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顕微鏡との出会い 奥歯の神経は基本4本
- 2023年7月18日 15:30
- 歯内療法日記
先日、顕微鏡学会の方から認定医の更新手続きがありませんと連絡を頂き、
慌てて手続きをおこないました(汗)
ふと気が付くと、顕微鏡学会の認定医を取ったのが2010年(認定医登録番号:6番 ← 第1回認定医テスト)
そう考えると、結構長いこと顕微鏡使っているなと改めて思いました。
私が大学にいる頃にはまだ「歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)」などは聞いたこともありませんでした。
私が初めて歯科用顕微鏡という単語を聞いたのは2001年の卒後2年目の時、当時の院長がデンタルショーにあったと言っていましたが、私は実機さえも見たことありませんでした。
当時は、歯内療法(根管治療)専門医になろうとはこれっぽちも考えず、入れ歯から抜歯など殆どの保険診療を裸眼で行っていました。
2003年 師匠と仰ぐ 奥村先生の歯科医院に就職 ここから本格的に歯内療法に興味を持ちます。
2004年 師匠の歯科医院で井野チェアーに歯科用顕微鏡(グローバル)を設置してもらえました。
2007年 開業時にZEISSを購入(開業当時、東三河で顕微鏡導入例がなく、材料屋の担当に何度も「先生こんな650万もするものホントに買うの!?セレック買ったら!?」と言われた覚えが(笑))
まず顕微鏡を設置して分かる自分の治療の「粗」
・修復物が全然合っていない・・・
・コンタクトカリエス(歯と歯の間の虫歯)の見落とし・・・
・歯を削る際に隣の歯を削っている・・・
・マージンのガタガタ(凸凹)
顕微鏡を導入して誰もが経験する体験ではないでしょうか!?
「裸眼って全然見えてないのね。。。」
そうなんです、特に大臼歯の治療時に裸眼では、『ほぼほぼ見えてません』
神経の治療などは、レントゲンで大まかなイメージを頼りに手の先の感覚で治療するのが歯内療法!
そうこれが「ザ・トラディショナルエンド(職人芸的な歯内療法)」
ネットで色々情報を得ている患者さんは「顕微鏡治療=標準治療」と思われがちですが、
今も世界的にも「裸眼治療が標準治療」で、顕微鏡で行う神経の治療というのが特殊な部類なのです。
そこは、勘違いしないでくださいね。
(因みに、顕微鏡の普及率は日本がダントツの世界一位 ただし使われていない顕微鏡も世界一位!)
顕微鏡の導入で私の臨床は一遍しました!
見えていないこと気づいた日からそれに対しての細かな繊細な治療の始まりです。
顕微鏡を使用し歯内療法で気づいたのは、【奥歯の神経管は4本がメチャ多い】
裸眼治療時代私も奥歯の神経管は3本治療すれば、まあ大丈夫だろう。
月に3本ぐらい神経管が4本の場合もありましたが、レアケースで治療できると1日気分が良かったのを思えています。(笑)
ただ、今は奥歯の神経管は4本だと思って治療しています。
ですので、3本治療した後に4本目の痕跡を探し、0.1mmぐらいの怪しい場所から4本目の神経管を探り出します。
その際、先端が0.06mmのKファイルが活躍します。
今の私の臨床ではこれは普通ですが、顕微鏡治療を見たことない人からすると驚かれると思います。
こんなこと知ると、「4本目の神経管の治療がしていない!」と先生を責める患者さんもいるかもしれませんが、
保険治療では4本目の神経治療費っていくらか想像できますか!?
保険治療は神経管の数により治療費が異なる設定で、
1根管230点(2300円)
2根管422点(4220円)
3根管以上596点(5960円)
となっており、「3根管以上」は何本神経管を治療しても同額です。
つまり頑張っても頑張らなくても費用は同じです。
(先進国の中で世界一安い治療費でそらないぜ!)
4本目の神経管の存在さえ知らなかった時代に設定された治療費の為か、「3本治療しておけばOK!」というのが今も続いております。
今回の患者さんは40代男性
2021年に他の主訴で来院され、たまに痛むと言われ診察した左下第一大臼歯
根尖病変があります。
前歯の治療を行い、この歯の治療は希望されなかったのでそのまま終了
が、
2022年年末 ちょっと前から咬んだ時に歯が浮いている感じがし、左側が咬んだ際に痛い
左下がプクッと腫れる(フィステル)とのことで来院
1年前にくらべ病変が大きくなっており、遠心根には破折を疑わせる所見。。。
ガッタパーチャーの入りだけ見ると非常に綺麗な治療がされています。
先日、「ガッタパーチャーの入りが綺麗に入っていれば治る」的なことを言っている専門医の先生がおりビックリしました。
もう既にその考え方は旧式のような・・・
根管充填材と根管充填法とGPを止める位置 - EE DENTAL_Blog
(メンドクサイのでその質問はしませんでした(笑))
今回のケースもガッタパーチャーの入りだけ見れば100点の治療だと思います。
レントゲン所見的に患者さんには折れていたら抜歯になることを説明し、残す方向で散らいさせてもらいました。
過去の人工物を外すと、
意外な所から隠れた4本目の神経管がでてきました。
そこを根の先まできちんと掃除し徹底的に消毒
2週間後の治療2回目
インタビューで治療を2~3日痛みがあったが、その後フィステルも無くなり痛みや浮いた感じも無くなったとのことで、
根管充填(4根管)+レジンコア+仮歯
根管充填材はガッタパーチャー使用
その後、経過観察
治療後6か月
遠心根の病変はほぼ無くなってきてくれています。
また近心根の病変も小さくなってきています。
この後、1年後のレントゲンを撮って終了となります。
今日の初診患者さんも1本手づかずの神経管があるとのことで来院されましたが、
日本の場合、ある面4本目の見逃し根管って仕方がない気がします。
だって、そもそも奥歯の神経治療は3本設定なのですからね。。。(>。<)
見える治療と手探りの治療、結果に差は出て当然だと個人的には思います。
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