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インプラント
- 2010年1月19日 14:28
インプラント治療を行っていない歯内療法専門医が書く
「インプラント」について、
インプラント!?
虫歯や歯周病などで歯を失った後、人工材料でもう一度歯の再現するものです。
この治療は、チタンという金属を骨に埋め込む方法でもう一度自分の歯のように噛むことができます。 ブリッジや入れ歯と違って、周囲の歯に負担をかけず異物感もなく 自分の歯と同じように噛むことができます。また総入れ歯が安定しない患者さんにもインプラントを数本埋め込みインプラントをアンカー代わりとして使用し入れ歯の安定を求める治療もあります。
インプラントは20歳以上の方であればどなたでも治療することができますが、ただし若くても、インプラントを支える骨が少ない方には不向きな治療法となります。(私がよく話す例えで、「ベニヤ板に五寸釘を打つのと、枕木の様な分厚い物に五寸釘を打った時なかなか抜けてこないのはどちら?」)
悪くなった歯(歯周病・根の病気など)を固執して残してきた方などは骨が大きなダメージを受けているので、インプラントを打つにはハードルが高くなります。
その他のものとして、1)骨粗鬆症 2)重度歯周病 3)糖尿病(HbA1c6.0以上)や肝臓疾患、心臓疾患、血液疾患の方などです。これらの疾患がある方は主治医と相談してください。
しかし最近になり、人工骨移植や自家骨移植など骨を増やす治療もありますので、インプラントの禁忌症は狭まりつつあります。(ただ、骨を増やす手術は治療難度も高く限られた医療機関でしか治療できません)
Q),インプラントは一生持ちますか?
A)、持ちません、あなたの永久歯と名の付く歯でさえ抜けているのに人工物に期待はしない方が良いでしょう。ただし、手入れ次第で20年以上持つケースもあります。(インプラントが登場してまだ30年も経ちませんので、現在の医療水準では長く持って20年ぐらいだと思ってください) インプラントはあなたの体に害のない材料ですが、同時に口の中の細菌にとっても住みやすい 住処です。必ずインプラントの周りには歯周病細菌が寄り付きます。
一般的な傾向として、歯周病で歯を失った方は虫歯で歯を失った方に比べるとインプラントの 寿命が短い傾向にあります。長く持たせる為には、『定期的な検診と患者さんのブラッシング能力』が大きく関与します。
Q),治療期間と治療費は?
A)、しっかりとした骨のある方で最短3ヶ月で手術回数1〜2回、骨のない方では、1年〜2年で手術回数2〜4回でインプラントを打つことができます。
費用は1本30〜50万
これより安い20万前後のインプラントもありますが、私はお勧めできません。理由は、インプラントは共通の規格がなく安い物は会社の倒産と共にパーツ供給が終わってしまい、自分の打ったインプラントが壊れた時にメンテナンスが受けれないからです。
*インプラントメーカーは星の数ほどあり、毎年流れ星の様に倒産していくからです。
リスクの高い治療は費用で医院選びをしては駄目です!!
Q),手入れはどうすればいいの?
A)、手入れは歯同様に毎日磨いてもらうことで特別な器具は使用しません。 インプラントは金属なので虫歯にはなりませんが、歯周病にはなります。インプラントが駄目になる大きな要因の1つです。 また、歯同様に定期的なメンテナンス・掃除が必要になります。
メンテナンス・管理はインプラントを打ってもらった歯科医院で原則行います。
他の歯科医院ではメーカー・規格が異なるためメンテナンスを断われるころがあります.(インプラントは共通の規格がない為、同じメーカーでないとドライバーが合わず分解出来ないことがあります)インプラントを打つ際の歯科医院選びは非常に重要になります。
Q),リスク・合併症はありますか?
A)、あります。インプラント治療にリスクがあるというよりは、医療行為には必ず付くものです。ただ、自分の歯を治療するよりは大きなリスクが伴います。 代表的なものでは下顎のインプラントでは唇の麻痺、上顎のインプラントでは鼻出血(鼻血)などが上げられます。
どの治療法もそうですが、自費治療に関しては必ず先生の過去の症例、成功率、治療に対する リスクを聞いてください。患者さん的には、100%の成功をを望まれるでしょうが、成功率100%は医学ではありえません、この数字を言われたらその先生は避けた方がいいでしょう。(どの先生も成功率100%を目指しますが人が人を治療する以上必ず失敗は付きまといます)
成功率(10年以上持つ割合)は上顎:85% 下顎:95%と言われています。
もし私の歯が1本無くなったら、必ずインプラントを選択します。
(ただし無くなった歯の場所によってはブリッジや放置も選択します)
その理由は、 1、両隣の歯が天然歯であれば、ブリッジなどで周りの歯を削りたくない。
ただし、インプラントを打つスペースがない下の前歯、歯を抜いた両隣の歯に既に被せ物(銀歯)が入っていればブリッチを選択します。 2、入れ歯は噛みにくく、違和感が大きいのでなんとか避けたい。
*将来20〜30年後、必ず再生療法が発達して天然の歯と同じ物ができます。(いくらかかるかは想像できませんが・・・) インプラントはそれまでの繋ぎになりますが、しかし、今のところ最も理想的な歯の代用方です。
天然の歯でもインプラントでも、長持ちさせるには正しいブラッシングが重要です。
また、一番大切なのは虫歯・歯周病にならないことです。定期的な検診を受けられ、虫歯・歯周病は出来るだけ早期に治療する。(早期の治療は誰が手を付けても上手くいく事が多いです。) 検診をさぼり気味で、もし虫歯が神経にまで達した時こそ米国式歯内療法など歯を長持ちさせる方法を選択された方が良いでしょう。(神経を取った歯は半分死んだ歯と同じで、この神経の治療次第でその歯の残りの寿命が決まりますので虫歯を大きくしないように注意してください。)
自分の歯に勝る歯はありません。 少し悪くなった自分の歯でも保存できれば外科処置を必要とするインプラントは必要ないのです。
アメリカではケースを選んで歯内療法専門医もインプラントを行う時代です。
知り合いの先生にも
「先生もインプラントしたら!?」
と言われますが
今後、更に治療分野を絞りたいのでしません!!
以上、歯内療法専門医が知るインプラント講座でしたm(_ _)m
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