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歯内療法日記: 2017年7月アーカイブ
根管治療のクライテリア 『成功率』と【生存率】
- 2017年7月28日 08:07
- 歯内療法日記
根管治療後、どれだけ歯が残っているかを示す基準は2つあり、
この2つの基準は『成功率』と【生存率】と分けれます。
基準の違いは!?
簡単に言えば、
『成功率』とは厳しい基準で、レントゲン、患者さんが生活に支障なく全てがクリアーな状態になること
【生存率】とは、ちょっと問題があっても口の中にあれば「OK」とカウントされます。
つまり『成功率』と【生存率】を比べると必然的に【生存率】の方が高い数字になります。
*基準がユルイから
また、成功率は色々なデーターがありますが、
・再根管治療の成功率は約80%(専門医が治療した場合)
一方、【生存率】は
・根管治療を行った歯の8年経過後の生存率:97% (n=1,462,936)
salehrabi&Rotstein J Endod 2004
『成功率』と【生存率】には20%ぐらい差が出てきます。
因みにインプラントの成功率は98%などと言われますが、これは【生存率】です。
『成功率』で見ると73.5% という数字もあるそうです。
悪くなっても天然の歯が残っていれば最後のチャンスで再び使えるかもしれません。
個人的には、抜く前・インプラント前に天然の歯の治療を行った方が・・・
後、
「インプラントにすると周りの天然歯が守れる」と歯科医師の売り込みなんですが・・・
先週の歯内療法学会で韓国の先生の発表にもあったように、
インプラントの隣の歯が抜歯に至るという報告もチラホラあります。
さて、今回の患者さんは
歯ぐきのキワから膿が膿が出て他院で治療をしたが治らず、膿が出る度に切開をしているという患者さん
レントゲンを見ると
大きな影が2つあり根分岐部から排膿している状況
またこのレントゲン所見は歯が折れている時にも出る所見であり、
患者さんには折れているかしれないことを説明して、
患者さんは最後に残す治療をしてみたいということで治療スタート!
治療1回目:根分岐部にパーフォレーションがないことを確認
遠心根から見たことのない黒い物体が出てくる
治療2回目:遠心根2根を拡大、洗浄
治療3回目:膿が出なくなっている。
近心根の治療を試みるも穿通せず
治療4回目:膿もないことより根管充填
その後定期的にレントゲン診察を行い 治療2年後
病変は大分小さくなっています。
また日常生活も全く問題なくよく咬めるそう
ただし、この2年後のレントゲンだけ見た他の先生は病変は治っていないと判断するでしょう。
つまり
『成功』か? ⇒×
【生存】は? ⇒○
となる訳です。
我々歯科医師は成功というものを目指しますが、患者さんにとってはどれだけ残せているか?の【生存率】の方が気になるかと思います。
病変は大分小さくなっているんですけどね。。。 (ノ-∀-;)
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大きな虫歯から抜髄(根管治療)5年予後
- 2017年7月26日 09:14
- 歯内療法日記
5年前に患者さんのお母さんの紹介でいらしたお子さん18歳
近医で虫歯があると指摘され始めて虫歯の存在に気がつく
咬む面などには穴はなく、中心窩の0.1mm程度の穴から中に侵入した虫歯
18歳ぐらいまでは特に咬む面の虫歯に注意です。
知らない間に中に入られています。
*この虫歯には顕微鏡での拡大診査と小さなレントゲンが有効です。
若い患者さんは虫歯の進行が早く、患者さんの神経の保存をしたかったのですが。。。
虫歯は神経に達しており「抜髄」に・・・
健康な歯も多く残っていた為にレジン充填で修復を行いました。
先週5年ぶりに虫歯がまた出来たとのことで来院してもらった際に診査させてもらいました。
根の方、骨の方には問題ありませんでした。
レジンには多少褐線が出ていました。
綺麗に詰めても少なからずレジンと歯には段差がありますので
その部分に着色が付いてきてしまいます。
*セラミッククラウンはこの歯と人工物の継ぎ目部分を歯ぐきの中に隠すので綺麗に見えます。
今回のケース、レントゲン上では全く問題なく、機能的にもよく咬めているのでこのまま経過を見ます!
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この歯残しますか?
- 2017年7月11日 09:18
- 歯内療法日記
歯に穴が開いていて歯ぐきから膿が出てきて、抜くしかないと言われた患者さん
実際見せてもらうと
過去に根の治療を既に2回受けており、ほぼ打ち止めのような状態。。。(-ω-;)ゞ
患者さんの中には何度も同じ治療が受けれると思っている方もおられますが、
*根管治療はおおよそ2~3回で残っている歯が少なくなり過ぎて抜歯となります。
**また、治療の度に成功率は下がります。
***更に、治療の度に歯は減りトラブルの確率は上がります。
1回目の抜髄でいかにきちんと根管治療しておくかがポイントになります!( ̄。 ̄)
今回の歯残っている歯の量は少ない、歯に穴が開いている、前々から膿が出続けている。
この状態推測では、
たぶん100人中90人の歯科医師は抜いた方がいいと判断するでしょう。
では残りの10人はと言うと、
根の治療(根管治療)が得意な先生であればトライしましょう!と判断するかもしれません。
*ただし、駄目もとです。
*ネジ屋さんであれば200%抜でしょうね!(p・Д・;)
b
で、実際治療をしてみると
治療を行い膿も止まり、3か月経過すると骨も回復してきており咬めるようにまでなりました。
(*参考費用:根管治療16万+パフォリペア5万+土台・仮歯3万)
(**悪くなってしまった歯の治療はは時間も費用もかかります。)
ですから、神経を取らないようにC2の時点できちんと虫歯治療(レジンなど)で治しておいた方がいい訳です!
もう3か月仮歯で経過をみてもらい本歯を作って行きます!ヽ(・∀・)
抜歯と言われた歯でも、
根の治療の問題であれば歯内療法専門医が残せるかもしれません。
*残念ですが、歯周病、歯根破折は抜歯となります。
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根管治療には付きもののファイル破折
- 2017年7月 7日 09:10
- 歯内療法日記
神経の治療の際に歯科医師が使う金属のヤスリをファイル(リーマー)と言います。
このヤスリ回して使う為、何度も使っていると周期疲労
http://eedental.jp/ee_diary/2016/05/post-1383.html
専門医でもファイルを折ってしまいます。。。
私がファイルを折ってしまったケース
http://eedental.jp/ee_diary/2016/06/post-1421.html
http://eedental.jp/ee_diary/2016/05/post-1389.html
ただし、滅菌した綺麗なファイルであれば歯の中に残していてもまず問題にはなりません。
問題になるのが再治療の際、根管の掃除が不十分になることはあります。
今回の患者さん福岡からだったので、
左下の奥歯2本を4時間半で1回法(根管治療+コア+仮歯)で治す予定を立てました。
レントゲンを見ると、どうもファイルが折れていそうな雰囲気が・・・
実際治療をしてみると
2本のファイルが出てきました(p・Д・;)
過去最高1本の歯で3本のファイルを除去したことがありますが、
1本折ってしまい、それを引っかけて取ろうと試みて2本目、3本目を折ってしまったのかもしれません。
個人的にはファイル除去は顕微鏡がないと除去不可能なように思えます( ̄ー ̄;)
ファイルを除去して樋状根の洗浄を徹底的に行い根管充填をして
この後経過を定期的にみて行き問題なければ本歯を作ります(・∀・)v
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同じ歯科医師でも得意分野による治療法の違い
- 2017年7月 5日 09:16
- 歯内療法日記
先日こんなケースが怖いケースありました。
左上の歯前々から膿が出てくる
2週間前から1分程度の痛みが何度か出てきて温かいものが沁みて痛いという患者さん
現在インプラント予定でインプラントに力を入れている歯科医院にかかっているが一度見てほしい
レントゲンを見てみると
膿の原因は5番の神経を取った歯にパーフォレーションがありそこが原因
1分程度の痛みと温かいものが沁みるのは一番奥歯(矢印)が怪しいと患者さんに説明
インプラントの先生は
「怪しい歯は抜いてインプラントにすればいいと・・・」
『マヂで! ネジ屋(インプラント屋)・・・』(゚ロ゚ノ)ノ
『いやいやいやいや、5番は誰がどう見ても抜歯だけど他は抜いちゃダメだって!』
とりあえず一番疑わしい7番の銀歯を除去すると、
中に大きな虫歯があり神経が死に初めていましたのでこの歯が原因であると判断し抜髄
残せる歯を抜いてインプラントなど言われれば誰だって怖くなりますよね・・・(>。<)
と言うことで、
石川先生を紹介してインプラントは石川歯科医院で行うこととなりました。
インプラント治療の間に経過を見て、先週ゴールドクラウンを入れさせてもらいました。
経過は良好です!(・ω・)ノ
歯科医師といっても、
・天然の歯を残そうとする歯科医師
・人工の歯を作るのが得意な歯科医師
かかられる先生によって大きく治療方針は異なります。
*一応補足:インプラントの先生=積極的に抜くではありませんので
歯を残すことを考えるとインプラントを大々的にアピールしている歯科医院より
「保存治療」「歯内療法(根管治療)」に力を入れている歯科医院の方がベターです。
「抜かないといけない」と言われた歯
本当に残らない歯なのでしょうか!?
抜く前に一度他の歯科医院で相談されるのも1法です!!d(・ω・)
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