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4ヵ月前から根管治療を始めたが痛みが取れない
- 2024年9月 4日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
2本の歯を診て欲しいとのこと
レントゲン
黄色の矢印:右下7
10年前に根管治療を行った歯が痛む 歯茎を押すと膿が出てくる
方針:かなりの確率で歯根破折で抜歯になると思われる。
ピンクの矢印:右下5
痛みが出てしまい、4ヵ月前から根管治療をスタートしているが痛い。
特に朝に痛みが増す、歯の奥の方(根の方)が痛い。
担当の先生は外科処置(歯根端切除術)を行い治す必要があると言われた。
方針:まずはきちんと隔壁など作り、唾液・細菌が入らない環境を作って根管治療を行い痛みが取れるかみた方がいい。 経験上、外科処置を行っても痛みが改善する可能性はかなり低い。
主訴は2本でしたが、とりあえず右下5だけ治療することに
1回目の治療で行ったのは歯茎の中の虫歯を取り、その部分からレジンで隔壁を作り歯の中を徹底的に消毒
*4ヵ月以上根管治療をしているので、必要十分量歯の中は削ってあり、根の先(根尖)は大きく破壊されていました。
1か月後の治療2回目(歯は触らず、ヒアリングのみ)
根の先に一定の痛みを感じるが痛み自体は強くはない。
朝になると歯の浮いたような感じで痛いのは続いている。
1週間後の治療3回目
奥の方が痛かったのは無くなったが、朝に痛みを感じる。
ラバーダムをして歯の中を見るが膿などの悪い所見などはない。
方針:歯の中は特にやることがないので、もう1ヵ月このまま生活してもらい症状が落ち着いていれば、次回根管充填+レジンコアまで入れ様子をみる
1か月後の治療4回目
1ヵ月の間に2回大きな痛みがあった、今は痛みはなくなりすっきりしている。
というこで、MTAにて根管充填(根の先が破壊されていた為)
根管充填後に土台まで入れ、1ヵ月経過をみてもらい
今回のケースは、根管充填から1か月後に仮歯を入れ咬めるようにして行きます。
術後6ヵ月
痛みや腫れもなく、特に悪い感じはない
かかりつけの先生にクラウンを入れてもらうように説明
治療後1年
痛みや腫れもなく普通に咬めるとのこと
OK、OK、特に問題も無さそうなので終診
今回のように、根管治療に行き詰まると外科で何とかしようとする先生がおれますが、
これは完全な間違い! 外科をしても症状を悪化させてしまうのがオチです。
まずはベーシックな部分を抑えた普通の根管治療を行うべきです。
長く続く痛みの多くは、細菌感染を止めれていないことより始まります。
また、痛みが数カ月続いていたようなケースだと、その痛みを取るのにも数カ月かかります。
今回のように残っている歯質が少ないような場合は、どうしても歯の中に細菌が入りやすいので
きちんと隔壁からすべきなんですが、保険治療ではこの手間のかかる隔壁に点数(治療費)が付いていない為、赤字の根管治療になってしまいますが。。。
今回のような隔壁なく根管治療をしているのは、雨漏りしている屋根なのに廊下の雑巾がけを永遠にしているようなものでいつまで経っても床は濡れ汚れたままです。
今、世界的にみて、1万円以下で根管治療が受けれる国など殆どないと思いますが、やはり安い分手間をかけれないもどかしい部分も保険の先生にはあると思います。
こういった現状を患者さんに知って頂き、どうしても歯を残したいという方はその部分だけ歯内療法専門医にかかるのも1つかと思います。
*ただ、歯内療法専門医でも保険治療では出来る内容に限りはあります。
今回のケース、非原性歯痛ではなく痛みが取れてくれて良かったです(^。^)
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