「十字」に入った歯根破折
- 2024年1月12日 09:00
- 歯内療法日記
歯の破折は他所の法則性があり、折れる場合はパターンがあります。
今回のケースは自分でも初ケース
患者さんは40代女性 近医の先生からの紹介
レントゲンを撮ると
第2大臼歯に根尖病変が見られファイル破折も見られます。
患者さんには残す方向でトライしましょうと説明
治療1回目
ファイルはギリギリ見えるが取れないので確認でレントゲンを撮ると
初診時には無かった、第一大臼歯に気になる透過像が・・・
2週間の治療2回目
治療した歯に痛みはないが、手前の歯が気になり始めた
前回気になっていた右上6に瘻孔(膿)が出てきている。
レントゲンとCBCTを撮ると「歯根破折っぽい。。。」
骨の溶け(透過像)も2週間前に比べ大きくなっている。
患者さんに説明を行い、急遽予定を変え右上6の根管治療を行う
アマルガム充填がしてあり、前々から痛みがあったのか咬合調整(噛み合わせを低くしてある)がしてある状態
この状態でも分かりやすく破折線もあるのですが、破折線が「十字」に入っている
アマルガムを外し破折線を削って行く
顕微鏡下で破折線を極細のダイヤモンドバーで削って行くがかなり中の方まで破折線が見られます。
*黒い線が破折線
破折線はすぐに神経まで達するも、神経は完全に死んでいる。。。
破折線を可能な限り処置し、レジンにて補強&隔壁後に根管治療
その後、右上7を仕上げ右上6の経過観察をしていくものの
瘻孔(歯茎の膿)は一向に治らず、レントゲン所見も悪い方向に・・・
患者さんに説明を行い、この歯は抜いた方がいい
紹介先の先生にレントゲン+治療動画(DVD-R)を渡し話し合ってもらう流れとなりました。
歯内療法専門医をしていると破折はちょくちょく見るのですが、今回のように「十字」に破折線が入っていたのは初でした。
またよく見ると裂溝に沿いながら破折線が入っています。
患者さんはオープンバイトで奥歯の負担が大きかった為に今回のような破折が起こってしまったのかな!?と思います。
歯には治癒機構がありません、負担の大きな歯や硬い物が好きでよく噛む方などは歯に疲労がたまり、50代以降に歯が折れていきます。
長く歯を使いたければ、夜間の歯ぎしりや趣向品などにも気を付けてもらった方が個人的にはいいと思います。
今回の患者さん、移植が出来そうなのでかかりつけの先生と話し合ってもらい当院では右上7の経過観察を行っていきます。
- 購読
- Powerd By