見つからない神経管と綿栓根充
- 2025年3月14日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代男性
近医の先生から根管が見つからないと紹介されました。
正直、こういった案件で紹介してくれる先生は凄い患者さん思いだと思います。
分からず頑張り過ぎてしまってパフォレーション・・・、患者さんに告知なしで蓋だけして終了しているケースはちょくちょくあります。
患者さんの話を聞くと、
過去に神経の治療をしていた歯、固いものを咬んだ拍子に歯がバキッと折れてしまった。
前々からぐらつく感じはあったとのこと
レントゲン
折れてしまった為か歯茎の上に健康な歯はなく、先生が仮歯を入れてくれていました。。
小さなレントゲンでは神経管は映っていません。
*神経管が映らない=神経管が細い、もしくは無くなった
ただ、CTを撮るとうっすら神経管が!?
矢状断で見ると、神経管も少し唇側側にありそうです。
ただ、水平断で見ると、
どの面で見てもかすかにあるか!?という感じ
仮詰めのレジンを全て削り取り、根管を探すも
「ん~、よく分からない・・・」
CTと睨めっこを行い、歯の中心から唇側を怖がりながら攻めると
何か人工物を見つける、なんだこれ!?と除去してみると
もの凄い細い綿栓(綿)が出てくる。(こういう綿栓って歯に張り付いていることが多いので取るのが大変、今回はNi-Tiファイルに巻き付かせ除去しました)
綿栓が出てきたということはこれがオリジナルの神経管!?
歯の位置的に中心よりかなり唇側にあり、パフォレーションではないことを祈りつつ治療を進める
穴が2つありますが、上がオリジナルの神経管、下がフェイクの神経管
*このケースはラバーなしで治療を行いました。
前歯の深い場所の捜索は、ラバーすると周りの歯の軸が分からず変な場所を削り過ぎる傾向があるので、私はこういったケースはラバーなしで治療を行う事があります。
ラバーダム絶対信者ではないので(笑)
術後レントゲン
過去の治療でガッタパーチャーを使っていればレントゲンにもヒントが現れもっと治療がスムーズに行ったと思うのですが、歯の中に入っている綿はレントゲンに写らない為、非常に難しい診断&治療となってしまいました。
治療後にCTを見直していると、
なるほど、この白い点が綿栓で根管に蓋をしていたのか!と分かりました。
*今回の綿栓もの凄く細かったので、裸眼ではまず見つけれないレベルでした。
大昔は、神経治療後に綿を詰めていた時代もありますが、ここ最近では珍しいケースでした。
自分の頭の中にも綿栓根充という考えは無かったので、こういうケースもあるのかと良い経験が積めました( >ω<)b
この後、患者さんには仮歯で1~2ヵ月生活してもらい、症状が出なければかかりつけの先生にクラウンを作ってもらいます。
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