太く削る根管治療
- 2024年5月28日 09:00
- 歯内療法日記
根管治療にはトレンドがあり、私が学生時代には
根管治療はある程度太く削って壊死した歯髄と細菌を除去し次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素水の交互洗浄を行い、発砲を促し歯の中の汚れを浮き上がらせる。
その後貼薬材を中に入れ消毒していくということを大学で習いました。
この当時、歯の中の汚れは削って取るという考え方でした。
ただ、最近のトレンドは抜髄に関しては、神経管はなるべく削らないようにして
必要最低限の切削後、次亜塩素酸ナトリウムで有機質の分解除去と消毒という手順に変わってきています。
貼薬も昔ほど重視されず、入れるなら水酸化カルシュームね!という感じです。
これは道具の進化による所が大きく30年までは無理だったことが可能になったことによる部分もあります。
大きな変化としては、削るより次亜塩素酸による消毒をいかに効率的に行い汚れを除去するか!?という流れになってきております。
患者さんは50代女性 2021年に来て頂いた際にレントゲンを撮ると
神経管の治療時に歯を大きく削り過ぎてしまったようで、歯に穴(パフォレーション)が開きそこから細菌が感染し骨が大きく溶けてきてしまっています。
手の感覚だけでに太く太く削る治療をしているとこうなってしまうこともあります。
ただ、当時は症状もありませんでしたし、私が治療しても高確率で抜歯になるな!?と思い
患者さんには病態のアナウンスだけ行い何もしませんでした。
そこから2年
歯茎が痛みジンジンする感じがすると連絡がありました。
他の歯には感染など見られませんでし、頬を押すと違和感があるという場所ともだいたい一致し、第2小臼歯の歯が怪しいと判断しました。
患者さんにかなり難易度高いですが、残す治療してみますか!?と提案
1回法で根管治療+レジンコア+仮歯まで
歯の中のネジを外すと予想通りに出てくる穴(パフォレーション)
そこをMTAで埋めてリペア
先日、仮歯が取れたとのことで来院されレントゲンを撮らせてもらいました。
レントゲン
少し骨出来て来たかな!?程度の所見でしたが、患者さんは術前のような不快感は全く出ていないとのこと
患者さんにはもうしばらくこのまま経過をみましょうと説明させていただきました。
根管治療は先生毎に治療の癖があり、太く削って治療を行う先生であれば今回のようなことが起こってしまいます。
顕微鏡の無かった時代なら仕方がないかもしれませんが、顕微鏡が普及してきている今
不必要に歯を削ることは避けられた方がいいと思います。
根管治療のトレンドも、昔ほど歯は削らない方向になっているので、古い術式の先生は今のトレンドを押させておかれた方がいいと思います。
歯根破折も歯質の残存量に関係があるとの事なので、なるべく歯を長持ちさせる為にも歯質の切削は考えた方がいいと思いますね!
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