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歯内療法日記: 2012年12月アーカイブ

Vortex Blue Rotary Files 「今のボルテックスブルーの勘所」 抜髄根管治療

初めに:追記

最新:2013年版ボルテックスブルーの使い方はこちらを

X-スマートを用いたボルテックスブルー操作(Vortex Blue Rotary Files ) 2013年版 穿通・根管拡大

http://eedental.jp/ee_diary/2013/06/-vortex-blue-rotary-files.html

 

 

 

2012年版

ブログにボルテックスブルー」のことを書いたら4人の先生から問い合わせがあったので今の私なりの考えを

EEdental T.jpg

1、術前

2、ボルテックスブルー形成後

3、正放線投影(正面)

4、遠心投影(横から)

 

神経を取る道具のことをファイルと言い、

K.jpg

こんな感じの色とりどりの道具を『ファイル』と言い根管治療の際に使用します。

(私はレジン治療でも使用していますが・・・)

 

写真は治療した歯の難易度が高く、24本のファイルを使用しました。

この写真だけでだいたい1万3千円。。。

 

ファイルは消耗品で数回〜10回ぐらい使用すると捨ててしまいます。 

(海外の専門医の先生は1回使用して廃棄する先生もおられるとのこと、私が再利用するから「くれ!」とも思ってしまいますが・・・) 

 

このファイルステンレス製のもので100〜250円ぐらいニッケルチタンと言う形状記憶のもので1000〜2000円ぐらいと結構なお値段なのです。

例えば保険の根管治療は2回目以降300円ですから、医院側としては、出来るだけ 少ない本数で治療出来た方がコストもかからずありがたい訳です( ・▽・)

 

患者さんサイドから見ても、できるだけ少ない本数で仕上げれた方が時間もかからずすみます。

 

では写真のように24本使用していたケースが最近は何本になったか!?

 

大体4〜5本!

 

いや、いやそれはないでしょう!

 

いやいやそれが・・・

根管形成に至っては2本で出来ます(^-^)

 

ニッケル・チタン2本+ステンレスのファイル2本で形成ができました。

CI25.jpg 

なかなか良い感じの形成ができました!(一番右の白い部分が削った所)

 

最初

ボルテックスブルー 06テーパー #15

を入れ、入る所まで形成をします。

その後・#08Kファイルを押し込み(*)穿通させます。

*「Kファイル押し込みの法則」ですペントロンセミナーで解説します、

知ってしまえば誰でも簡単に出来きます。   ねぇ、大尉!

 

その後、

・ボルテックスブルー 06テーパー #15

を入れると、あら不思議根の先端まで穿通・拡大が!

 

その後、#15の根尖は拡大不足なので、

ボルテックスブルー 06テーパー #25

で歯の中をもう少し削り、最後にKファイルの#30で根の先の形を整え

 

はい、形成終了〜!( ̄∀ ̄)

(その後、歯の中の洗浄をチマチマ20分近くするんですけどね・・・) 

 

 

第2大臼歯の3根管形成で、大体7〜8分

*太い根管の場合はもう1本ニッケルチタンを使用します。 

 

まぢでラク!°+( ´∀`)b°+

 

本来 ニッケルチタンファイルと言う道具を使用する前には

最初に細いファイルを一度通してから行うというのが大原則でした。

 

ただ、この細いファイルを一度通すと言うのが非常に難しく技術差の出る部分でした。

私は、勤務医時代診療後に毎日1年半近くこの練習を22時過ぎまでしていました。

(やり過ぎて医院のストックしている歯が無くなり怒られたことも・・・)

 

私が今感じているのは、この穿通操作のステップが無くなれば、

歯医者の間の技術差というものは減ってくるのでは?と思います。

 

ただ、ラバーダム(ゴムマスク)、隔壁(歯の補強)、仮封(仮蓋)の方がよっぽど重要なので、これをしての話ですよ(・ω・ )

 

デメリットも確かにあります。

・機械で全てやってしまうので、根管の方向、軸が分らない。(この改善策を探しています)

なので最後の根尖形成のファイルを入れる時にやりずらい!

・大きなレッジがあるような感染根管は、そのレッジをハンドファイルで修正する必要があり、従来型のエンドと同じになる!

(ボルテックスファイルは他のNi-Tiとは違い、簡単にベンディングできるので、ストッパーを付けハンドファイルとして使用することは可能です) 

・細い根管でファイル破折を起こすとファイルの除去がしにくい! 

(04テーパーは細すぎるので危険) 

などが今感じているデメリット部分です(> <;)

 

 

 

先日、オヤジにも、

私:「ボルテックスいいよ! 数本あげるから使ってみたら!?」

その日診療終わりに二人で練習して、

 

数週間後

オヤジ:「もっとくれ!」(゚Д゚ )

 

私:「海外通販で買え! 」(゚Д゚;)

今日なぜか、通販会社のスマイルUSからウインナーの詰め合わせが送られてきました(笑) 

えっ、ブログに書くとお歳暮が貰えるシステムの会社なのかな!?(゚Д゚ ) 

 

 

と言うのが今の私のボルテックスブルーの感覚です。

 

後、トルクと回転数も気を付けてくださいね。

マルテンサイトで滅菌することによりニッケルチタン内に入った歪が少し回復するようなので、理論上は使った度に滅菌をかけた方がファイルは長持ちすると思います

 

GT-Xとは違い、結構削れるファイルなので、ファイルの先端を使わずにファイルのテーパーで根管の上部から形成するイメージの方がいいと思います。

ボルテックスが入らない根管は、通法通りのハンドファイル穿通から

(レントゲンで根管が見えるようなケースはほぼボルテックスだけで穿通可能です 上顎前歯はたぶん90%) 

 

私もいつも新しい道具は手探りなのでしょっちゅう考え方が変わりますので、参考程度にm(_ _;)m 

 http://eedental.jp/eeblog/2012/06/post-545.html

 

今現在のお勧めファイル

*穿通目的の場合は

・#15 テーパー6 長さは21mmと25mmがあればいいと思います。

 

*それとボルテックスで拡大までしたい先生は、

・アソートセット#15〜#40 テーパー6 21mm、25mm

でしょうか。

 

ボルテックスの#15 テーパー6の後にプロテーパーのF1で形成もお勧めですけどね!ヾ(`ゝд・)ゞ2本

 

ブキャナンセミナーで寺内先生に教えて貰ったツールなので、詳しくは寺内先生に聞いて下さい。(無許可)

来年、ボルテックスブルーの開発者のベンジョンソン先生も来年、寺内先生の企画する「日米Endoサミット」で来日されるようなので、詳しくは本人から直接聞いて頂いた方がいいかと思います。

 

 

こんな感じでいいですか磯崎先生!?d(ゝω・`o)

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続:大きな膿の袋でも根管治療で治す!

以前ブログで書いた患者さん

http://eedental.jp/ee_diary/2011/12/post-418.html

神経管に達するほど大きな病変があったのですが・・・

 

今日が、1年予後の日でした。

EEdental has.jpg

かなり骨が出来てくれて、あれだけ大きかった病変も

 

「えっ、どこにあったの!?」(p・Д・;)

 

と言う所まで治ってくれました。

(クラウンは私は入れていません)

 

今現在痛み・腫れもなく順調に経過しています。

 

歯を残すのが「歯内療法専門医」の仕事ですから!ヽ(・∀・)ノ

 

 

 

でも、内心このケースは病変の大きさと位置に「マヂでか!」と思ってしまった1ケースでした(´-ω-`;)ゞ

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根管治療の水酸化カルシュームの使い方

過去のブログから

根管貼薬 FC VS 水酸化カルシューム

http://eedental.jp/eeblog/2012/03/-vs.html

http://eedental.jp/eeblog/2012/08/post-572.html

 

根の治療中に行う根管内貼薬

世界的なトレンドとしては『水酸化カルシューム』になっていますヾ(´c_,`)

とは言え、日本ではまだまだ昔から使用されているホルマリン系の薬が使われる先生も多いそうです。

私の周りでは、ホルマリン系の薬から水酸化カルシュームに変えたという先生が多いのですが、

使い方で気になることが・・・

 

水酸化Caを歯の外に「これでもか!」と押し出す治療・・・

こんなやつ

EEdental Ca.jpg

赤丸の部分の白い部分が水酸化Ca それを取り囲むような黒い部分が病変

 

何を言っているのかと言うと、

根の先に出来た病変(膿袋)を治す為にわざと歯の外に水酸化Caを押し出し、病変(膿袋)に水酸化Caを入れる治療なんですが、前にも書いたようにこの方法全く科学的な治療法ではなくリスクばかりのある治療だと私は思っています⊂(゜Д゜⊂

http://eedental.jp/eeblog/assets_c/2012/08/Ca.html

 

 

水酸化Caは神経毒を有していると文献や大学の先生から聞いて知ってはいたのですが、とうとう今年私も経験してしまいました。

痛みが4年間取れないという患者さんが初診で来院されました。(上記のレントゲンの患者さんとは違います)

その患者さんのレントゲンを見てみると膿の袋などの病変はなく、特に問題ないように見えたのです。

 

何が原因で痛みが出ているのか分らなかったので、患者さんの許可をもらいCT撮影など行ってみたのですが、特に悪い所見はなく・・・

 

よく見ると歯の外の変な所に水酸化Ca様の所見が見られ・・・

まさか!?

 

水酸化Caが存在する場所がすでに上顎洞(目の下の空洞)に入り込んでしまい、私では除去不可能・・・

 

となり、大学病院を受診して頂いたのですが、そので出た結果は水酸化Caが原因になっており、入院をして歯3本の抜歯+上顎洞の手術となりました。(手術を受けたからと言って痛みが取れるかは別問題なのです)

また20代の患者さんでした。

 

歯医者の先生の中には水酸化Caは安全な薬のように扱われますが、薬ですから使い方を間違えると非常に危険だと思います(>。<)

 

以前のブログにでも書きましたが、難治性の歯(なかなか治らない歯)は少なからず存在します。

根管治療でできるのは歯の中の感染の除去です、歯の外に及んだ感染は除去できません。

 

歯の外の感染を歯の中から治療しようとする試みは分るのですが・・・、

 ただ、歯の外の感染の割合は非常に少ないですし、歯の外に感染が及んでいるのかは治療の際には分りません。

痛みが取れない歯、膿が出続ける歯なども、きちんとフィールドコントロールをして根管治療を行えば水酸化Caを押し出さなくても治る歯は治まります。

歯の外に薬を出さなくても治るかもしれないケースに憶測だけで水酸化Caを根の先からモリモリ押し出すのは・・・

 

私的には『完全になし』ですねヾ(・д・。)

 

根管治療をして治らなかった歯の先を外科的に治療(外科的歯内療法)すると本来存在しない歯の先に歯石様の物質が付着している時もあります。 この歯石を歯の中から除去する治療するのは不可能ですし、水酸化Caの弱い薬効で解決することも不可能です。)

 

 

最近、私は根の先からは薬(貼薬剤、水酸化Ca、ガッタパチャー、シーラー)は押し出さない方が良いと考えが変わってきています。

ホルマリン系の薬は特に出しては駄目だと ・・・


 

患者さんからしたら、どの先生にかかればいいのか分らない所だとは思いますが、根管治療には色々なリスクが付きまとう治療であることは知っておかれてくださいm(_ _ )m

 

 

 

一番最初に出した患者さんのレントゲン

治療後4ヶ月経過しましたが、何とか治癒傾向が出て来てくれています!

EEdental Ca (1).jpg

追記:上記の患者さん

http://eedental.jp/ee_diary/2013/07/post-806.html 

2本とも綺麗に治ってくれました!ヾ( ̄∇ ̄)ノ

 

 

今回の患者さん、外に出た水酸化Caで治ってきたとは私は考えていませんのでね( ・ Д ・;)

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