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歯髄炎で大きな痛みの出た歯の根管治療to待機診断
- 2019年8月 6日 09:07
- 歯内療法日記
50代女性患者さん
初診時の問診で、
2か月前に他院で銀歯を入れたが、それから凍みたり、痛みが1カ月半以上続いている
特に温かいものを飲むとのけぞるぐらい痛いとのこと
レントゲンを撮ると大きな銀歯が入っており、銀の下に虫歯の取り残しはなさそう。
症状的にも歯髄炎を起こしていると考えられ、
「次回神経を取る治療をしましょう」と説明し予約を入れてもらい終了
4日後 急患で来院
診察をした日の夜から痛みが大きくなり毎日痛み止めを6回ぐらい飲んでいる
特に今日の朝からは激痛Max!
炎症が大きくなかなか麻酔が効かず、久しぶりに髄腔内麻酔をしてなんとか麻酔を効かせ
昼休みの1時間で、穿通・拡大・洗浄まで終了(MM根が出てきました)
ラバーダムを外すと再び痛みが出てきた為麻酔の追加投与
「しばらく痛みは続くからね」と話し痛み止めを8錠渡し2回目終了
4日後の治療3回目
腫れている感じがあり、歯ブラシや、食べ物が当たると痛い
痛む時は前歯の病変のある歯も連動して痛む(←よくあることです)
膿が貯まっているような所見のないことを確認し、とりあえず洗浄のみ行い終了
3週間後治療4回目
2回目から1週間程度痛みが続き今は落ち着いたが歯を触ると多少の痛みあり(打診+)
⇒普通にしている時は大き痛みもないし、根管内は綺麗なので根管充填+レジンコア
*基本的に打診などで根管充填のタイミングは決めません。
(打診が出る歯など半年ぐらい続くし、細菌感染の有無を知る為のテストではないから)
患者さんには根充後に出る痛みは2カ月程度で落ち着く傾向があるという文献の説明をし
とりあえず前回のような大きな痛み、腫れが出ない限り様子をみると説明
近心:3根管(MB.MM.ML)遠心:1根管
根充後2週間
やわらかい物は咬めるようになってきた。
根充後5週間
痛みが減ってきたのを確認して、
白い歯を作りたいととのことで仮歯を入れる
今週後2カ月半
また顎のあたりに痛みが出たが来院時には痛みが取れた。
歯磨きの時とフロスを通すと痛む
⇒ しばらく弱い痛み(違和感)と咬むと痛い状態が続くことを説明し様子をみてもらう
*基本的にラバーダムなどして無菌的治療を行っているのですぐに再根管治療はしません。
この後全体的に悪い所は治したいとのことで、全顎治療を開始
仮歯のまま他の歯の治療を先に行い、一番最後にセラミッククラウンを作ると説明
根充後半年
歯を磨いた時に気になる、徐々に痛みは小さくなっている
特に悪い所見はないのでこのまま待つ!
根充後8カ月
痛みは無くなったとのこと
根充後1年
他の歯の治療も終わり セラミッククラウンSet
*マニアックに咬耗した象牙質まで表現してある(笑)
レントゲン
綺麗に適合しています。
転院理由でも多い「痛みが取れず半年以上根管治療を続けている」という患者さんへ
・術前時に大きな痛みがあった
・術前前に長いこと痛みを我慢していた
というケースは痛みが引くのにも時間がかかります。
「痛い」からと言って毎回ファイルなどで歯を削っても歯は治りません。
http://eedental.jp/ee_diary/2016/08/post-1448.html
逆にラバーダムなしの治療で細菌感染を大きくしてドツボにハマっているような気もします。
根管治療の1つの治療選択肢でもある「待機診断」
感染がないと思われれば綺麗に蓋を作り、待つことで体の治癒能力で痛みが取れることもあります。
専門医は技術的な引き出しも多くありますが、どの歯内療法専門医の先生もおっしゃられるのは
『診断』 ← これが正しくできるように技術以上に最新の知見を得ておくのです。
たまたまと言えばたまたま治ったケースですが、1つ言えるのは
「闇雲に歯を削って治療しても歯の寿命は短くなる」ということです。
自分の歯を長持ちさせたい方は『歯内療法専門医』を利用してくださいね(・∀・ )
si
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