痛みが無くならない左上
- 2023年11月11日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
主訴は「他で治療をしましたが、違和感が消えない」とのこと
2021年10月に左上が激痛で近医を受診
左上6に膿があり神経が死んでいるとのことで根管治療を行う。
その後も1日4~5回歯を触った際に痛みが続いているので現在仮歯で様子をみている。
痛みの原因が分からない為愛知学院大学を紹介れる。
疲れると左の下も痛いのと、左の舌も痛む(舌痛症と診断を受ける)
ここ1週間ぐらい大きな痛みがある。
冷たい物・温かいものでキィ~ンと痛むが硬い物は咬んでも痛まない。
とりあえず、レントゲン&CTで診察
前医の治療で左上6の根尖病変は治ってくれています。
私が出した結論は今の痛みの原因は左上6ではなく左上7ではないか!?
電気歯髄診断でも左上7は反応はあるが、弱々しい反応
患者さんには、根管治療をして半年様子をみてもらい症状の改善がなければペインに行ってもらうと説明。
1か月後に連絡があり、
急に左上7に痛みが出てきた、食べたり体が温まると痛い。
左上6は叩くと響くのは落ち着いているとのこと。
やはり今回の痛みの原因は左上7だと思われます。
根管治療を行うと、すでに昔の治療で露髄をさせていたようで
それに気が付かず処置を行われており、神経はほぼほぼ死んでおり歯の中からの出血もゼロ
石灰化も進行しておりかなり細い神経管でしたが3根を治療
1か月後の治療2回目
左上7に痛みや腫れはないが左上全体の違和感は無くなっていない。
根管内は綺麗な状態で、異常所見(膿、出血)は無い為に根管充填を行いレジンコア+仮歯まで
なかなか複雑な神経管の形でしたが、綺麗に治療出来ています。
先生の中には完全に症状が落ち着いてから根管充填という考え方の先生もいますが、
私は尊敬する小林大先生の「根管内が綺麗で特にやることなければ根管充填し、きちんと蓋まで」という考え方を継承しており、
腫れ、大きな痛み、根管内の排膿、根管の見落としが無ければ違和感程度であれば根管充填し接着性のある材料で蓋を作り経過観察します。
私は仮蓋の封鎖性はあまり信用していませんし、仮蓋期間中に細菌感染を起こさせてしまっている気もしています。
患者さんには仮歯を入れているので咬もうとすれば咬めますけど最初は積極的に咬まないように、
腫れ・大きな痛みが出たら電話してください。
違和感が減るには違和感が出ていた期間ぐらいは待つ必要があると説明。
で、6か月後のレントゲン検診
患者さんは、症状は一切無くなり違和感含めないとのこと。
レントゲンでも根尖の歯根膜腔が戻ってきてくれています!
今回のケースはペインに行かず治りそうなケースですが、女性の場合痛みを抱えやすい人がいるので
痛みの中長期間治療はあまりお勧めできません。
何度も何度も歯の中を削って刺激を与えながら様子をみるより、少ない回数で歯の中をきちんと消毒して、後は待った方が個人的にはいいと思っています。
この辺りは先生の経験により考え方が分かれる所なので、他の先生からすると否定的な意見を受けるかもしれませんが、私の場合これで上手く行くことが多いので、この流れで治療をさせてもらいます( `・∀´・)ゞ
*患者さんも遠方の方が多いのでなるべく1回の時間を長めにして、少ない回数で治療を行っています。
- 購読
- Powerd By