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根管治療 太く削れば本当に治るのか!?
- 2025年12月20日 09:00
- 歯内療法日記
ある患者さんの左右第2大臼歯
左は根管治療途中で転院してきた際のレントゲン
右は天然歯:黒い線状の部分が神経
治療中の歯は天然歯の黒い線に比べが7~8倍ぐらい(黄色線)に太く削ってあります。。。
(治療をさせてもらうと削り過ぎていてパフォレーションもありました)
根管治療は歯を中を削って細菌を除去する治療ですが、ここまで削らないと治らないのでしょうか!?
と言うか、ここまで削っても治らないので転院されてきたのですが・・・
私も大学の頃、歯内療法科の先生にひたすら「削れ!削れ!」と教えられましたが、
今や根管治療のトレンドはあまり削らない根管治療にシフトしています。
(歯の中を削ることによる歯の弱体化・歯根破折リスクが上がっていまいます)
逆に言えば、ここまで削らないと細菌除去が出来ず治らないと思っている先生は必ずラバーダムして根管治療をしているんでしょうか!?
細菌を除去する為に削るのであれば、当然今より細菌が入らない状況下で治療をしないと患者さんの歯を削っているという整合性が取れません。
私が思う細菌の排除は極々基本の根管治療で、①虫歯除去→②隔壁→③ラバーダム→④切削(穿通・拡大)→⑤消毒→⑥根管充填or仮蓋
ただ、最近読んだ本では日本以外の殆どの国でも根管治療はラバーダムしない方が主流であり、ラバーダムを9割以上する先生は専門医ぐらいな感じです。
また今、日本のラバーダムしないというのは費用的な問題もかなり大きく、
アメリカの専門医の治療費は45万ぐらい(EEデンタルは17万+Tax)、日本の保険根管治療は1万円(窓口負担3000円)ぐらい
ですので、はっきり言って今の日本の状況では理想的な歯科医療(根管治療)と現実の歯科医療(根管治療)には差は出てしまって当然かと思います。
*正直このコストで治療している保険医の先生は現代の赤ひげ先生かと思います。
先日のニュースでも診療報酬本体3%引き上げとありましたが、昔から言われた「物価の優等生の卵」の価格が2倍になっているのに医療費は3%って・・・
財源がないのは分かりますが、病院の7割が赤字の現状でどうやって国民保険を維持さえていくのか!?
昨日治療させてもらった患者さん
咬合性外傷から歯髄炎になったと思われるケース
アマルガムを取ってその穴(3mm)から根管治療
術直後(レジン充填)
治療後レントゲンのガッタパーチャーを見て患者さんが
「先生はホント削らないね、普通はもっと回数かけてゴリゴリやって根管太くするんでしょ!?」
とかなり歯科関係者!?と思うぐらい詳しいことを質問されましたが、
実は上のレントゲンでも、今の最新の削らない治療よりは削っています(笑)
私は今の削らない根管治療はちょっと否定的で、抜髄であればテーパーを4~6度程度の形成を推奨されるのですが、それって根尖寄りまで洗浄液届くの!?と懐疑的です。
私は最低限プロテーパーゴールドのF1(テーパー約7度)を何往復もさせるのでテーパーは8度ぐらい、根尖は#25~#30に仕上げています。
ですから、細かく言えば最新コンセプトの削らない根管治療とは違います。。。(最新が最良とは限りませんからね)
保険治療が悪いということはありませんが、日本の場合は歯科治療費が安過ぎるのでホント仕方がない面は多々ありますし、患者さんからしたら安いことは良いことともとらえられますが、安い分あまり手間などをかけられない厳しい現実はあります。
本当に歯を残したい患者さんはこの事実を知っておいてください。
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