に軟化ガッタを置くので即日コアは作ります。
コアの位置は根管口から約3mm下の所からレジンを入れています。(象牙質からのコロナルリケージを気にして)
コアは接着に「イーライズ(ペントロン)+フォトボンド(クラレ)」
*デュアルキュアにはせず、光を何回も当て硬化しています。
コア材
前歯・小臼歯:フェルールあり マジェステーLV OA2(クラレ)
:フェルールなし コンポコアAF(白水)+ファイバー(ペントロン)
大臼歯:フェルールあり・なし SDR(デンツプライ)
*コアレジンは収縮量の小さいもので、8~10回に分けて積層充填します。
**レジンのデュアルキュアは信用していません。
後、気にしているのはコアを作ったらなるべく早めにTEKを入れ象牙質を口腔内に露出しないようにしています。
以上、ここ3年ぐらいはこんな感じです。
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