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オリジナルの根管を探す大変さ!
- 2024年6月12日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
主訴は左上の奥歯
歯茎が腫れてきた為根管治療を行ったが咬んだ際に違和感がある。
担当の先生には「次に痛みが出たら抜歯」と言われたが残せるようなら歯を残したい。
レントゲン
根尖病変があり、上顎洞底線も消えかかっています。
*この状態が長く続くと炎症が上顎洞の方へ移行し上顎洞炎になることも
患者さんには根管治療はしてあるが、一度やり直しした方がいいと説明。
前医の先生は痛みの原因をクラックだと患者さんに説明していましたが、
顕微鏡下で治療をしてもクラックはみられませんでしたので、オリジナルの根管を探し掃除を行いました。
穿通の出来たMB根とP根はMTAにて根管充填
レントゲンで見ると、白い線がただただ伸びただけに見えますが、
実はこれが大変、顕微鏡でも見えない部分ですから手の感覚だけで元の神経管を探します。
例えると、広いテーブルの下に落とした1円玉を手の感覚だけで探すようなものです(笑)
ホント手先の感覚だけの治療になるので、そこは専門性が高い歯科医師の方がベターです。
根管治療後に仮歯を入れて経過観察をすることにしました。
術後6ヵ月 痛みなどの症状は一切ないとのこと
根尖病変も治癒傾向が出てきており、上顎洞底線(白い横線)も復活してきております。
奥歯の治療は非常に手間と技術がかかります。
奥歯を残したいのであれば、なるべく顕微鏡下で専門医の治療を受けられた方が残る確率が多少上がります。
前の先生も頑張って治療してくれたとは思いますが、再治療で根の先まで治療をするのは難しいと思います。
先日の顕微鏡歯科学会でも言っていましたが、
今やアメリカの一流歯内療法専門医の根管治療費30万(一般的な歯内療法専門医でも20万以上)
かたや日本の保険診療1万以下
同じ人の歯を治している治療なのにここまで金額に違いが出ると出来る内容にも差は生まれてしまいます。
物価高が叫ばれますが、医療に関しても同じで世界的にみても医療費も例に埋もれず上がっています。
日本の保険診療はホント優秀なシステムだと思いますよ。
ただ、歯科に関していえば理想的な治療は年々出来なくなってきているのも事実です。
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