Home> 歯内療法日記 > 治せない歯科医師と治せる歯科医師
治せない歯科医師と治せる歯科医師
- 2025年11月19日 09:00
- 歯内療法日記
歯科治療の中でもトラブルの多い根管治療(神経の治療)
口の中は体の中でも2番目に汚い(細菌の多い)臓器なので治療はなるべく、
綺麗な環境下で行った方がいいのですが、そこにはどうしてもコストの問題が発生してしまい
理想的な医療というのが難しいのが今の保険診療になってきてしまっています。
先日のブログで国が専門医制度を作っていると書きましたが、
はっきり言ってしまえば、そんな専門医制度より保険制度特に歯科点数先に何とかしてよ!と思ってしまいます。
戦後から価格の上がらない代表「卵」と「歯科治療費」と言われてきましたが、ここ最近「卵」も「米」も値上がりしてしまっていますが、歯科治療は保険制度が出来てからどの程度値上がりしたのでしょうか!?
先日も海外の患者さんと話す機会があり、治療費聞くとコロナ明けぐらいからどの国も治療費が上がっていますし、材料費も2倍近くになってきているものもあります。
近くの飲食店で漁師のおじさんが、娘がヨーロッパにいるんだが歯科治療の為にわざわざ日本に帰ってくるとも話していました。
EEデンタルも今年海外の患者さんが多いので、関係しているかも・・・
海外の患者さんの治療と日本の治療費 - EE DENTAL_Blog
個人的に保険診療をやっていないんですが、ちょっと今の治療費は異常に安過ぎだと思いますね。
今回の患者さんは50代女性
2022年4月に銀歯が外れ歯科医院で銀歯を入れるが痛みが出てしまい神経を取ることに
その後、根管治療を11回繰り返すも痛みが取れず、歯ではないと先生に言われ耳鼻科に行くように言われ、耳鼻科でファイバー、CTで検査も副鼻腔は問題無しとのこと
その後、歯科に戻り今度は歯科口腔外科へ「顎骨骨髄炎」と診断を受け抜歯をする必要ありと言われた。
この歯は5年前から痛いと訴えていたが、問題無いと言われていた歯である。
「抜歯をせずに残せないか!?」という主訴
レントゲン
レントゲン所見的に炎症ある!?という感じ
後日CTも撮りましたが、根尖病変のような所見がうっすらMB根にありました。
と言うかそもそも抜髄スタートで、病変もないのに顎骨炎の診断!?
個人的には根管治療の不備による「非歯原性歯痛」を疑うケース。。。
患者さんには一度歯を残す治療をしてみましょうと提案
今週も1年近く根管治療をしているが痛みが取れない患者さんの治療を行いましたが、今回のレントゲンと同じ
「再治療しているなら、まずガッタパーチャー取りなさいよ・・・」
と思います。
この状態で「貼薬」なんて100回やっても汚いものが残っている限り薬の効果は。。。
ただ、あまり保険診療を攻めれない部分はあります。
やり直しの治療で殆ど費用もらえませんし、貼薬だって1回の治療費400円程度なので出来ることはかなり限られます。
人の体治すのに400円ってどういう時間単価なんだか。。。
ここからはEEデンタルでやった経過
先に結論を書くと残せれはしたのですが、クラウンが入るまでに2年10ヵ月(経過観察期間含む)
1回目の治療で根管内を空にして徹底的に洗浄(消毒)
患者さんには痛みは痛みが続いていた期間ぐらい続く可能性があること、
ただし、治ってくる場合は痛みの大きさや種類が変わり、痛みの時間と頻度が減ってくるので
そういった状態になるかどうかまずは4~6ヵ月様子をみてもらうと説明
治療2回目
前回治療した日は痛みがあり、その後数秒続く痛みが10日ぐらいあった。
昨日は痛い感じと歯が浮いた感じもあった。
治療スタートから2ヵ月
1ヵ月で17日痛い日があったが長くは続かない
痛みは1分以内で収まるが歯の奥の方に鈍痛がある。
治療スタートから3ヵ月
前より痛い日は減ってきている。
1ヵ月で7日痛い日があった。
日によっては違和感を感じる。
治療スタートから4ヵ月
痛みの強い日が続いている、雨の日から痛みが出てきて3日続いている。
調子はよくない。昔のような痛みに戻ってきている。
レントゲン
DB、Pの根尖から出血あり ⇒ 違和感の原因の根だと考えられるがここの根に病変はない。
治療スタートから6ヵ月
奥の方の弱い痛みが10日あった。お肉をこの歯で食べてしまった際にグギッと痛かった。
根管内は綺麗であり、問題所見はない。
治療スタートから7ヵ月
先月より痛い日は少なくなったが、軽い痛みが数日あった。
鈍痛が出たが痛み止めを飲むほどではない。
根管内も綺麗ですし、やることないので根管充填を行いレジンコアまで
経験則で根管充填するとまた痛みがぶり返すことがあるので、根充後の痛みは日にち薬で収まのを待つと説明。
術後1年
1ヵ月に7~8回 一過性の痛みが出る、持続はしない。
痛みがない日も10日ぐらい続く時もある。
⇒レントゲン所見も悪くない。あまり気になるようならペインに紹介状を書くが、この程度の痛みなら様子を見た方がいいと思う。
術後2年
時々1~2秒の痛みが夜にあるが、前よりは良くなっているのが実感できる。
4月、6月は全く痛みがなかった。8月も1回だけ
最近は左上より右上の方に痛みを感じる。
患者さんには2年診させてもらい、痛みはだいぶ減ってはいるがゼロにはならないと思う。
痛みに関しては患者さん個々の感受性の問題もあり、ゼロを目指すならペインクリニック
この程度の痛みであれば共存を選ぶならかみ合わせを低くした本歯を入れる。
という選択
患者さんにOKをもらいセラミッククラウンを今月入れさせてもらいました。
今回のケース、結果論的に言えば
患者さんの痛みに対する感受性が高い ⇒ 歯科医師の診断の誤り&不適切な根管治療 と悪い方向に転がってしまったケースだと思います。
はっきり言えば痛みに対する感受性が高い患者さんに関しては治療が非常に難しいですし、難治化することも多々あります。
痛みは咬合(歯ぎしり)から来たりすることもありますが、根管治療により痛みが大きくなるような場合は不適切な根管治療による細菌感染を疑います。
EEデンタルの場合ですが、大臼歯であれば約2~3回で治療が終わることが8割以上です。
今回のケース電話診察まで含めると17回 治療期間2年10ヵ月
正直、自費治療でやっていても赤字です。ただ誰かが治療しないと患者さんの痛みは永遠に続きます。
個人的には、根管治療で自分で手に負えないと思えば歯科医師も歯内療法専門医などに紹介すべきかと思いますね。
患者さんは担当の先生が治せるものだと思い、半年も1年も歯科医院に通ってくれるのですから無理なケースの見極めは非常に重要かと思います。
今回のケース結果的に残せてよかったです。
(正確に言うとたまたま残せたという感じです)
- 購読
- Powerd By