治りが遅い!?根管治療後3年
- 2024年11月 6日 09:00
- 歯内療法日記
近医の先生からの紹介の60代の患者さん
1カ月前から咬み合わせた時に痛みがあるが、日によって痛み方が異なる。
レントゲンを撮ると、近心頬側根と遠心頬側根に根尖病変がみられます。
ただ、咬んだ時に痛いというのと近心根の透過像的に折れている可能性がある
そのことを説明し根管治療スタート
1回目の治療で人工物を全部外すと、髄床底部にクラックが見つかる
ただ、染め出し液で染めてみるも染まらない為、クラックはまだ開いていないと思われる。
患者さんに、ヒビはあるが残す治療は可能かもしれない。
例えると、今の歯はヒビの入ったコップ
・水を注ぐと漏れてしまうコップ
・ヒビは入っているが水は漏れてこないコップ
今の状態は後者の水漏れしない状態なので治療を続けてもいいが、ヒビ自体は進行する一方で治ることはない。
1本奥歯が無い為、この歯を抜いてしまうと「部分入れ歯」or「インプラント」の2択となる。
一度治療してみて使える所まで使ってみるか!?
*1回目の根管治療で治療を止める場合は根管治療費の半分を頂きます。
患者さんは残したいということなので根管治療を継続し
根管治療2回目
根管充填+レジンコア+仮歯まで
3か月後の来院時
「腫れ痛みもなくなり、咬んでも痛くない」
術後1年のレントゲン
遠心頬側根は綺麗に治ったのですが、近心頬側根の根尖病変にあまり大きな変化なし。
痛くなく、仮歯でも咬めるということでもう1年様子を見ることに
この辺りは専門医でも診断の異なる部分で、次の治療の外科的歯内療法や分割抜歯(トライセクション)や全抜歯に移行していく場合もあります。
ただ、個人的には腫れや痛みなく患者さんが使えているのであれば様子を見るというのも選択肢の1つだと思っているので、
患者さんには「腫れや大きな痛みが出たらまたすぐ来てね、症状なく普通に生活出来ていたら次は半年後or1年後」と説明
歯を残す為に治療をしているのであって、綺麗なレントゲン所見を目指しているのではないので・・・
問題無く経過しており、2年後のレントゲン
近心頬側根も骨が出来てきているように見えます。
患者さんには骨出来てきたね!
今仮歯だから、仮歯が割れたり取れたらかかりつけの先生の所で本歯作ってもらってね。
その際咬み合わせは気持ち低目に作ってもらってね。
と説明
で、
先日干し芋食べていたら仮歯が割れたから見て欲しいと連絡があり、見せてもらいました。
術後3年
また多少透過像はあるものの、術後2年より骨は出来てきてくれています。
患者さんに症状を聞いても全く問題無く使えていたとのこと。
この状態まで治ってくれたので、紹介先の先生に本歯作ってもらってね!
と言って終診となりました。
昔は自分も1年経過しても骨が出来ない場合は治療の失敗とみなし外科的歯内療法など行っていましたが、最近は症状がなく使えていれば「待つ」という選択肢もありかなと思っています。
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