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メタルコアが除去できない奥歯の根管治療
- 2025年2月 5日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代男性
10年以上前に神経を取った第2大臼歯
膿んでいて根管治療が必要であるが、かかりつけの先生はメタルコアが除去できないということで現在仮歯の状態
何とか歯の保存を行いたい。
レントゲン
大きな金属の土台が入っており、近心頬側根には大きな根尖病変があり副鼻腔を上に上げています。
この状態が長く続くと、歯が原因の副鼻腔炎になることもあります。
かかりつけの先生は自分がメタルコアを外すのはリスクが高いと、客観的な技術評価が出来ている先生だなと思います。
出来ないのに頑張ってしまうと先日のような
こんなことも起こりえます。
歯科の不思議な所で、来院された患者さんの治療は出来ようが出来まいが全て担当してしまう先生がおり、「頑張ったですけどダメでした」みたいない昭和感覚の先生もおられます。
個人的にはもうそういう時代じゃないと思うんですが・・・
特に根管治療は歯科治療の中でも細かく繊細な、治療で0.1mm以下の肌感覚が必要です。
歯科医師のライセンスを取った人間全てが、0.1mm以下の単位の感覚を持っている訳ではありません。
*あんまりこういう事言うと敵ばかり作るのでこの辺で・・・
治療1回目に人工物(メタルコア、セメント、ガッタパーチャー)を除去すると近心頬側根はかなり太く削られており根尖からは排膿が見られました。
また膿んでいる近心頬側根はオリジナルの根尖口とは違う所が削られており、根尖にはパフォレーションが見られます。
*Hファイルなどごりごり強引に削る道具を使うとこうなります。
空にして徹底的に洗浄
メチャ太く削られていたのでMTAで根管充填
仮歯を入れるスペースがないので土台で咬めるようにして経過観察
術後6か月
腫れや痛みもなく順調のようです。
レントゲンでも副鼻腔が下に下がってきており正常所見に戻ってきてくれています。
副鼻腔が元の状態に戻ってきてくれている所を見るとこれは治るケースだなと思います。
ただよく見ると第一大臼歯と第二大臼歯の間に若干の透過像がありますが、これは第一大臼歯のオーバー充填(歯の外にはみ出した人工物)が原因の透過像だと思われるのでそれほど心配していません。
今回のケース、もう1回1年後のレントゲンを撮って終了となります。
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