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感染根管治療、穿通なしでも治る時は治ります。
- 2016年9月21日 14:47
- 歯内療法日記
遠方からわざわざ歯内療法をしてもらいたいと患者さんが
レントゲンを取ると
大きな金属の土台(芯)が歯の軸とは異なる方向に入っています。
*長い芯は再治療がしにくい理由の1つです。
治療を始めると、この金属の芯は問題なく外せたのですが、
ただ、歯の途中から石灰化しており本来の神経管を見つけることができません。。。
2回探索してみたのですが・・・
石灰化しており根尖までの穿通不可能!
仕方がないので、探せた部分までをきちんと清掃・消毒して根管充填
患者さんには
「ここまでしか開かなかったこと、治らなければ外科処置が必要になる」
とお話して経過観察をすることにしました。
最初の抜髄時(根管治療1回目)にはきちんと根の先まで空洞があったのですが、中途半端な処置を行うと体の防御反応でこのように途中までしか清掃できないことがあります。
この場合、なぜか日本の根管治療は強引に根の先までファイル(ヤスリ)を使って穴を開けるのですが、正直感染源でない部分に穴を開けても無意味です。
むしろそういった治療は後の治療に大きな問題を起こすことも報告されています。
根管治療の原則は細菌感染の除去であり、根管充填材(ゴム)を根の先まで入れる作業ではありません。
歯を残す為には体のルール通り行う必要があります。
途中までしか根管充填できなかった歯の術後3カ月
ちょっとヒイキ目に見ると少し骨が出来てきてくれているようにも見えます。
(*黒い部分が小さくなってきている)
患者さんのこの歯は膿も出ていませんし、腫れ・痛みもありません。
歯の先まで掃除していないのになぜ治ってきてるのか?
こんな報告もあります。
感染源の多くは歯の上の方に問題があり
歯の先の方から検出される細菌数は少ない。
つまり歯の上の方に問題があり病変が出来ていればその上の感染源が除去出来れば治ることもあるのです。
根の先まできちんと掃除できることに越したことはありませんが、
感染源でもない部分にゴリゴリ人工根管を作って消毒してあたかも綺麗に治療したかの様なレントゲン写真を作っても残念ながら治らないのです。
先日は神経管とは別の所にゴリゴリ無理に穴を開けられそこから違和感が取れないという患者さんもおられました。
病変もない再治療で・・・(>。<)
*人為的なパフォレーション+オーバー根管充填
私たちが使っているヤスリは真っ直ぐなので、気をつけて治療を行わないと曲がった神経管とは別の所に穴(パーフォレーション)を開けてしまいます。
このケースは元の神経管がレントゲンで分かっていたのでその部分を綺麗にして人工的な穴をMTAで埋めました。
しばらくすると患者さんの違和感も消えてきました。
根の治療は0.1mm以下の単位で注意深く行う必要があります。
ただ保険の根管治療の治療費は既に東南アジア以下の治療費となっているので、理想的な治療が出来ない面も多々あります。
*先日ベトナムの方からのメールでは日本で1万円で行える根管治療がベトナムでは2万円かかるとのこと
私は根管治療で10万以上頂いているので、保険治療と比べるのはフェアーではないかもしれません(・ω・;)
でも先進国の歯内療法の相場は専門医で10~20万なんです。
世界一、厳しい目を持つ日本の消費者(患者さん)を世界一安い治療費で満足させられるのか?
ちょっと、疑問・・・(-ω-;)ゞ
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