根管治療のトラブル
- 2023年8月23日 09:04
- 歯内療法日記
12年前に根管治療のトラブルで来院された患者さん
左上を押したり歯ブラシで触ったりすると痛い、治療中はずっと痛みが出ていた。
という主訴でした。
同級生の先生の歯科医院を受診した所、専門医に行った方がいいということでの紹介でした。
2011年レントゲン
元々抜髄で根管治療を始めたそうで、特に大きな病変はありません。
こういう場合真っ先に考えるのが、細菌感染をさせてしまい痛みが出た為ガンガン削りドツボにハマるパターン
治療をさせて頂くと案の定、
MB根はファイルで本来の神経管とは違った場所に穴を開けた状態(パフォレーション)
また他のP、DB根の根の先も#70ぐらいに太く削られていました。
開業の先生に言いたいのは、まず歯(根管内)を削る前に細菌が入らないような環境にしてから治療をしてください。
水道の水が駄々洩れの状態で、床の水をタオルで拭いているようなものです。
まず、水道の水を止めてから床の水を拭かないと終わりがありません。
タオルで拭くならいいのですが、歯を大きく削っているので削った所は元には戻せませんし、削れば歯も弱くなります。
また痛みが引かないと「折れているかも!?」など治療の不備を歯のせいにしたりする先生もいます。
患者さんには残す方向で治療をさせてもらいました。
隠れていたMB2(4本目の神経管)も見つけ、太く削られた場所にはMTAセメントで根管充填
+レジンコアを入れさせてもらいました。
エナメル質も結構残っていたので、同級生の歯科医院でメタルアンレーを入れてもらってね。
と話、その後の予後は追えていませんでした。
たまたま先日、第2大臼歯(前回触った歯の隣)の根管治療した歯が痛いとのことで来院されました。
11年前に治療した歯は病変もなく順調に経過しているのですが・・・
クラウンが入っていない。。。
どうやら、2年前ぐらいにクラウンをやり替えたそうなのですが、違和感が強すぎてクラウンを外したままとのこと。
根の治療の長期予後は被せ物の出来(適合精度、咬み合わせの付与)が重要です。
私は根管治療後仮歯まで入れて、特に希望されない方は近医でクラウンだけ作ってもらうのですが、正直言えば長期予後の為にはクラウンまで入れさせて頂いた方が自分は安心できます(笑)
ただ、かかりつけ医の紹介での根管治療だと原則クラウンは元の歯科医院に戻って入れてもらう不文律があるので、その場合かかりつけでクラウンを入れてもらいます。
今回の患者さん、左上6のクラウンを入れる為には、仮歯で違和感の少ない形を探り本歯を作らないと二度手間三度手間になりそうなので、まず第2大臼歯の根管治療後、仮歯を作りこみます。
患者さんの中には仮歯の重要性を十分理解してくれる方もいるので励みになります。
奥歯の治療は難しいのでトラブルに会いやすいですし、抜歯になりやすいので注意してください。
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