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根管治療に付きもののファイル破折
- 2016年5月11日 09:02
- 歯内療法日記
神経を除去する際に使用するファイルという金属のヤスリ
このファイル専門医が根管治療をしても歯の中に折ってしまうことがあります。
昨年私がファイルを折った本数は1本でした。
(2015年は奇跡的に少ない年でした(-∀-)v)
歯科医師の先生の中には、
「ファイル破折=根管治療の予後が悪い」
という先生もおられますが、
実はファイル自体は体に対して感染源にはなりません。
つまり歯の中が綺麗であればファイルが折れていても、極端に予後が悪くなる訳ではありません。
清潔なファイルが折れてもその後の消毒がいかにきっちりしてあるかが大切になります。
(これを知らずに、治療を長引かせると細菌感染して予後が・・・)
ただし、折れていると消毒がきちんと出来ない場合があります。
この場合は顕微鏡下でのファイル除去が必要になりますが、
実はファイル除去は非常に歯にとってダメージが大きく、根管内を大きく削ります(★。★)
ですので、専門医はファイル除去によるメリット、デメリットから
ファイル除去に入るかどうか判断します。
私の基準は、
歯の真ん中辺りで折れた場合⇒除去(比較的簡単に取れる)
歯の先端辺りで折れた場合⇒病変が無ければ除去しない
また、病変さえ無ければわざわざファイルを取る為の根管治療は行いません。
どちらかと言えば、私は歯の寿命重視タイプの専門医なので
積極的にはファイル除去は行いません。
ただ、ファイル除去は専門医ではマスト技術なので
日本には世界一ファイル除去の上手な先生がおられ
7月にセミナーを受けに行ってきます。
https://www.dentalartsacademy.com/course/id-2291
さてさて、ファイル除去といえば過去にこんな出来事もありました。
5年ぐらい昔、大学病院の先生が親族の方(医者)に
「ファイルを取らないとすぐに抜歯になる」
といい加減なアドバイスをしたことにより、その親族が訴訟を起こすと大激怒!
セカンドオピニオンを求めEEデンタルへ
(注意:現在セカンドオピニオンしていません)
私:「その親戚の先生の意見とは私は異なります」
「専門的にもそのアドバイスの根拠が分かりません」
「根管治療の失敗は細菌感染によるもので、ファイル自体は感染源にはまずならないですからね」
「○○さんの口の中銀歯入っていますよね?」
「口の中にインプラント(チタンのネジ)がありますよね?」
「その金属は気にしないんですか!?」
「歯の中はダメで、口の中、骨の中はいいという根拠はなんでしょう?」
「確かに、ファイルは折らないにこしたことはないですが、偶発症で専門医でも折ってしまいます」
「ただ、『折れた=抜歯』にはなっていません」
と説明して、
私は訴訟云々の患者さんは関わりたくないので、その親戚のいる大学病院での治療を勧めました。
(歯内療法科の先生すみません)
例えば、ファイルをそのままにしておいたケース
折れたファイルは歯の中どころか歯の外に押し出されています。
かかりつけで半年以上根管治療をすものの痛みが取れず、どの歯が痛いか既に分からない・・・
奥歯の根管治療にも問題がありそうですが。。。
(奥歯ではよく見るレントゲン所見(゚ω゚;))
患者さんにはファイルが痛みの原因になっている可能性の少ないこと、
外に飛び出したファイルはまず私では取れないので取るのであれば外科的に取ることになること、
まずは通法の歯内療法で治るかどうか様子をみましょうと説明し治療スタート
そんなこんなでファイルを残したまま現在2年近く経過していますが、
ファイルが残存していても綺麗に治癒して痛みも無くなりました。
歯科医師のいうことは全て正しい意見のように思えてしまいますが、
本当にその意見が客観的に正しいのかは患者さんは分かりません。
ですので、根管治療でトラぶった場合
『歯内療法専門医』に頼った方がいい場合もあります(・ω・)
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