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歯内療法日記: 2019年8月アーカイブ
問題の無かった歯に根尖病変が・・・
- 2019年8月 9日 09:01
- 歯内療法日記
神経を取った銀歯から白い歯(セラミック)に変えたいという時
根の治療をするかどうか!?
知り合いの先生はクラウンを入れるんだから、まずは一度自分の手で全てやり直すというスタイル
私は根尖病変なく、しっかりした土台が入っていれば根管治療なしにクラウンだけのやり替えを行います。
一番の理由は
『根の治療の出来る回数を減らしたくない』
という点です。
毎回書いていますが、根の治療は2回、多くても3回で打ち止め次は抜歯になります。
ですので、被せ物という外壁問題で家の基礎までやり直すというのは避けることがあります。
これは1本ずつのケースbyケースでの直感的な選択になるので、一概に全てこうということはいえませんが、
歯を長持ちさせる為の長期戦略でこのような選択もあります。
個人的な考えでは、
積極的な治療が歯を残す訳ではなく、必要最低限の医療介入が歯を残すと考えています。
ただ、この選択時にはこんなことも起こります。
2010年当時根尖病変もなく、コアの適合も問題ないと判断し、
被せ物だけセラミッククラウンにやり替えました。
しかし・・・
4年半後 腫れてきたと連絡があり、レントゲンを撮ると立派な根尖病変が。。。
患者さんにセラミッククラウンを外して根管治療を行うことを説明し根管治療
その後、仮歯で経過をみて、再びセラミッククラウンを入れました。
この場合、EEデンタルは5年の補綴物の保障期間を設けているので5年以内にこのような状況になってしまった場合
根管治療費+土台+仮歯の費用は頂きますが、セラミッククラウンの費用はかかりません。
で、現在
根尖病変も消え順調に経過しております。
開業以来こんなスタンスで治療をしておりますが、
こういったケースは少なからずありますが、かなりレアです。
(開業以来10年で3本ぐらいでしょうか)
最初から、限られた少ない手札の根管治療をするのもありですし、
問題が起こった際に根管治療を行うのも1つです。
心配だから最初から根管治療してくれ!という患者さんは事前に言ってもらえば
根管治療を先に行うことも可能ですよ!
この辺りに正確な正しい診断というのは存在せず、歯科医師と患者さんの価値観で治療方針が決まります。
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歯髄炎で大きな痛みの出た歯の根管治療to待機診断
- 2019年8月 6日 09:07
- 歯内療法日記
50代女性患者さん
初診時の問診で、
2か月前に他院で銀歯を入れたが、それから凍みたり、痛みが1カ月半以上続いている
特に温かいものを飲むとのけぞるぐらい痛いとのこと
レントゲンを撮ると大きな銀歯が入っており、銀の下に虫歯の取り残しはなさそう。
症状的にも歯髄炎を起こしていると考えられ、
「次回神経を取る治療をしましょう」と説明し予約を入れてもらい終了
4日後 急患で来院
診察をした日の夜から痛みが大きくなり毎日痛み止めを6回ぐらい飲んでいる
特に今日の朝からは激痛Max!
炎症が大きくなかなか麻酔が効かず、久しぶりに髄腔内麻酔をしてなんとか麻酔を効かせ
昼休みの1時間で、穿通・拡大・洗浄まで終了(MM根が出てきました)
ラバーダムを外すと再び痛みが出てきた為麻酔の追加投与
「しばらく痛みは続くからね」と話し痛み止めを8錠渡し2回目終了
4日後の治療3回目
腫れている感じがあり、歯ブラシや、食べ物が当たると痛い
痛む時は前歯の病変のある歯も連動して痛む(←よくあることです)
膿が貯まっているような所見のないことを確認し、とりあえず洗浄のみ行い終了
3週間後治療4回目
2回目から1週間程度痛みが続き今は落ち着いたが歯を触ると多少の痛みあり(打診+)
⇒普通にしている時は大き痛みもないし、根管内は綺麗なので根管充填+レジンコア
*基本的に打診などで根管充填のタイミングは決めません。
(打診が出る歯など半年ぐらい続くし、細菌感染の有無を知る為のテストではないから)
患者さんには根充後に出る痛みは2カ月程度で落ち着く傾向があるという文献の説明をし
とりあえず前回のような大きな痛み、腫れが出ない限り様子をみると説明
近心:3根管(MB.MM.ML)遠心:1根管
根充後2週間
やわらかい物は咬めるようになってきた。
根充後5週間
痛みが減ってきたのを確認して、
白い歯を作りたいととのことで仮歯を入れる
今週後2カ月半
また顎のあたりに痛みが出たが来院時には痛みが取れた。
歯磨きの時とフロスを通すと痛む
⇒ しばらく弱い痛み(違和感)と咬むと痛い状態が続くことを説明し様子をみてもらう
*基本的にラバーダムなどして無菌的治療を行っているのですぐに再根管治療はしません。
この後全体的に悪い所は治したいとのことで、全顎治療を開始
仮歯のまま他の歯の治療を先に行い、一番最後にセラミッククラウンを作ると説明
根充後半年
歯を磨いた時に気になる、徐々に痛みは小さくなっている
特に悪い所見はないのでこのまま待つ!
根充後8カ月
痛みは無くなったとのこと
根充後1年
他の歯の治療も終わり セラミッククラウンSet
*マニアックに咬耗した象牙質まで表現してある(笑)
レントゲン
綺麗に適合しています。
転院理由でも多い「痛みが取れず半年以上根管治療を続けている」という患者さんへ
・術前時に大きな痛みがあった
・術前前に長いこと痛みを我慢していた
というケースは痛みが引くのにも時間がかかります。
「痛い」からと言って毎回ファイルなどで歯を削っても歯は治りません。
http://eedental.jp/ee_diary/2016/08/post-1448.html
逆にラバーダムなしの治療で細菌感染を大きくしてドツボにハマっているような気もします。
根管治療の1つの治療選択肢でもある「待機診断」
感染がないと思われれば綺麗に蓋を作り、待つことで体の治癒能力で痛みが取れることもあります。
専門医は技術的な引き出しも多くありますが、どの歯内療法専門医の先生もおっしゃられるのは
『診断』 ← これが正しくできるように技術以上に最新の知見を得ておくのです。
たまたまと言えばたまたま治ったケースですが、1つ言えるのは
「闇雲に歯を削って治療しても歯の寿命は短くなる」ということです。
自分の歯を長持ちさせたい方は『歯内療法専門医』を利用してくださいね(・∀・ )
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