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死腔があっても普通に治る根尖病変
- 2024年5月18日 09:00
- 歯内療法日記
根管治療の漠然としたルールその1
「根の先まで根管充填材を入れる」
私も大学卒業の頃はこの考えの元、ガッタパーチャーが根の先まで入れば根尖病変は治ると思っていましたが、勉強していくとどうもこれは違う!
ただし日本の場合、過去の裁判で根の先まで根管充填材が入っていないという理由から裁判に負けた過去があるようで、本来の神経管とは違う所まで穴をあけてまでもガッタパーチャーを先まで突っ込むという治療もありますが。。。
個人的にはこれはなし!これやられると再治療の際の難易度が爆上がり!
今の私は体のルールに従い治療を行います。
患者さんは50代男性
左下6の近心根に根尖病変があるのですが、オリジナルの神経管とは違う場所を削っており
正にガッタパーチャーを根の先まで入れる為の治療。。。
患者さんは大きな痛みはないが違和感を感じることが増えてきているとのことで根管治療をすることにしました。
MB根とML根の間からMM根も出てきました、また前の先生が作ったレッジの脇から本来の神経管を探し掃除を行いました。
根尖まで穿通拡大はしましたが、レントゲン上ではガッタパーチャーは微妙にショートしました。
(つまり削った場所に、死腔(空洞)が存在します)
ただ、これは狙って行いました。
嘘です、オーバーさせないように詰めたらこの位置で止まっていました。
大学卒業した頃ならせっかく根の先端まで見つけて消毒したのに最後の最後で・・・
と思っていたと思いますが、最近は「OK、OKオーバーしていないね!」です。
(治る場合はこの程度の空間は自分の細胞で埋まります)
先日別件で来院された際にレントゲンを撮らせてもらうと
綺麗に根尖病変は治ってくれています!
術後9年のレントゲンでは根の先から2.5mmほどショート根充しているように見えますが、全く問題ありません。
根の治療は人工物の入りで決まる訳ではありません、どれだけ感染した細菌の除去ができるか!?
また治療後は新たな細菌を歯の中に入らない環境を作れたかの方が、ガッタパーチャーの位置より重要です。
正直、過去のガッタパーチャーの入りの裁判
この先もこの判例を日本は使い続けるのでしょうか!?
歯科医師になって25年
そもそも人間の体のルールなんて100年前の人でも今の人でも、100年後の人でも変わりないのですから、基本になる体のルールに則って診療を行う方が良いと考えますね!(^。^)
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