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歯内療法日記: 2016年9月アーカイブ

歯根破折にも思えた大きな根尖病変 感染根管治療

腫れてきた為、切開をして塗り薬を塗ったがまた腫れてきて

再び切開をして膿を出したがまた同じように膿んだとの患者さん

また日常痛みもあり特に咬むと痛い。

  

口の中を見るとイボのようなフィステルが、

2016 EEdental NT (3).jpg

 

レントゲンを撮ってみると

2016 EEdental NT (1).jpg

一番奥の銀歯の神経が死んでいるのか大きく骨が無くなっています( -`ω-)

 

この骨の溶け方は歯が折れている所見に非常に似ており、

「もしかしたらこの歯折れているかも!?」

と術前に説明をして、

患者さんの希望としては「残すトライしてみたい」

とのことで治療を開始!

 

神経管を見ると神経が既に死んでおりそこに感染が起こり腐敗臭がする。。。

 

治療3回目には

「かるくうずくけど、普段は痛まなくなった」

とのことで治療3回目に根管充填

 

今月1年予後で来てレントゲンを取ると

2016 EEdental NT (2).jpg

病変も消えビッチリ骨出来てくれたね!(・∀・)

  

術前時折れていたと思われた歯なんですが、

実は神経が死んでそこに感染が起こり骨が大きく溶け膿が出ていたようです。

 

今の医学では歯が折れているかの診断はできません。

レントゲン像から歯を取り囲むような所見があれば折れているかも!?と

推測しますが、それはあくまでも推測の範囲になります。

 

今回のケースはたまたま非常に綺麗に治ってくれたケースです(・ω・)ノ

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感染根管治療、穿通なしでも治る時は治ります。

遠方からわざわざ歯内療法をしてもらいたいと患者さんが 

   

レントゲンを取ると 

2016 EEdental FT (1).jpg

大きな金属の土台(芯)が歯の軸とは異なる方向に入っています。 

*長い芯は再治療がしにくい理由の1つです。

  

 

治療を始めると、この金属の芯は問題なく外せたのですが、  

ただ、歯の途中から石灰化しており本来の神経管を見つけることができません。。。

 

2回探索してみたのですが・・・

石灰化しており根尖までの穿通不可能!

  

仕方がないので、探せた部分までをきちんと清掃・消毒して根管充填

2016 EEdental FT (2).jpg

患者さんには

「ここまでしか開かなかったこと、治らなければ外科処置が必要になる」

とお話して経過観察をすることにしました。

 

最初の抜髄時(根管治療1回目)にはきちんと根の先まで空洞があったのですが、中途半端な処置を行うと体の防御反応でこのように途中までしか清掃できないことがあります。

 

この場合、なぜか日本の根管治療は強引に根の先までファイル(ヤスリ)を使って穴を開けるのですが、正直感染源でない部分に穴を開けても無意味です。 

むしろそういった治療は後の治療に大きな問題を起こすことも報告されています。

2016 Endo (1).jpg

   

根管治療の原則は細菌感染の除去であり、根管充填材(ゴム)を根の先まで入れる作業ではありません。

 

歯を残す為には体のルール通り行う必要があります。

  

 

途中までしか根管充填できなかった歯の術後3カ月 

2016 EEdental FT (3).jpg

ちょっとヒイキ目に見ると少し骨が出来てきてくれているようにも見えます。

(*黒い部分が小さくなってきている)
  

患者さんのこの歯は膿も出ていませんし、腫れ・痛みもありません。

 

  

歯の先まで掃除していないのになぜ治ってきてるのか?

  

こんな報告もあります。

2016 Endo (2).jpg

感染源の多くは歯の上の方に問題があり

歯の先の方から検出される細菌数は少ない。

 

つまり歯の上の方に問題があり病変が出来ていればその上の感染源が除去出来れば治ることもあるのです。

  

根の先まできちんと掃除できることに越したことはありませんが、

感染源でもない部分にゴリゴリ人工根管を作って消毒してあたかも綺麗に治療したかの様なレントゲン写真を作っても残念ながら治らないのです。

 

 

先日は神経管とは別の所にゴリゴリ無理に穴を開けられそこから違和感が取れないという患者さんもおられました。

2016 EEdental I Y (1).jpg

病変もない再治療で・・・(>。<) 

*人為的なパフォレーション+オーバー根管充填

 

私たちが使っているヤスリは真っ直ぐなので、気をつけて治療を行わないと曲がった神経管とは別の所に穴(パーフォレーション)を開けてしまいます。 

 

このケースは元の神経管がレントゲンで分かっていたのでその部分を綺麗にして人工的な穴をMTAで埋めました。

2016 EEdental I Y (2).jpg 

しばらくすると患者さんの違和感も消えてきました。

  

 

根の治療は0.1mm以下の単位で注意深く行う必要があります。

ただ保険の根管治療の治療費は既に東南アジア以下の治療費となっているので、理想的な治療が出来ない面も多々あります。

*先日ベトナムの方からのメールでは日本で1万円で行える根管治療がベトナムでは2万円かかるとのこと

  

私は根管治療で10万以上頂いているので、保険治療と比べるのはフェアーではないかもしれません(・ω・;)

でも先進国の歯内療法の相場は専門医で10~20万なんです。 

  

世界一、厳しい目を持つ日本の消費者(患者さん)を世界一安い治療費で満足させられるのか?

   

ちょっと、疑問・・・(-ω-;)ゞ  

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大きな病変抜かずに済み、セラミックブリッジSet

以前ブログにさせてもらった患者さん

「治す為のルールを守る根管治療 と 根尖病変の治癒スピード」

http://eedental.jp/ee_diary/2015/09/post-1255.html 

「根尖病変の治り早いねぇ~!」

http://eedental.jp/ee_diary/2016/03/post-1344.html 

 

大きな病変があり、隣の歯も抜いてしまった為

何とか残したいとのことで治療をさせてもらいました。

【術前】 感染して黒い丸が骨の溶けた部分

2016 EEdental IM3 (1).jpg

 

初診から1年6か月後

ようやくセラミッククラウンが入りました(^―^)

2016 EEdental IM3 (2).jpg

 

レントゲン

2016 EEdental IM3 (3).jpg

綺麗に治癒してなんとか残すことができました!

 

抜いてインプラント!(インプラント大好き歯科医院)

抜かずに治す!(歯内療法専門医)

同じように見える歯科医院でもかかる歯科医院によって得意分野が異なるので同じ歯を見ても治療方針は大き異なりますのでね( ̄m ̄ )

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根管治療をしたら急激に痛みが出た患者さん

なぜか最近、大きな痛みのある患者さんからの問い合わせが多い(-ω-;)ゞ

 

今回の患者さんもズキズキする痛みがあり

根管治療を始めた所大きな痛みが出てしまい1日2度痛み止めを飲み続ける日々

 

根尖病変がある歯を治療するとこのようなフレアーアップが起こってしまうことがあります。

詳しくは⇒http://eedental.jp/ee_diary/2014/10/post-1042.html 

 

来院してもらうと

2016 EEdental  IM (0).jpg

歯の上には大きな虫歯が残っており、根の先には根尖病変が見られます。

また痛みの為に仮蓋のないオープンな状態

また患者さんは怖い為か歯磨きをしておらずプラーク(菌)がベッチョリ

 

これはまさに悪循環。。。

 

1回目に私が行ったのは、痛みの原因である虫歯・菌の排除を行い

2016 EEdental  IM (3).jpg

細菌がはいらないようにきちんと仮蓋をおこないました。

 

また痛みが出る可能性はありますが、

まずは綺麗な状態を作らないと治るものも治りません。

 

傷口に泥が入って、痛いからと言って泥落とさずに治るの待ちますか?

傷口の泥(感染源)を綺麗に落とした方が治癒は早いはずです。

 

で、10日後治療2回目

患者さんは「治療後少し痛かったが今は全く痛くない」

 

はい、根管充填!

2016 EEdental  IM (2).jpg

 

何度も治療して治らないのは体のルールに従ってないからです。

根管治療後の問題の多くは細菌感染です。

 

この感染を体が抑えられる所まで細菌を減らしてやれば

後は体が勝手に治してくれます。

*ただし、一度歯の中に入った細菌はゼロ(無菌)にはなりません。

 

今回のケース

治療回数2回で根管治療はフィニッシュとなりました。

  

この後3か月後にレントゲンを撮って骨の治りを見て行きますヾ( ̄o ̄)

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非原性歯痛と根管治療の限界

以前、治療をさせてもらった遠方の患者さんから

「痛みが取れないので治療した歯(私が)を抜きました」

と連絡がありました。

   

根管治療を専門でやっていると

「痛みが取れない」という主訴で患者さんが来院されることがあります。

http://eedental.jp/ee_diary/2016/03/post-1351.html 

 

この「痛み」

感染して歯髄炎を起こしていたり、感染して腫れて痛いであれば

適切な治療を行えば痛みはすっきり取れることが殆どなのですが、

   

問題なのが痛みが長期化したりして

【体が記憶して脳が作りだす痛み】

これが厄介なのです。

 

最初は歯科治療を行った術後の痛みが原因なのですが、

不適切で闇雲に行う治療で痛みがなかなか治まらず、繰り返し治療をして更に痛みが増すパターン
が多いように感じます。

 

電話を頂いた患者さんも既に3回根管治療をしているとのことでした。

2016 EEdental SK4 (1).jpg 

   

私が出来るのは歯の中の掃除であって、

歯の中に痛みの原因があれば根管治療を行うことで痛みが治まることがあります。

2016 EEdental SK4 (2).jpg 

レントゲン上は病変所見もなく綺麗に治ってくれています。

 

ただ、痛みはあまり治まっていません。

こうなってしまうと歯内療法ではこの痛みの改善の見込みはなく、 

こういった場合、神経系の病院での治療が必要になってきてしまいます。

 

患者さんにしてみれば、

まだ根管治療に問題があり痛みが治まらないと思ってしまうと思いますが・・・ 

 

 

個人的には根管治療から3か月痛みが治まらなければ専門医の歯科医院に相談された方がいいと思います。

  

長期化した痛みが治るかどうかやってみないと分かりませんが、普通の根管治療より回数も期間もかかります。

  

 

毎回書きますが、「歯科治療は最初が肝心です」

また「歯科治療は誰に治療してもらうか?」

というのが非常に大きなポイントになります。

 

今回私のできる限りの治療をさせて頂いたのですが、結果抜歯となってしまいました。

 

*非原性歯痛の厄介な所は抜いても痛みが取れないこともありますので注意してください。

典型的なパターンは他の歯に痛みが移りまた根管治療が始まり⇒抜歯の繰り返しになることもあります。

 

非原性歯痛は根管治療の成功率が100%にならない原因の1つの理由でもあります。

 

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根管治療後のファーストチェックは3か月後に

膿が出てきていたような歯を根管治療した場合

その歯の周りの骨は炎症により溶けており、レントゲンで見ると

2016 EEdental OM2 .jpg

黒い丸のように見えます。

 

こうなってしまっているとその歯の付近に問題があります。 

  

また患者さんは根管治療で最終的な薬を入れたらすぐに治るとイメージされがちですが、

レントゲンで黒くなった骨の溶けた場所(病変)はすぐには正常所見には戻りません。

 

ではいつ骨は回復するのか?

 

私見ですが、これは個人差がありますが、

「えっ、病変なんてありました?」

というぐらい骨が回復するのにはおおよそ2年ぐらいかかることが多いです。

 

では2年も本歯(セラミック・銀歯など)は入れない方がいいのか?

 

 

そうではありません、根管治療後3~6カ月ぐらいで成功か失敗かのおおよその判断ができます。

例えば、上のレントゲンの患者さんも

2016 EEdental OM2 (2).jpg

 

2016 EEdental OM2 (1).jpg

黒い丸が徐々に小さくなっていきます。

 

根管治療後にまた腫れたり、歯茎から膿が出たりした場合は残念ながら根管治療は失敗となります。

*たまにあるのが腫れたにも関わらず抗生剤を服用して収める方法は抜本的な解決にはなっていません。

 

こういった場合に関しては『外科的歯内療法』で歯の保存を試みます。

http://www.eedental.jp/surgery.html  

 

私は基本的に外科的歯内療法主体ではなくできるだけ

ベーシックな歯内療法で治したいと考えるタイプの専門医ですヽ(―― o ―― )

*歯内療法専門医でも外科で勝負する専門医タイプもいます。

 

個人的には外科は短期予後はいいと思いますが、長期予後に関しては・・・

 

「!?」です。

 

MTAセメントを逆根管充填で詰めても咬合を与えれば一生揺らされ、セメント層にヒビが入ったり隙間があいて細菌が再び外に出るような気がしています(★。★)

(一度使えば一生安定した材料がこの世には存在しないと私は考えます)

 

また保険治療の切って終わりの歯根端切除術はやらない方がマシだと思います☠

  

今の私は、クラウンを外してきちんと上からリケージ(再感染)しないようにしてやった方がいいと思います。

 

例えれば

ストローの管の中がグチャグチャに汚れていてたえず上から汚れが中に入ってきている状態、

その汚れが外に出ないようにするには出口だけ蓋を作り処理するより、

入口から中の汚れを取って、入口・出口をきちんと封鎖した方がいい訳です。

 

この【汚れ】が目には見えない「細菌」で、出口だけ処理するのが外科的歯内療法、入口から掃除するのが歯内療法+土台・クラウンなのです。

 

 

EEデンタルでは感染根管治療後レントゲン定期診査を行っております

指示された定期のレントゲン診査費用はかかりませんので、治療を受けられた方は3か月後・1年後の診査に来てくださいね!( ̄▽)

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感染根管治療 成功率100%!?

根管治療で来院された患者さん

  

神経を取った殆どの歯に病変が見られ歯ぐきから膿も出てくる状態

前の治療では5本中1本だけ病変がない状態であり、

単純に成功率20%・・・

 

まだ30代なのでなるべく自分の歯を残したいとのことで治療スタート!

 

 

その後の検診での診査

2016 EEdental  HT (1).jpg

左下6 だいぶ骨が出来てくれていますヾ( ̄∇ ̄=ノ

 

2016 EEdental  HT (2).jpg

左上7 こちらも骨が出来ていますヾ( ̄∇ ̄=ノ

 

2016 EEdental  HT (3).jpg

右下6 一番の主訴であった歯も綺麗に治癒ヾ( ̄∇ ̄=ノ

右下5 根の先が金魚の尾のように変形していますが、綺麗に治癒ヾ( ̄∇ ̄=ノ

 

 

しっかり治癒傾向が出た後にセラミッククラウンを作っていく予定です。

長持ちできるセラミッククラウンはまず根管治療が大切です

model.jpg

 

今回の場合、もう少し予後の経過を見る必要はありますが、

たまたま全部の歯に治癒傾向が出てきてくれています!

 

すると・・・

 

成功率100%!?

 

まさにマグレ!(笑) 

 

簡単にあきらめて抜いてしまうより、最後の悪あがきを歯内療法専門医に託すのも一手ですよ!( /^ω^)/

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