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歯内療法日記: 2024年12月アーカイブ
3本の根を1本だけ抜くトライセクション
- 2024年12月24日 09:00
- 歯内療法日記
以前書かせてもらった
歯を長く残したいなら悪くなる前にきちんとした処置を! - EE DENTAL_Blog
術前レントゲン
近心根の周りの骨が大きく減っています。
仮蓋を外すと
過去の治療で歯に穴を開けられ細菌感染が広がっている感じ
しかし、1本の歯で5つ穴を開けられているケースは初めて。。。
患者さんに残す方向で治療をさせてもらい
1根抜歯 そこに仮歯を入れ
1年2か月後
仮歯で問題無く経過しています。
今月、仮歯をクラウンに入れ替えました。
出来れば10年ぐらい使えればなと考えています。
仕方がないんですが、裸眼での奥歯の治療は見えない場所を手探りで治療を行うので、どうしてもこのようなことが起こってしまいます。
自分の歯をなるべく使いたい方は特に奥歯の治療は顕微鏡下での治療を勧めます。
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抜歯適応は先生毎に違います。
- 2024年12月21日 09:00
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
患者さんは当時20代女性
親知らずの影響で歯茎の中に大きな穴があるが痛みなどはない。
レントゲン
過去に神経を取る治療がしてありますが、親知らずが斜めに生えており
第2大臼歯の遠心面が吸収or虫歯所見あり。
インプラントをやっている先生なら速やかに抜歯をして骨を守るという治療方針だと思います。
ただ、患者さんは20代ということもあり、何とか歯を残したいとのこと。
患者さんにはトライはするが残せない可能性もあることを説明し治療スタート
まず邪魔な親知らずを口腔外科で抜いてもらい、穴にアプローチすると
やはり親知らずの影響で外部吸収がみられ、そこに虫歯も併発しているような感じでした。
縁下から隔壁を作り根管充填+レジンコア
咬むと痛い状況もあり、レジンコアのまま様子をみてもらい経過観察
1年経過を見ましたが、腫れや痛みもないとのこと
このケースは硬いクラウンを入れるより弱いレジンで経過を見た方がいいと判断しレジン充填で済ませました。
と言うのが13年前の話
最近来院されたので、レントゲンを撮らせてもらいました。
患者さんも違和感なくつかえているとのことで、このまま使ってもらうことに
同じ歯を診ても残せる・残せないという判断は先生毎に違います。
はっきり言えばインプラントをしていない先生ほど次の処置が無い為歯の保存にチャレンジしますし、
インプラントをやっている先生の方が早い段階で抜歯提案をします。
患者さんはこういった事を知っている・知っていないで自分の歯の本数は変わってきますよ。
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歯が原因で上顎洞に膿がたまった場合
- 2024年12月17日 09:00
- 歯内療法日記
歯が原因で副鼻腔(上顎洞)などに炎症が起こるのはあまり知られていません。
少し前に友達に
「井野君、1年以上耳鼻科に行って蓄膿を治していたんですけど、毎回抗生剤が出るだけで一向に良くならず、口腔外科に行ったら奥から2本目の歯が原因を言われて抜歯したら、蓄膿が治ってきたんですがそんなことありますか!?」
と言われました。
確かに鼻の病気なんですが、実は上顎の歯の中に細菌感染が起こり根尖病変ができてしまい、運が悪いと今回のような状態になってしまいます。
友達には、
『よくあるよ、鼻が詰まっていたの片側だけ!?』
「そう、右側だけ」
『行った耳鼻科の先生超藪医者だね、1年近く抗生剤投薬って俺からしたらありえんわ、耳鼻科の専門の先生だったら、そんな鑑別診断出来て当たりだと思うよ』
「そう、口腔外科に行ったのも自分が何かこの先生(耳鼻科)おかしいなと思って、口腔外科行ったら歯が原因っ言われて抜歯になったんですよ、で次の歯どうしようかと思って井野君に声かけたんです」
『今更言ってもしかたがないけど、その歯抜かずに残せたかもね。 俺そこが専門なんですわ』
「えっ~~、言ってよ! どの先生もそんなこと教えてくれなかったよ」
『だって、かなり難しい治療だし、口腔外科は抜いて治す科だから口腔外科に行けば抜いて治すよ』
「初耳だらけなんですけど・・・」
『難しいよね、病院選びは』
というやり取りがありました、ホントであった先生で運命が決まってしまうのが医者選び
今回の患者さんは50代男性
一番奥の歯、1週間前に咬んだら痛みがどんどん大きくなって歯科に行くも問題無いと言われ、
耳鼻科に行ってCT撮ったら歯が原因で上顎洞に膿が広がっているとのこと、抗生剤を処方され今はだいぶ和らいだ。
この歯は3年前に咬んだら痛くなり、虫歯があると言われ治療した。1年前にも痛みが出て歯科医院に行くも知覚過敏と言われシミテクトで磨いていたら落ち着いた。
という歯
レントゲン
虫歯もきちんと治療してあるのですが、近心頬側根、口蓋根に根尖病変が見られます。
このケース歯を顕微鏡で観察すると近心から遠心にかかてクラックが見えました。
患者さんには、①、過去の虫歯が大きくて治療したが神経が死んでしまった。②、破折線が入りそこから細菌感染して神経が死んだのどちらかが疑われる。
治療は神経を取った後は、破折線があるのでクラウンにした方がいいと説明
患者さんのOKをもらい治療スタート
治療は2回で根管充填+レジンコア+仮歯まで
根充剤はガッタパーチャー使用
半年後のレントゲン診査
鼻が詰まった感じはだいぶ改善している
レントゲン所見でも骨は出来てきてくれています。
ここから来院が無くなり、1年後のレントゲンは撮れていませんでしたが、
今年に入り、左上の治療を他院でしたがそれから違和感が大きくなってきたので見てもらいたいとのことで来院してもらい、ついでに右上のレントゲンも撮らせてもらいました。
レントゲン
右奥は全く症状はないとのこと
レントゲン所見でも綺麗に骨が出来てくれています。
これだったら問題無いでしょう!という状態までもって行けました。
歯からくる歯性上顎洞炎は第1・第2大臼歯によくみられます。
たまに小臼歯にも見られますが稀です。
珍しい第2小臼歯からの上顎洞炎 - EE DENTAL_Blog
一応根管治療を専門でやっているので、上顎洞炎は2ヵ月ぐらいに1本は治療しているので個人的には珍しくもないのですが、一般の先生からすると稀なので鑑別が付きずらい場合もあると思います。
患者さんが知っておいた方がいいのは、左右どちらかの鼻が頻繁に詰まる場合は歯が原因になっている場合があるので、その際確実に治したい人は口腔外科で抜歯、歯を何とか残したい人は歯内療法の得意な先生を頼った方がいいと思います。
最初に書いた友人も鼻は治ったものの、抜いた所をブリッジにするかインプラントにするかでまた悩まれているそうです。
友達も、歯を残して鼻を治す方法があるんだったらやってみてかったと言っていました。
*こればっかりは患者さんの知識量と出会った先生で決まってしまいますね。
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成功とは言えないが痛みもなく使えている歯
- 2024年12月14日 09:00
- 歯内療法日記
以前書いた 成功率と生存率
根管治療のクライテリア 『成功率』と【生存率】 - EE DENTAL_Blog
治療を行うと、完全に治った(白)、治っていない(黒)、治ったとは言えないが症状なく使えている(グレー)
の3つに分けられますが、
歯科医師は誰が見ても問題無い歯、つまり白を目指して治療をしますが、患者さんも白を希望されますが、全てが上手く行く訳ではないので痛みなく自分の歯を長く使いたいという一部白色よりのグレーでもOKというものも出てきます。
今回のケースは自分的にはどちらかと言うと白よりのグレーケース
50代女性患者さん
歯周病健診に行った歯科医院で、何も痛みや違和感は無かったものの、「根に膿が溜っているので今すぐ治療をした方がいい」と言われ殆ど何の説明もないままクラウンと土台を外され、
先生に「抜くしかない」といきなりの抜歯宣告を受けショックを受けたとのこと
ネットで根管治療のことを知りEEデンタルへ
レントゲン
かなり歯の残存量が少なく、根尖病変、根分岐部病変が見られます。
患者さんも何の痛みも無かった歯なので、抜きたくはないのは分かります。
自分の歯を長く持たせたい患者さんが知っておいた方がいいのは、根管治療は治療の度に自分の歯が削られていく治療なので、
1本の歯で治療出来て2回、上手く行って3回で打ち止め抜歯になります。
つまり安易に治療をするより、治療する先生を吟味してから治療をスタートした方がいいと思います。
仮蓋を除去すると、まず出てきたパフォレーションが2か所
とりあえず1回目の治療でパフォレーションリペア
レジンを使用しています。
治療2回目
腫れも痛みもないことより、根管充填+レジンコア+仮歯まで
治療後6か月
患者さんは、問題無く使えていて調子は良いとのこと
根尖病変も小さくなり骨も出来てきてくれています。
術後1年
根尖病変は治ったように見えますが、根分岐部の骨は戻っていてくれていません。
たぶんこの部分はパフォレーション部に感染が起こり、その後歯周病の病態も合併した為に
骨の治りが悪いように思います。
個人的にこのケースは最初に書いた、白・黒・グレーで言えば「グレー」に入る歯です。
ただ、患者さんは何の問題も無く使えているのでこれはこれで良いかなと思います。
根管治療は歯科治療の中でも、技術的に一番、二番を争うぐらい難しい治療なので、先生選びは慎重に!d(ゝc_・ )
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原因の歯以外が痛む「関連痛」
- 2024年12月10日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは60代の歯科医師の先生
左下の再根管治療希望 違和感が前々からあったが鈍痛が出てきた為抗生剤で散らした。
今は違和感程度になってきている。
レントゲン
近心・遠心根に根尖病変が見られます。
遠方の先生だった為1回法で根管治療を行いました。
4根管でしたが3根はガッタパーチャー使用、1根は根尖が破壊されていた為MTA使用
術後6か月後 腫れや痛みはないとのこと
レントゲンでも病変部分に骨が戻ってきてくれています。
患者さんの先生も驚いていました(笑)
そこからクラウンを製作させてもらい一度は治療を終わったものの
再び電話連絡があり、
左下6の遠心歯頚部に痛みがある、クラウンを入れてから違和感と鈍痛が増えてきている
また患者さん的(歯科医師の先生)には、左下4の神経が生きている歯にも痛みを感じ神経を取った方がいいような気がするとのこと
来院された際にはレントゲンを撮らせてもらうと
治療させて頂いた、左下6問題あるような所見はありません。
左下4もこれで神経取ります!?という感じ
基本的に私は悪い所見が無ければ、様子見で治療は積極的に介入しません。
理由は当てずっぽうで治療をしても上手く行かないから、歯科治療は原因に対して適切な治療を行わないと痛みや腫れ、違和感は無くなりません。
よくよく話を聞くと左上にも違和感が出てきているそうなので上のレントゲンを撮らせてもらうと
7ヵ月前に比べ、左上5のファイバーコア周りの所見が変わっている。
患者さんに説明を行い、
個人的に一番所見的に怪しい左上5の根管治療をスタートすると・・・
頬側から口蓋側にかけて破折線が見られました。。。
推測ですが、半年でレントゲンの透過像が出てきたのは破折が起こりそこから虫歯が始まり、所見が出てきたのかも!?
立派なファイバーポストが2本も入っていましたが、
個人的には臼歯部においてファイバーポストって歯根破折にそこまで意味ないと思っています。
*今の歯科の世界とは全く考え方が異なります。
それより自分の健康な歯質の残存量が重要だと思っています。
ファイバーコアを作る為に歯を削ってスペースを確保するより、足りない場所にレジンを流し込んでおいた方が良いんじゃないかな!?と思っています。
今回のケース、
破折した歯はかかりつけの先生に抜歯して頂いて、今週患者さんが来院された際に
「先生、抜歯したら下の歯の痛みはすっかり無くなりましたよ」
「先生が言うように関連痛だったんですね、良かったです下の歯触らなくて」
と、
こういったケースを関連痛と言って、
原因歯の他の弱った歯に症状(痛み・違和感)が出てくることがあります。
こういったケースは患者さんの話だけ聞いていると誤診します。
ここから、左上4の虫歯の処置を行いブリッジを作って行きます。
結論的にやはり左上5の破折が原因で、左下にも痛みが出ていました。
たまたま診断が合っていましたが、歯科治療が難しい理由は①診断を付ける、②処置を成功させる
と2つとも上手く行って初めて治る方向に体が変化していきます。
歯科治療はホント難しいです・・・(>。<)
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矯正治療中の痛み
- 2024年12月 4日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは当時30代の女性
矯正治療を行っている最中に痛みが出たことにより、近医の歯科医院で根管治療スタート
旦那さんがEEデンタルの患者さんで旦那さんからの紹介で当院受診
レントゲン
クラウンと土台を外した状態なのですが、特に根尖病変などは見られません。
来院時痛みは治まった状態でした。
患者さんに途中までの状態なので、とりあえず根管治療の続きをしましょうと説明し治療スタート
1回目に虫歯を除去して、隔壁と根管内の人工物を除去を行い根管内洗浄
治療2回目 特に痛みはないとのことで根管充填+レジンコア+仮歯まで
この当時は教科書通りに、根管充填後仮蓋を作りガッタパーチャーの入りを気にしてレントゲン確認をしていました。
今は根充後、レジンコアまで作ってから確認のレントゲンを撮ります。
理由は、根管充填にそれほど意味を感じなくなった、仮蓋中の細菌感染を防ぎたいなどの考えからです。
半年後のレントゲン確認
患者さんも痛みは出ておらず、仮歯でも噛めるとのこと
この後、ゴールドクラウンを入れさせてもらいました。
最近、また近くの歯科医院で虫歯の指摘をされたようで来院されたので、
確認のレントゲンを撮らせてもらいました。
開業から18年 ようやく10年を超える症例も出てきました。
こういうケースを見させてもらうと自分の中で、基準も技術も変わってきているなと感じます。
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