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根管治療は1回、2回で終わって大丈夫なのか!?
- 2024年11月13日 09:00
- 歯内療法日記
以前勤めてもらっていた衛生士のOさんが根管治療2回目で来院された際に、
職場の同僚衛生士が
「根管治療2回で終わらせて大丈夫なの!?」
「普通は4~5回薬の交換してから根管充填でしょ!?」
と言われたらしいのですが、
まず文献的には1回法でも複数回法でも予後に大きな違いはありません。
要は、「1回の治療でどれだけ歯の中を綺麗にして、菌数を減らせたか」がポイントであり
何度も何度も無駄に根管治療を繰り返す必要はないと思っています。
*自分が患者でも少ない回数できちんと仕上げてくれる方が時間的にもありがたいです。
患者さんのOさんに職場の衛生士さんに、
「根管貼薬を繰り返す根管治療なんて昭和の時代の昔ながらの治療だよ」
「自分は令和時代の根管治療を受けていると説明しな」と返答しました。
『職場での人間関係が悪くなるのそんなこと言えない!』
と言われましたが(笑)
ホント根管治療は難しく、先生のレベルにあった治療と基準、解釈になるので
一概に何回の治療が良いなどいえませんが、1つ言えるのはラバーダムや隔壁を作っていない先生とは土俵が違うので議論ができない。
土俵と言えば昔、
私のレジンの恩師の〇橋先生がその昔アメリカで保存治療で拡大鏡を使っていない(裸眼治療)という理由で、その議論には入れなかった。(その後、先生達に拡大鏡を教えてもらったとか)
という話をされていましたが、まさにその通りで話・議論をするなら最低限の共通認識に元に議論をしないと話がかみ合いません。
一般的に歯科治療はその先生の経験から培った基準での治療をしていることが多く殆どが我流になっています。
今回のブログケースが良い例だと思います。
セラミックを作ってもらっている技工士さんの紹介の50代の女性患者さん
痛みが出た後、歯科医院に行ったら根管治療が必要と言われ
3カ月前から毎週歯科医院で薬の交換をしているが一向に良くならない。
2週間前からまた腫れてきてしまい、また痛みも出てきた。
家族の技工士さんに相談しEEデンタルを教えてもらう。
レントゲンを撮ると大きな根尖病変が見られます。
ただ・・・
隔壁はしていない、仮蓋は封鎖性のあまいストッピング、
中を見てみると、虫歯は残っている遠心頬側根は手付かず。。。
昭和時代の治療なら薬の入れ替えを何回も行い、症状を引くのを待つのでしょうが、
治療を例えると、『雨漏りしている家の床を毎週雑巾がけしているようなもの』
治すのであれば雨漏りする場所を塞いでから床掃除しないと、半永久的に雑巾がけする羽目に・・・
1回目の治療で、虫歯をきちんと取り(腐っている部分の除去)、隔壁(雨漏り修理)を作り、手付かずの根管を探して治療して、歯の中の汚れを徹底的に次亜塩素酸Naで洗い(床の雑巾がけ)しっかりと仮蓋(雨漏りしないように)。
2週間後の治療2回目
患者さんは術後に少し腫れたような感じはあったが、今は腫れや痛みはないとのこと
顕微鏡下で根管内に膿など悪い所見がないのを確認し、もう一度徹底的に根管洗浄(消毒)し歯の中が綺麗になったのを顕微鏡下で確認して、根管充填+レジンコア+仮歯まで入れさせてもらいました。
そこから仮歯で生活してもらい
今週1年予後で来院された時のレントゲン
大きな病変2つともだいぶ骨が出来てきてくれています。
悪くなってしまった体を治すには治す為のルール・法則があります。
その法則に従わない限り何度薬の交換をしても同じで治ってきません。
*細菌を殺す為の薬なんて、体にとっても「毒」ですからね。細菌だけに効いて人間には効かないなどの選択毒性のある薬はありません
はっきり言いますが、根管治療は回数で治すものではありません。
どれだけ歯の中の細菌を除去でき体の治癒機転を作れるかどうかが勝負の分かれ目です。
膿んだ歯の根管治療は歯の中の細菌をいかに減らすかゲーム
減らす為の選択肢は
①根管形成(削る)
②根管内洗浄(次亜塩素酸で洗う)
③貼薬(ホルマリンや水酸化Caなどの薬を歯の中に入れる)
の3つがあります。
昭和ながらの治療では①と③が重視されますが、現代の根管治療(歯内療法専門医)は②洗浄をいかに効率的に行うか!?
ホント何度も何度も根管治療をしていると歯の中をどんどん削られ自分の歯は少なくなりますし、後の歯根破折リスクが上がります。
歯内療法専門医は③洗浄効果を増す為に①の工程も重視します。
*洗浄効果が高くなるような形態に削って仕上げます。(洗いやすい形に整える)
私の治療では③は全く重視していませんし、貼薬剤を入れることも稀です。
また日本オリジナルと言うか、④根管充填を根の先まで行う というものを重視している先生もいますが、これも私は最近殆ど重視していません(笑)
質問された衛生士の人も勤めた歯科医院(歯科医師)の治療がベースになっているので、根管治療は貼薬(薬の交換)を何度も繰り返すと学んだのだと思います。
きちんとやればパフォレーションがあっても1回でも治る時は治りますよ_〆(・∇・)
パフォレーションによる鈍痛 - EE DENTAL_Blog
繰り返しになりますが、体を治す為には体のルールを知りそれに準じて治療を行った方が治せる確率は高くなると個人的には思っています(・∀・)ノ
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