外傷の歯髄保存と歯髄変化
- 2024年1月 5日 09:00
- 歯内療法日記
基本的に外傷はあまり専門ではないのですが、
歯内療法とレジンを専門としている手前、外傷の患者さんはよく見ます。
外傷の患者さんを診させてもらい経験値を積ませてもらっている面もあり、
結果的に歯内療法とレジンの2つの専門を持っていて良かったなとも思っています。
また自分自身も外傷を経験しているので、そのショックも分かります。
スポーツによる外傷歯 まさか自分が・・・ - EE DENTAL_Blog
外傷はかかった先生の、専門性で大きく歯の寿命などが変わってきます。
特に外傷の多い小学生や中学生の方は気を付けられた方がいいでしょう。
私のスタンスとしては、外傷初期は歯髄保存+固定 その後、神経の生死を判断
神経が死んでいれば速やかに1回法で根管治療、生活反応が少しでもあれば経過観察
という手順です。
痛みに関しては、人それぞれで初期のウチは痛み止めを使いある程度我慢してもらう面もあります。
また個人的な経験では弱い痛みは抜歯した後も1年ぐらい不定期で出ていたので、患者さんに自分の経験を話します。
後、女性が気にする歯の変色ですが、これはきちんと髄角などの細かい神経をきちんと処理すれば変色のスピードはゆっくりにすることが出来ます。
抜髄後半年程度で歯の色が暗くなる場合はだいたい髄角の歯髄の取り残しです。
今回のケースは左上1・2の2本の歯の外傷ケース
患者さんは20代女性 来院2カ月前に前歯に金属が当たってしまい多少ぐらつきがあった。
外傷後左上1は1週間後ぐらいから歯の色が褐色~紫色っぽい暗い色になり今は元の色に戻ってきた。
今は左上2の方が気になっており、変色してきている歯をホワイトニングで元通りにしたい
近医の先生には治療は必要と言われた。
とのこと
レントゲンと電気歯髄診断を行うと
左上1はかろうじて神経反応あり、左上2は神経が死んでいるようで反応なし
方針としては、左上1は経過観察、左上2は根管治療+レジンコア+レジン充填
1回法で左上2を処置
そこから経過観察
1年後
根尖病変は綺麗に治ってくれています。
ただ、左上1の歯髄腔は急激に細くなってきています。
2年8か月後
左上2は問題無し
左上1の歯髄腔は閉鎖してきているものの根尖病変はなし
患者さんに現状を説明しとりあえず、このまま様子をみることにしました。
少しずつ黒い部分が細くなっているのが分かります。
気になる歯の変色ですが、
術後2年8ヵ月経過時点では左右で大きな色の差は出ていません。
気を付けていてもどうしても起こってしまう外傷
外傷は将来的に問題を起こすことが稀にあるので中長期的な経過観察が必要となります。
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