Home> 歯内療法日記 > ファイル破折を残したままの根管治療
ファイル破折を残したままの根管治療
- 2025年4月 5日 09:00
- 歯内療法日記
歯内療法専門医でも折ってしまうファイル
折ってしまったファイルは出来れば除去したいのですが、これが難易度が高い!
・折れたファイルの位置(根管上部 or 下部)
・折れた破折ファイルが5mm以上かどうか?
・折れたファイルの種類がステンレスファイルか、ニッケルチタンであるかどうか?
・折れたファイルの湾曲・傾き具合
・折れたファイルが顕微鏡下で見えるかどうか?
色々な要素がありますが、ファイル破折除去は意外とデメリットも多く
ファイルを除去する為に健康な歯を大きく削る ⇒ 将来的に歯根破折に繋がる可能性あり
後、削る場所を間違えるとパフォレーションを起こすこともあり
ファイル除去時のオーバーヒート ⇒ 熱を歯周組織に加え過ぎると骨&歯肉が壊死してしまい、歯処か骨や歯肉も大きく無くなります。(極々稀ですけどね)
このファイル破折除去も歯内療法専門医でも全員が上手な訳ではなく
まず顕微鏡がないと取れません、また沢山の高価な器具が必要です。
*破折ファイルの保険点数は150点(1500円)+顕微鏡を使えば+400点(4000円)だそうですが、器材代(消耗品)だけで4万円ぐらいかかりますし、下手すると1回のコストは1万円近くします。
客観的に自分の破折ファイル除去の技術評価をするなら「中の中」つまり普通
自分的にはレントゲンで確認出来れば取りに行きますが、無理しては取りません。。。(はっきり言うと取れないという諦めは早いです。)
患者さん的には「ファイル破折を取らないと治らないんじゃ!?」と思われますが・・・
今回のケース 40代女性患者さん
過去に2回根管治療を行ったが、痛くて咬めない
過去に根管治療中にも腫れてきた為、抗生剤で散らしクラウンまで入れたがまた腫れてきて抗生剤を飲んだ。
今は咬まなくてもジンジンする痛みがあり、担当の先生は抜歯しかないと言う。
何とか残せないかということでEEデンタルへ
近心根に大きな根尖病変+破折ファイル
治療1回目
人工物を除去しましたが、破折ファイルは見えそうで見えません。
近心頬側根と近心舌側根を繋ぐ太めのイスムスがありその部分を徹底的に洗浄
上を大きく削ってファイルを取りに行くか!?という選択になります。
また近心根は以前の治療で大きなレッジも形成されており、攻めれば確実にパフォレーションを作る・・・
歯科治療、特に根管治療は前の先生が作った問題を修正・解決しながらの治療になるので、
1回目より2回目、2回目より3回目の治療の方が難易度が高くなります。
つまり歯を残したければ、早い段階で専門医にかかった方が医原性の問題が少ないので治せる確率は上がります。
治療2回目
ファイル破折を見つけようと少し攻めるも、見つかる気配なし・・・
これはパフォるなと直感的に感じ、徹底的に洗浄をして根管充填することにしました。
レントゲンを見ると、破折ファイルは取れていませんし、他の根管もレッジを大きくしてしまいパフォレーションギリギリ回避
患者さんには仮歯で様子をみさせてもらうことに、
根管充填から3週間
食べた後にジンジンする、頬をおさえると痛い、朝は問題無いが日中にかけて痛みが出てくる。
とのことで、珍しく根管充填後に抗生剤を処方し、次に腫れたら外科的歯内療法で治すと説明。
根管充填から4ヵ月
たまにジンジンするが、普通に咬める日も増えてきている。
あれから腫れはない
とのことで様子をみてもらう。
術後1年
腫れや痛みも無く調子良いとのこと、
病変も縮小しており、骨が出来てきているので外科的歯内療法はとりあえずスキップ
自分に厳しい基準を持った先生なら外科介入すると思いますが、
そこは3流歯内療法専門医(笑)、骨に治癒傾向があり患者さんが不自由なく生活出来ているならOKじゃない!?という考えの元、このケースは経過観察でいいかなと思っています。
今の自分は積極的な治療が歯を残すわけではなく、必要最低限の医療介入こそが歯を長く残す秘訣だと思っているので、歯を残す為にどうすればいいかを主で考えます。
ファイルが膿や痛みの感染源になることはないので、その点は安心してください。
- 購読
- Powerd By