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流注膿瘍

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流注膿瘍(レアケース症例)

根に病変が出来ると根の先から膿が出てくる時があります。
口の中を見た時にニキビやイボ様のものが見られたら・・・

要注意です。

これを 『フィステル』と言います。
関連動画
http://www.youtube.com/watch?v=7zPbUMRRVgM

動画の最初のフィステルが写真と同じものになります。



フィステルが出来ていると排膿ロが確保されており大きく腫れてくることはありません。

難しいですかね。

根の病変は
①歯の中に細菌感染が起こる ⇒ ②根の先に膿の袋が出来る ⇒ ③膿の袋が大きくなる ⇒④袋に治まりきらなくなると腫れる、ズキズキ痛む

と言う流れを作る訳ですが、 フィステルが出来ていると③⇒④に移行することはまずありません。
言い変えると小さな箱の中(骨)に風船(膿の袋)があるような状態で、病状が進行している場合、この風船の中にどんどん水が入っていっている状況です。
これが③の状態です。

水がどんどん入り過ぎてしまうとどうなるでしょう。。。
風船は破裂しようとしますが、箱の中にあるので風船は割れないまま中の圧力だけ上がっていきます。。。

体で言うとこの圧力が痛みに感じます。
また風船の圧力が上がり破裂すると。。。


体でこれを言うと、大きく腫れてきます。


ですが、この風船と箱に穴があいていれば風船の圧力も上がらず、水も箱から漏れ出てきます。
この状態を作っているものが『フィステル』です。

言わば、体の防御システムの1つがフィステルなのです。


フィステルの説明はここまで

通常フィステルは原因歯の近くに出来ます。

ですからもし、口の中にニキビやイボの様なものが見られれば近くのの歯科医院でレントゲン撮影をすることをお勧めします。
フィステルは原因の歯の根の治療を行うことで多くの場合治ってきます。
動画

http://www.youtube.com/watch?v=0ApsqJwfL3g&feature=channel


ただ、C4や歯が折れている場合、歯周病の際にもフィステルは見られますが、多くの場合、根に問題を起こしている時に見られます。

写真は初診来院時です。
第2大臼歯(7番)の横の歯茎の盛り上がりがフィステルです。
他院で7番の病変を疑い治療を開始したのですが、いつまで根管治療を行っても治らないということで
私の歯科医院来院されました。

ただレントゲンを撮ってみると。。。
フィステルの横の7番が原因になっている訳ではなさそう。。。

既に7番は治療されていたので、まずは7番の治療を行いました。
しかし、7番の根の治療後もフィステルは無くならないので、私が原因だと疑った銀歯(5番)の治療を開始しました。

すると・・・、

根管治療を1回行い1週間経過すると7番の横のフィステルは見事に無くなりました。

(実は初診時に特殊なレントゲン撮影で検討はつけて患者さんには5番の可能性:大であることをお話しておきました)


今回のように隣の歯の横にフィステルが出来ることを『流注膿瘍』と言います。(すみません、最近この言葉私知りました・・・^^;)
歯2本分も離れた場所にフィステルできた流注膿瘍は私も数回しか見たことがありませんでした。

レントゲンは術後1週間⇒術後2ヶ月

赤丸内の黒い部分を見てください。

左のレントゲンが術前

右のレントゲンが術後


赤丸の部分の黒い面積が減っているのが分るでしょうか!?

黒い部分が減る=病変の面積が減っている=骨が回復してきている になります^^v

 

転勤で海外に行かれてしまったのでこの先のレントゲンは帰国後なのですが、
術後2ヶ月で病変(赤丸の中の黒い部分)は少し小さくなってきています。

術後の推測ですが、
黒い病変部分が歯の横に残っているので、今回の原因は歯の横に出来る神経の枝の側枝(木で言うと枝、葉のようなかなり末端の部分)の感染が原因だったのかもしれません。
目で見えないぐらい小さな部分に細菌感染が起こっても、このように大きな問題を引き起こすことがあります。



いやいや、体とは不思議です。
数年後に日本に帰られたら是非レントゲンで確認したい1ケースです。




EEデンタルで根管治療を受けられた方の6ヶ月後レントゲン診断(10分)は無料で
行っておりますので、治療を受けられた方で6ヶ月経過した方は一度来院ください。
 

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