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歯内療法日記: 2020年10月アーカイブ

下歯槽神経に接する大きな根尖病変 根管治療治癒ケース

患者さんは40代女性 大きな病変を主訴に来院

5年前に根管治療をしたが、担当医から

「もしかしたら次は抜歯かも!?」と話される。 

レントゲンを撮ると

2020 EEdental SaM (1).jpg

病変がデカイ!。。。

しかも神経管に接するぐらい大きくなってしまっています・・・

 

こういうケースに科学的根拠のない「水酸化Ca押し出し作戦」などを使用すると

左下の顎に麻痺が出たりするおそれがあるので、ある程度治療の戦略は必要になります。

  

 

治療をさせてもらい久々に来院があったので病変の確認

 

レントゲン

2020 EEdental SaM (2).jpg

どこに病変が!?というぐらい綺麗に治ってくれています。

 

 

治療回数3回

下顎の第一大臼歯で4根管は珍しいかったですね(・∀・)ノ 

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根未完成歯の大きな虫歯治療(生活断髄)

基本的に小児の治療は行っていないのですが、お母さんがEEデンタルの患者さんの場合

「先生、ウチの子供も治療して!」とお願いされ、永久歯ならたまに治療を行っています。

 

今回の患者さんは12歳女性

大きな虫歯があるとのことで来院

ついでに治療した部位のレントゲンを撮ると

2020 EEdental SoS (1).jpg

大きな虫歯があり、根尖は第一・第二小臼歯ともに根の先端まで出来上がっていません・・・

この状態の根管治療は非常に難しく、予後も悪いです。

 

患者さん、お母さんに一通り話を行い、いざ治療!

するとレントゲンよりかなり虫歯が大きく、すぐに露髄(神経まで達する)してしまいました。

また露髄してもまだまだ虫歯は大量に残っています。

 

歯髄の状態は出血も見られ健康そう

  

これだったら断髄で下の神経を生かし、根の先端を作っている細胞に根の方を作ってもらおうと考え

2020 EEdental SoS (2).jpg

セラカル使用(←レジンにMTAエッセンスが多少入っているもの)

 

遠方の患者さんであった為、症状が出たらすぐ来て

症状がなければ1年後に来てね!と話 

 

 

3年後

学校検診で右下に虫歯ありとのことでレントゲンを撮ると

2020 EEdental SoS (3).jpg

狙ったように綺麗に根尖が出来上がってくれています!

 

 

小児の虫歯は先生の歯髄処置の知識と技術で大きく予後が変わると思います。

 

ただ、今回のケースは症状も無かったことから「AIPC」

で、治療できたかもしれないと今になって思いました。

 

私はAIPC自体を始めて数年ですが、最近はMTAの直接覆髄より成功率が高いと感じています。 

 

 

自分の経験によるフィードバックで、治療方針が変わることがあります。

*なるべく低侵襲な方法から試させてもらいます。 

 

今の技術でできるだけベターな処置を心掛けたいと思います(。-`ω-)

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根管治療前のレントゲンから読み取る読影能力

レントゲンを撮ると何が分かると思いますか!?

 

私が患者さんに説明しているのは、

「レントゲンは金属の濃淡を表している白黒画像で、その白黒画像から術者が何を読み取るか!?」

「つまり、数値化で分かるデーターではなく想像力を働かせて読み取るものなのです」

  

ですから、同じレントゲンを見ても経験の浅い先生と専門分野の先生では読み取り方(診断)も大きく変わる場合があります。

 

またレントゲンは機種などにもより、鮮鋭度が変わります。

写真はできるだけ綺麗な方が見やすいです。(ピンボケでは細かい部分は分かりませんよね!?)

 

 

患者さんは40代女性

初診時にレントゲンを撮ると見にくいですが大きな病変のようなものを確認

2020 EEdental NaT (0).jpg

以前の治療で「折れているかも!?」と言われたとのこと。

 

そういう歯は着手 ⇒ ごめんなさいこの歯は抜歯です。 になりかねないので

他の悪い歯の治療を優先させ、この歯は症状が出たら着手しようと計画

  

 

半年後・・・

 

痛みが出てしまい、治療を希望された為治療スタート

2020 EEdental NaT (1).jpg

ちょっと病変が大きくなっているかも・・・

 

何より上顎洞底線の連続性がない

2020 EEdental NaT (2).jpg

病変が上顎洞を押し上げている可能性が高い。

ただ、病変の全容が殆ど分からない(上顎洞などに接しているような場合は病変が見にくいです)

 

とりあえずCBCTで解析

2020 EEdental NaT (0) (1).jpg

シュナイダー膜が頑張っているのか、上顎洞炎にはなっていない様子 

 

次に冠状断で見てみると、

2020 EEdental NaT (0) (2).jpg

どうやらMB根が根尖病変の原因らしい! 

太くて長いメタルが入っています。

(個人的には、クラックの疑いがあればレジン系コアの方がベターだと思うのですが・・・)

  

一度きとんと根管を探し

2020 EEdental NaT (3).jpg 

2回目には症状が治まったことより2回目に根管充填!

MB根穿通は出来ませんでしたが、手づかずで汚れたいた「フィン」部分を徹底的に清掃

  

3か月後

2020 EEdental NaT (4).jpg

根尖病変に治癒傾向が現れ、上顎洞底線も下に下がってきてくれています。

*白い線に変化があります。

治ってきてくれてよかった! 

 

 

根の治療はレントゲンから読み取る能力も結果には影響を及ぼします。

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凄くマイナーな縁下カリエス(歯茎の下の虫歯)の治し方

患者さんは40代女性 右上の歯を主訴に来院 

 

話を聞くと2003年頃に3Mix+レジン治療を行った。

その後、転居し歯科医院が何件か変わり

そこで「神経が死んでいるので治療した方がいい」や、「神経は大丈夫」と意見が分かれる。

  

昨年レジンが割れた為にメタルインレーを入れ修復を行ったが、治療後から

咬んだ時に痛みが出る、夕方になると痛みが出る、フロスが引っかかるようになったとのこと

  

レントゲンを撮ると

2020 eEdental TM (1).jpg

根の先には病変が見られ、銀歯が歯肉縁下深くで大きな段差(歯茎に刺さったような状況)

3Mixの痕か中が空洞のような所見。。。

 

ん~、たぶん普通の虫歯だったものが医療行為によりかなり治療が難しい状況に。。。

レントゲンでは難易度がメチャ高い状態になってしまっています。   

 

 

最近よく見るのですが、なぜインレーを歯茎深く入れるのか・・・

(そういうケースの多くは不適合) 

  

また3Mixの痕も更に歯茎の下、骨の付近まで中に削っています。

(パフォっているような・・・)

 

 

患者さんには根尖病変があるので、まず①根管治療はした方がいいこと

教科書的に言えば、根管治療後に②小矯正(引っ張り出す)、③APF(歯肉弁根尖側移動術:外科治療)④クラウン治療

どう安く見積もっても1本の歯の治療費40万以上

*高め設定の歯科医院では50万ぐらいするのでインプラントを勧められてもおかしくありません。

     

またここまでしても元の状態に戻る訳ではなく、

引っ張り上げ、骨の削除を行なえば支持骨は減り歯の動揺が出てくる。

歯茎のラインが変わり、歯間乳頭が無くなるので物が詰まりやすくなる。

 

逆にいえば、4つの治療全て上手く行かなくては成功には辿り着けません。 

 

自分的に言えばフルコンボ治療は・・・

  

自分の歯ならやらない!(p・Д・;)

詳しくは「歯肉弁根尖側移動術」をやらなくなって早10年

http://eedental.jp/ee_diary/2020/02/post-1794.html

 

 

患者さんには私がやるなら「外科的レジン+歯内療法+クラウン」と説明させてもらいました。

 

  

ただ一般的な術式ではないので、心配であれば他の医療機関でも相談した方がいいと説明し初診終了

*基本的に、その場ですぐに治療の意思を表さなくてもいいです。

**ただ、診察後3か月以上経過すると病態が変わり最初に提示した治療が出来なくなることがありますので、あまり考えすぎず後手の治療にならないように注意は必要です。  

  

今回はEEデンタルで治療を行うとのことで、1回法で治療スタート

当初、残る健康な歯が少ないと判断していたので仮歯も準備してクラウン予定でしたが、

虫歯をきちんと削ると、何とかレジンで行けそう!

 

患者さんにレジンで治療していいか確認して⇒OKとのこと

術前 ⇒ 術後 

2020 eEdental TM (2).jpg

本来の歯のように、歯根のカウンターと歯冠のカウンターを変えてみました。 

*嘘です、マグレで綺麗に出来ただけです(笑)

インレー⇒レジン 

2020 eEdental TM (3).jpg

 

この後レントゲンで経過観察を行い根の先の病変が治ってきてくれるか経過をみます。

 

 

EEデンタルのスタンスですが、

「必要最低限なシンプルな治療」の方がいいと考えています。

  

とはいえ、

今回の処置はかなりイレギュラーな治療法なので殆どオリジナルに近いかも・・・(>。<;)

 

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たまにある一度引き抜くと、使えなくなるファイル

歯の中の神経管は複雑で、特に奥歯などは上顎洞や下歯槽管の関係で

根が非常に湾曲することもあります。

 

廃棄ファイルの中にこんなファイルがあった

(以前、抜去歯で練習した際のファイル)

DSC04933.jpg

中にはこんならせん状の神経管もあります。

 

神経の形態の複雑さは再根管治療の難易度を上げている1つの要因です。

また臨床上、このような根管形態は道具の限界で根の先まで綺麗にすることは不可能かと思います。

 

奥が深いね!根管治療!!

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